若者をターゲットにした炭酸水で割るビールとは。

自分好みで味を変えて

たっぷりの氷に炭酸を加えて割ったこのお酒。
サントリービールが21日に発表した新しいビール、その名も「ビアボール」。

この記事の画像(9枚)

最大の特徴はアルコール度数の高さ。
「16%」と大手ビールメーカーの一般販売商品として類をみない高さだが、炭酸や氷を入れることで好みに合わせてアルコールや味の濃さを変えて楽しむスタイルを提案している。

氷のみを入れた度数16%のものは麦の味を存分に堪能、炭酸で度数4%に割ったものは爽やかと、飲み比べてみるとそれぞれ違った味わいになっている。

全業態で販売するビールの中で日本で初めて炭酸で割るビールとして発売された今回の商品。

開発の裏にあったのは…

サントリービール 西田英一郎代表取締役社長:
現実は大変厳しい市況の中にあります。時代とともにビールも分かち合う酒から1人で向き合うお酒にまで多様化が進んでいる中、ビアボールを通して新たなビール文化をつくりたい。

17年連続で前年割れが続くビール類市場。その復権を目指した今回の開発で特に意識したのは若い世代へのアプローチだったという。

サントリービール イノベーション部・佐藤勇介さん:
大学のゼミと共同で直接聞きに行って開発を進めました。『ビールって楽しくないんだよね』という声が出てきた。チューハイはレモン味、グレープフルーツ味といろんな味わいがあって、シーンや気分によって味わいが楽しめるけど、ビールはビール味。一辺倒で自由の幅がないよねと。ビアボール1本でビール好きは濃いめ、苦手だと思う方は薄く、そこそこ好きな方は定番と、1本でいろいろな飲み方をして、昔の瓶ビールのような飲み方が実現できれば。

自分好みで自由に楽しむこのビール。
飲食店では10月、家庭用は11月からそれぞれ販売を開始するとしている。

ハイボールの成功体験と重なる新提案

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。
炭酸水で割って飲むビール、鈴木さんの目にはどう映りましたか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
若い世代にとってビールは会社の上司が注文する「最初の一杯」といったイメージがあるかもしれません。 あえて飲まない、あるいは少ししか飲まない若者に「ビールもいいよね」と思ってもらうには、新しいビールの味を提案してもこれまでと何が違うのかピンとこないかもしれません。
そこで今回の商品の本質は、新しいビールの発売ではなく、新しいビールの楽しみ方の提案なんです。

三田キャスター:
お酒に強い方も弱い方も、割り方によって好きな飲み方を楽しむことができそうですね。

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ビール系飲料の販売量は17年連続で前の年を下回っています。
この背景には、消費者の好みの多様化やライフスタイルの変化などがあり、若い世代ほどこの傾向は強くなります。

この状況を変えるには、若い世代の心をとらえるワクワクする楽しさの提案であり、市場のイノベーションが必要になります。

三田キャスター:
新しいアルコールとの付き合い方もイノベーションと呼ぶことが出来るのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
新しいアルコールの飲み方もイノベーションであり、新たなマーケットの創造にあたります。 これについてサントリーは成功体験をもっています。それが今、若者にも人気のハイボールです。

ウイスキーの人気も2000年代に入ったころはピーク時の半分以下となっていました。そこでサントリーはハイボールを売り込むために女優の小雪さんや井川遥さんなどを起用して大規模なプロモーションを行ってウイスキーのイメージを変革させました。

三田キャスター:
確かにCMなどをきっかけにして、ハイボールのこれまでのイメージも変わって手にとってみたという方も多いかもしれませんね。

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ハイボールのヒットは宣伝の力だけではありません。ウイスキーを炭酸で割って美味しく飲める 黄金比率を飲食店にも徹底してもらい、ジョッキでグビグビ飲む爽快さがそれまでの「チビチビと飲む重たいお酒」というウイスキーのイメージを変えました。
そして今回の炭酸水で割って飲むビールも若い世代の心をとらえる可能性があります。

例えば、ビールは時間が経ってぬるくなると美味しさが失われる、決まった味わいで自由さがないといった不満を炭酸水などで割ることによってクリアできます。何よりメーカーのお仕着せの味ではなく、自分の好みで味を変えられる。この自分で作る楽しさが若い世代に支持されるかもしれません。

三田キャスター:
ビールの味わいに加えて、楽しむという新たな価値で新しいビール文化が定着するのか、ビールの楽しみ方も選択肢が広がりそうです。 

(「Live News α」6月21日放送分)

Live News α
Live News α
メディア
記事 794