古くから牛との関わりが深く、東北で唯一の闘牛大会「平庭闘牛大会」が毎年開かれている岩手・久慈市。闘牛に関わる人たちを訪ねた。

高橋礼子アナウンサー:
牛と牛とのぶつかり合い、会場は緊張感と熱気に包まれています。迫力満点です

東北唯一の闘牛大会 ルールは“勝ち負けをつけない”

古くから牛との関わりが深い久慈市山形町で毎年開かれている「平庭闘牛大会」は、東北唯一の闘牛大会。春から秋にかけて、毎年4回開催。5月は「わかば場所」と呼ばれていて、2歳から3歳の牛が出場する。

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高橋礼子アナウンサー:
まだ2歳ということなんですが、大きいですね

2歳とはいえ、すでに400kgの重さがある。中には戦わない牛もいて、じゃれあったり逃げたりする牛もいる。一方、3歳同士の戦いになると、闘牛経験があるため激しいものになる。

ぶつかり合う闘牛
ぶつかり合う闘牛

平庭闘牛大会には大切なルールがある。それは「勝ち負けをつけないこと」。

いわて平庭高原闘牛会・柿木敏由貴副会長:
牛は一度負けてしまうと、自信をなくしやすい。はっきりとした勝負をつけずに、「どちらも頑張ったね」ということで引き分けてあげて、これからもずっと闘い続けれるようにしてあげるのが、この場所のルール

久慈市は、全国でも数少ない闘牛の生産地として有名。自信に満ち溢れた強い牛を、新潟や沖縄など闘牛が盛んな地域に送り出している。

大会に欠かせない“勢子”今回初デビュー

この取り組みを仕切るのが、「勢子(せこ)」と呼ばれる人達。
牛の状態を見極め、時には奮い立たせたり、時にはけがをさせないように体を張って牛を守る。

ベテランの中に、緊張した様子の勢子さんがいた。

緊張した面持ちの山中隼輝さん
緊張した面持ちの山中隼輝さん

今大会で勢子デビューを果たした、兵庫県出身の山中隼輝さん。
普段は、盛岡市動物公園「ZOOMO」でサルやシカを担当している飼育員。

今大会から勢子として参加・山中隼輝さん:
前の担当が牛の担当で、地元ともっと絡めた牛にまつわる情報発信ができたらお客さんも楽しいかなと思って、その時に闘牛に出会って、ここでやってみたいなって

横綱や大関など、数々の闘牛を育ててきた柿木畜産。
柿木さんの指導を受けながら、勢子の心得を学び、今大会に挑んだ。

初めてということで、最初は取り組みを見守るだけだったが、途中少しだけ手綱を握らせてもらった。

(Q:今日のデビュー戦どうでしたか?)
今大会から勢子として参加・山中隼輝さん:

全然です。目を離さないようにしないとなって、危険も伴うと思うので。先輩がやっているのを見て、次どうしたらいんだろうって考えながら見てました。結構(手綱を)引っ張る機会も作っていただいた。楽しさ半分、緊張半分。外からだと柵があるので安心感があるんですけど、それがないので、胸がドキドキするような思いでやっていました

大会で手綱を引く山中さん
大会で手綱を引く山中さん

後半の試合は、闘牛経験がある牛同士の対決。闘いに慣れていることもあり迫力満点で、会場が大いに盛り上がった。緊張感と熱気がピークに達し、全取り組みが終了。

「牛はめでる対象」闘牛のイメージをチェンジ

来場者:
かわいらしかった。じゃれあっている感じで。仲直りして引き分けで終わるので、最後まで安心して楽しめるところがいいなと思っていました

来場者:
今回、初めて見たんですけど、やっぱり迫力あっていいですね。いっぱい写真も撮らせていただきましたし、楽しかったです

観客も大満足の「わかば場所」だった。

いわて平庭高原闘牛会・柿木敏由貴副会長:
闘牛と聞くと、どうしても野蛮なイメージがありますけど、一度来てみていただければ、すごく飼い主が(牛を)かわいがっている様子が伝わると思う。なぜ引き分けにするのかもすごく伝わると思うので、楽しみながら、牛はめでる対象で、ここに根付いているんだなと理解してほしい

牛たちや勢子の皆さんにけがもなく、迫力満点の取り組みだった。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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