人生100年時代と言われ、心豊かに様々な世界で頑張る高齢者が増えている。
はじける笑顔の平均年齢90歳オーバーのみなさんが、どんな世界で輝いているのか。新たな挑戦を取材した。

白い杖を手に車から降りてきたのは馬本昭子さん(80)。昭子さんの視力はわずかに光や色を感じられる程度。

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広島市東区にあるデイサービスセンター「あんしん」。朝から続々と利用者が集まってくる。

こちらは昭子さんの友人の山本美幸さん(82)。同じく視力の問題で日常生活に不便を感じている。

最高齢は97歳の鼓笛隊…視覚障がいも皆でサポート

そんな昭子さんたちが参加しているのは「鼓笛隊クラブ」。2007年に誕生し、最高年齢は97歳、総勢34人のチームだ。

打楽器の演奏や音楽に合わせて旗を振る演技が中心で、機敏な動作、正確な動きが求められる。「広島市の祭典」出場に向けて練習中だ。

“初参加”の馬本昭子さん:
私が間違うと皆さんに迷惑かけますからね。それを頭に入れて、練習に力を入れてやっていきたいと思っています

山本美幸さん:
最初、なかなか覚えられなくて。私は小太鼓の担当で、何人もいるので揃って叩かなきゃいけないんだけど(視力の問題で)ちょっとできにくかったけど、稽古をずっとしてたので大丈夫。だんだん良くなりました

みなさんは、こちらのデイサービスに要介護認定を受けて通っている。そこに、視覚障がいというハンディを抱えながらも必死で努力する仲間が加わった。不自由な体を押してお互いに助け合いながら、舞台の完成を目指す。

デイサービスの利用者:
逆の立場になった時に、やっぱり助けてくれる人がいてくれたら嬉しいじゃない。自分にしてほしいことを相手にしてあげる。それです

3年ぶりの「けんみん文化祭」予選に向けて4カ月間猛練習

これまで「けんみん文化祭」にも何度も出場してきた実績のあるクラブだが、新型コロナの影響で、一時期 練習が制限され、予選会の出場も3年ぶりだ。

昭子さんには、スタッフが体に触れたり声をかけるなどしてタイミングを伝える。

メンバーもスタッフも真剣そのもの。練習も熱気を帯びてくる。
タイミングが合うまで何度も練習を重ねru。4ヵ月以上の猛練習の成果発表となる本番を前に,気持ちを昂らせる。

リーダー:
一人でも遅かったら、あかんねん!はい、頑張ろう!

メンバー:
私は練習日の月木が楽しみで、早く来ないかと待っています

馬本昭子さん:
目が悪いのに鼓笛隊に巡り合わせをいただいたのは、最初に声をかけてくれた山本美幸さんです。美幸さん、本当にありがとう

山本美幸さん:
頑張り屋さん!

山本美幸さん:
私も、本当に皆さんの力でここまで来れたので予選会は頑張ります

全員:
おー!

待ちに待った晴れ舞台…猛練習の成果を発揮

いよいよ本番当日。練習を終えたメンバーが続々と会場入り。

「けんみん文化祭」の予選を兼ねた「広島市の祭典」には、活動実績のある広島市内の34団体が参加。

本番前、控室を覗くと、緊張した様子もなく和やかにおしゃべりを楽しむ姿が…

馬本昭子さん:
べっぴんになりました?

メンバー:
なったなった

馬本昭子さん:
自分の顔が見たいねぇ

おそろいの黒い衣装に身を包み、いよいよ晴れの舞台へ。

場内アナウンス:
エントリーナンバー22番「あんしん・大上・ドリームチーム」。それではどうぞ

それぞれが練習の成果を発揮。最初は固かった表情も、少しずつ和らいでいった。

(本番を終えて)
メンバー:
あっという間でしたね。楽しかったです

山本美幸さん:
ほっとしました。終わりましたので、後は優勝するよう願ってます

馬本昭子さん:
緊張しました。ちょっと間違えたところもあったんじゃないかと思う。大舞台はあまり慣れないけど、いい体験させてもらいました

今回は残念ながら、秋の「けんみん文化祭」出場は逃したが、どんなに歳を重ねても、「やりたい!」という気持ちを大切にして新たな挑戦をすることが、皆さんの元気のもとになっているようだ。

(テレビ新広島)

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