ウクライナの人たちのために何かできないか。
静岡市の女子高生3人が考えたのは、ウクライナ正教会の「祈りの歌」の合唱だ。
イベント当日に150人が祈りを捧げ、司祭は母国語の大合唱に感謝していた。女子高生たちは言語を学んで歌詞の意味を理解し、皆で歌えるようある工夫をした。
赤い糸で示す「祖国の悲痛」
2022年2月24日に始まった、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。犠牲者や避難民が増え続け、静岡県内で募金活動や物資の支援が続けられている。
静岡市清水区にある静岡サレジオ高校。
5月7日、ウクライナ侵攻について考える平和学習が開かれた。

講師として招かれたのは、大道芸人のアクロバットデュオ「DuoAB(デュオエービー)」だ。ウクライナで生まれ育ったオーリャさんと日本人の真志さんのペアで、大道芸ワールドカップへの出場経験もある。

ウクライナを体を使って表現したステージが披露された。ウクライナの生活を象徴する麦は、激しい戦闘や犠牲を意味する「赤い糸」へ。オーリャさんはその後の講演で、祖国の美しい自然や生活が破壊されていくやるせなさを訴えた。

オーリャさん:
今何ができるか、お祈りだけです。この戦争は早く終わって、平和になってほしい

「手助けできることはないか」
ウクライナ人から、祖国の平和が壊される悲痛さを聞いた生徒たち。このウクライナ侵攻をどうとらえているのだろうか。
男子生徒:
自分の生活とかけ離れたことが実際に起こっているので、悲しいというより現実味がわかない
女子生徒:
(侵攻を)見て大変だなと思うけど、そこで止まってしまう自分がいる。解決まではいかないけど、何か手助けできることがないかな

別の女子生徒:
きょうのような体験を経て、自分がどう感じたかをたくさんの人に発信していくことが、高校生にできることかな
祈りの集いを企画してウクライナ語練習
静岡市葵区にある静岡雙葉高校。ウクライナ支援のため、行動を起こした生徒がいる。
4月、有志の生徒3人がウクライナについて考えるイベントを企画した。在日ウクライナ人とウクライナ正教会の司祭を招いた、講話と祈りの集いだ。

企画した村松真子さん(3年生):
まずウクライナについて考えるということが、ウクライナの人にとってはすごい励みになるのでは

3人はウクライナ語の練習を始めた。祈りの歌はウクライナ語で歌うため、当日の参加者がわかるよう、歌詞をカタカナで記した楽譜を準備した。ウクライナ語の発音や意味を調べながら、祈りの言葉を理解していく。

「ウクライナで起きたことを忘れない」
4月30日祈りの集いが行われ、学校内外から約150人が参加した。

講演で、在日ウクライナ人でウクライナの東部ドネツク州出身のオクサーナ・ピスクノーワさんが、ウクライナ人が持つ母国への強い思いについて語った。
オクサーナ・ピスクノーワさん:
バッグ1つだけ持って戦地から逃げた人たちもいますけど、そのバッグに民族衣装が入ってる人たちがたくさんいます

強いアイデンティティが、母国を守る戦いにつながっていることを伝えていた。
祈りの時間では、ウクライナ正教会のポール・コロルーク司祭のもと、参加者たちもウクライナ語で歌を合唱し、一人一人がウクライナに祈りを捧げ平和を願った。

ピスクノーワさん:
私たちが何のためにお祈りするのか、私たちにできることは何か考えながら(祈りの歌を)聞いていました
コロルーク司祭:
最後は(合唱の)声が外に届くほど、一緒に歌い祈ってくれたことがすごくうれしかった

多くの人がウクライナへの思いを共有した。
企画した西田里光さん(3年生):
多くの人が来てくれて、私たちと同じように平和を祈る機会を共有できたことが一番うれしい
企画した平野凛々子さん(3年生):
明るい気持ちを届けるられるように、心を込めて歌うことができた
企画した村松真子さん(3年生):
祈りを通して、ウクライナで起きたことを忘れないようになればいいな

3人は今後もこうした取り組みを続けていく予定だ。

高校生の思いから始まり、平和を願う人の輪は今後も広がっていきそうだ。
(テレビ静岡)