美濃焼の産地である岐阜県の東濃地域では、国内の陶磁器の6割が生産されている。陶磁器は、廃棄されると土に還ることはなく埋めるしかないが、環境問題を考慮した地元の業者が協力し、割れた器を再利用した「Re食器」を開発した。
割れたり古くなった器を再利用…美濃焼のミライを変えるRe食器
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名古屋駅にあるジェイアール名古屋タカシマヤの食器売り場に、美濃焼のミライを変える器があった。
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女性客A:
作った人も嬉しいですし、使ったほうも嬉しい
女性客B:
優しい印象でいい
女性客C:
こういう風に再生されると、すごくいい
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割れたり古くなったりした器を、再利用したリサイクル食器「Re食器」だ。
Re食器を製造しているのは、岐阜・瑞浪市のメーカー「小田陶器」。
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小田陶器の田所靖弘社長:
中古の食器の破片。これを粉砕するメーカーがあります。それを粘土メーカーが細かく砕きながら、通常の粘土とブレンドしていく。産地の中の役割分担で、みんなで協力してやっています
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美濃焼の産地・岐阜県東濃地域は、国内の陶磁器の6割を生産している。
しかし、大量生産された陶磁器は、廃棄されると土に還ることはなく埋めるしかない。
そこで環境問題を考え、地元の業者が共同でRe食器を開発した。
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田所靖弘社長:
リサイクル原料の配合比率が50%。原料のうち半分は一度焼かれたもので、焼かなくてもいいわけで、結果、温室効果ガス30%くらいの削減につながります
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リサイクル原料の配合比率が20%ほどのメーカーが多い中、このメーカーでは原料の半分にリサイクル原料を使っている。
陶磁器の原料・粘土が枯渇寸前に…大切な器が生まれ変わる
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原料となる陶土を作っているメーカーでは、さらに深刻な問題があった。
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ヤマカ陶料の加藤誠二副社長:
東濃地方・瀬戸地方の陶磁器の土は、たくさんの種類を混ぜている。一番大事な瀬戸の蛙目(がいろめ)粘土は、枯渇寸前まできております。量だけでなくて、品質も悪くなっています
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そもそも東濃地域は、良質な粘土の産地だった。
しかし、長年の大量生産で鉱山は枯渇寸前。近い将来、質の高い国産の粘土が採れなくなるといわれている。そこで東濃地域では、2000年頃からリサイクルに取り組み始めた。
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加藤誠二副社長:
一般家庭で不要になった食器。「父親からもらった大事な花瓶ですから、生まれ変わるなら」と置いていった方も。それぞれの人にとって大事なもの
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大切な器が生まれ変わり、再び誰かの元へ…。Re食器がつなぐ物語だ。
学校給食で割れた器を回収…Re食器で“モノを大事にする「食育」”
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愛知・春日井市の「岩成台小学校」の給食では、Re食器が使われている。
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岐阜・土岐市の会社「おぎそ」が、全国から学校給食で割れた器を回収し、給食用のRe食器を作っている。
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おぎその担当者:
割れた食器をもう一度有効活用して、食器から食器へ生まれ変わらせる。ゴミではなく資源として活用させていただいています
給食用に使われているのは、割れにくい“強化磁器”。強度を上げるために、粘土などに加えて、レアメタルのアルミナが配合されている。この会社では貴重な資源を守るため、全国の学校などから器を回収し、リサイクルする仕組みを作った。
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おぎその担当者:
この食器の中に18%割れた食器が含まれているという、リサイクルのエコマークを付けています
また、Re食器で「食育」も行っている。
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おぎその担当者:
プラスチックは軽くて割れにくいが、強化磁器は重くて割れるという問題点があるけど、そこを逆手にとって「モノを大事にする」。私たちは、こういった割れた食器を教育教材としています
東海地方では愛知県の春日井市や長久手市、岐阜県の美濃加茂市などの小中学校で使われている。
男子児童:
お皿を大切に使っていきたい
女子児童:
「大切に使ってもらいたい」という気持ちが込められているので、もっと大事にしようと
1300年の美濃焼の伝統つなぐ…ミライの食卓彩る「Re食器」
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岐阜・恵那市にあるカフェ『本とごはん「ある日」』では、2020年頃からRe食器を使っている。だが、使い始めたきっかけは、デザインが気に入ったからだった。
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店主の女性:
(リサイクルのものとは)知らずに買いました
店主の男性:
知っていて買うより、使っていて、そういう企業が作っている物だとわかった方が普及しやすい
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広がるRe食器の輪。東濃地域では、美濃焼の未来を考える団体「グリーンライフ21」を結成。33社が共同でRe食器の普及を進めている。この春には、新たにロゴマークもできた。
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岐阜県瑞浪市の食器メーカーの社長:
使用済みの食器を粉砕したものを、再度形にしていくところ(をデザイン)。もう一つは、GL21のところに矢印が向いています。我々は未来志向の活動をするという思いをのせたかった
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小田陶器の田所靖弘社長:
陶磁器は産廃処理場で埋めるしかなかった。延命のため、一部でもリサイクルしていく考え方も必要
ヤマカ陶料の加藤誠二副社長:
リサイクルも当然やっていかなきゃならないけど、地場産業として持続していくためには、人材と後継者の育成が必要。ただ、世代が変わってきて、新しい芽が出てきているので期待しています
1300年以上続く美濃焼の歴史。その伝統をRe食器がつなぎ、私たちのミライの食卓を彩っていく。
(東海テレビ)