悪質たばこポイ捨て1800本!許すまじ…

姿なき“迷惑者”と闘い続けた男性がいる。北九州市に住む、田川さん74歳だ。彼が闘ったのは、散乱するたばこの吸い殻。拾っても拾っても繰り返される悪質なポイ捨て。その数なんと、およそ1800本にのぼる。

たばこのポイ捨てを記録し続けた 田川さん:
通学路だし、ジョギングの人もおる。なんでこんなことするかと思うとですよ

ポイ捨て犯、許すまじ!“執念の追跡”が始まった。

福岡県警 門司署 生活安全課長 岸田真一朗警部:
私25年警察人生してますけど初めてですね 。田川さんの苦労、これに報いる必要があるだろうと

警察も舌を巻く400日にも及ぶ闘いを追った。

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 “ポイ捨て日誌”で浮上した「犯人像」

ポイ捨ての現場は、小学校の通学路にもなっている交差点の側道。3年ほど前からボランティアで清掃を行っていた田川さんが異変に気付いたのは、おととしのことだ。

田川さんが撮影した映像には、側道にペットボトルなどのゴミ、そして吸い殻が散乱している。掃除をしても、同じ場所で“ポイ捨て行為”が繰り返されたという。

たばこのポイ捨てを記録し続けた 田川さん:
通学路だし、ジョギングの人もおる、犬を散歩しよるんですよ。自分の家の前で捨ててください。そしたら気持ちわかりますよ

そこで田川さんは、市の許可を得て手作りの看板を設置した。

さらに手書きで作ったのは、たばこの“ポイ捨て日誌”なるもの。毎朝、清掃をする際に路上に吸い殻があった日や、その本数などを記録し、画像にも残していった。

すると去年の夏ごろ、あることがわかってきたという。

たばこのポイ捨てを記録し続けた 田川さん:
銘柄は一つですよ。バサーっと固まっているのは。ピターっと吸い殻の長さもほぼ一緒。もう確信しました、一人の人間

確かに吸い殻の画像を見ると、おととし5月は茶色や白が混在していたが、次第に同じ銘柄の白い吸い殻だけとなり、しかもその長さに特徴があった。

田川さんは、同一人物がしつこくポイ捨てを続けているのでは、と推理。そこで現場に設置したのがこのペットボトル。毎回吸い殻をためていきながら、たばこの銘柄を記した上で「不法投棄」だと注意喚起した。

ところが、田川さんの思いとは裏腹にポイ捨てはエスカレートした。去年はひと月に4日程度だったが、今年2月には10日まで増加。3日連続で捨てられていた時もあった。

たばこのポイ捨てを記録し続けた 田川さん:
7日、8日、9日、3日間連続捨てたんですよ。だいたいですね、1日に17から18本。これを思うとですね、私もあきらめようと思ったんですよ

あきらめかけた田川さんだったが、警察に相談。その思いの丈を伝えた。

福岡県警 門司署 生活安全課長 岸田真一朗警部:
実際、ペットボトルにためられたたばこの量を見るとですね、やっぱり田川さんの苦労の度合いがありありと。もう1年以上にわたる田川さんの苦労。これに報いる必要があるだろうと思いました

田川さんの地道な苦労が警察を動かした。そして、本人も再び奮起した。

寒さに負けず張り込み!ついに犯人が…

田川さんは“ポイ捨て犯”が現れないか張り込みを行った。

たばこのポイ捨てを記録し続けた 田川さん:
毎日張り込みをしました私。中途半端は嫌いだから。警察から絶対声掛けたらいかんって。どんな人か分からんですからね。ナンバープレートをね、控えようと思って。ここから双眼鏡でのぞいたら見えますから

2月の寒さの中、双眼鏡とメモ帳を手に毎晩張り込んだ。

記録を見ると夜9時台に張り込みした後、再び午前3時や4時にも現場へ。

これを2週間続けたが、残念ながら“ポイ捨て犯”は現れなかった。そこで…

2月24日に警察が張り込み捜査を開始。するとその初日、車からポイ捨てしたとみられる男を特定。検挙となった。

福岡県警 門司署 生活安全課長 岸田真一朗警部:
私25年警察官、警察人生してますけど初めてですね。一発で張り込み初日に被疑者を検挙できたというのは初めてです。田川さんがこうやって毎日のように協力してくれてですね、そのおかげで絞り込むことができて一発検挙ということになりまして、本当に感謝しております

ポイ捨て犯が供述…ゆがんだ動機

ポイ捨てをしていたのは、北九州市内に住む50代の男性会社員。決め手となったのは、田川さんが回収し、保存していた吸い殻だった。

警察は異例のDNA鑑定を行い、犯行を特定。条例違反などではなく、廃棄物処理法違反容疑という“重い罪”で男を書類送検した。ポイ捨てした吸い殻はおよそ1800本に上るとみられている。男はなぜここまでポイ捨てを続けたのか?このように供述した。

「街を汚すことで、人がきれいにするために苦労している姿が浮かび、それが楽しくてたまらなかった」

400日に及ぶ“執念の追跡”が実を結んだ田川さん。近隣住民からは、感謝の手紙も届いた。

田川さんに届いた感謝の手紙:
たばこのポイ捨ての件。安堵をともにさせていただきました。永きにわたりありがとうございます

たばこのポイ捨てを記録し続けた 田川さん:
いやー、うれしかったですね、本当。捨てる人も少なくなるし、逆にごみを拾ったりする人が出てきてね、街がきれいになるやないですかって言われたらうれしかったですよ。報われました

(「Mr.サンデー」6月12日放送)

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