鉛筆といえば筆記具の代表的な存在だが、学校を卒業してからは使う機会が減った人も多いだろう。そんな中で、大人も欲しくなりそうな、一味違う“鉛筆”がまもなく発売される。

サンスター文具が6月下旬に発売するのは、芯も軸も全てが金属でできたメタルペンシル「metacil(メタシル)」という筆記具だ。
特長は、通常の鉛筆が重さ約4gで、書ける線の長さは500mほど(同社調べ)だという中で、メタシルは重さ14gでなんと16kmの筆記が可能だという。単純に計算すればメタシル1本で鉛筆32本分も書けることになる。

芯が金属にもかかわらず書ける理由は、メタシルの芯が黒鉛を含んだ特殊合金製で、筆記時に黒鉛と合金の粒子が摩擦によって紙に付着するのだそうだ。
しかも芯の摩耗は鉛筆に比べて著しく少ないため、長時間書き続けることができるという。

筆跡の濃さは紙の種類によって変わるが2Hの鉛筆ぐらいで、消しゴムを使うことが可能。鉛筆と同じように水や水性マーカーなどで滲まないため、水彩画やイラストの下書きとしても最適だとのことだ。
軸は普通の鉛筆とは異なる8角形で全6色展開(芯は黒のみ)。価格は1本990円(税込)となっている。
「金属鉛筆」は、色が薄い・消しにくいなどマイナス要素が多かった
メタシルの製品コンセプトは“大人も欲しくなる鉛筆”。「学生だけではなく、一度は鉛筆から離れてしまった大人の方々にも手にとって頂きたい」と広い世代にアピールしている。
ところで芯が摩耗しにくいとは言え、減ってきたらやはり鉛筆のように軸ごと削るのだろうか? 今後は赤鉛筆も登場するのか? サンスター文具の担当者に聞いてみた。
――そもそもコレは「鉛筆」なの?
鉛筆ですが、厳密には「金属鉛筆」というジャンルになります。

――なぜ開発しようと思った?
もともと市場にはメタルペンシル(金属鉛筆)は存在していました。しかし色が薄い・消しゴムで消しにくい・それでいて高価といったマイナスの要素が多く、商品化は難しかったのですが、弊社内でいろいろと試行錯誤し、黒鉛の含有率などを調整した結果、低コストにおさえた商品化が実現しました。
――開発ではどんなことに苦労した?
芯に黒鉛が含まれており、黒鉛と合金の配合量によって芯の濃さと筆記距離がかわります。筆記距離を取るか、色の濃さを取るかで苦労しましたが、バランスよく決して薄すぎずそれでいて約16kmの長距離を書けるものに仕上がりました。
削らずに、芯が減ったら買い替え時
――芯が減ったらメタシルを削るの?
削らないので、芯が減ったら買い替え時になります。鉛筆削り器は刃を痛めてしまい、芯も強度が落ちるので使用できません。
――鉛筆と同じように芯が折れることはある?
芯の先端部分に強い負荷をかけると折れます。
――芯を手で触ると黒くなる?
一般的な鉛筆と比べると黒くなりませんが、強く擦ったりにぎると多少は黒くなります。
――鉛筆を舐める人がいるけどメタシルは舐めていい?
黒鉛と金属が入っているので舐めないでください。
――金属探知機や磁石に反応する?
金属探知機や磁石には反応しません。
――社内での反響は?
社内でも金属鉛筆に初めて触れる人が多く、「金属なのに書ける」点に驚かれます。
――今後、赤鉛筆や消しゴム付きなどバリエーションが増える?
バリエーションは徐々に増やしていく予定で、ボディの限定色などを定期的に商品化できたらと思っています。

長時間書き続けられるということは、鉛筆の代わりというよりシャープペンシルの代わりにいいかもしれない。書き心地が気になる人は、発売後に試してみてはいかがだろうか。