5月29日に投開票される新潟県知事選挙には、届け出順にいずれも無所属で現職の花角英世さんと新人の片桐奈保美さんの2人が立候補している。それぞれの選挙戦の様子を取材した。

現職として“実績”をアピールする花角候補

4年前、前知事の突然の辞職に伴う知事選で初当選を果たした花角さん。

無所属・現 花角英世 候補:
船に例えれば、新潟丸は漂流を始めた。どうでしょう、この4年間 船は安定して進んできたと、皆さん認めていただけますでしょうか

無所属・現 花角英世 候補
無所属・現 花角英世 候補
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「混乱した県政を立て直した」と実績をアピール。

また、「県内各地に出向き、対話をしてきた」と訴え、選挙戦でも地域の課題に触れながら、防災力の強化や人口減少対策など幅広い政策を掲げ各地を回る。

中でも熱が入ったのが、生まれ育った地元・佐渡での訴え。
自ら政府に働きかけ、ユネスコへの推薦にこぎつけた“佐渡島の金山”の世界遺産登録を実現させ、交流人口を拡大させると主張する。

花角候補が生まれ育った佐渡
花角候補が生まれ育った佐渡

無所属・現 花角英世 候補:
佐渡が元気になる、新潟県が元気になる、最大のポイントは佐渡金山の世界遺産登録。来年の登録実現に向けて、何よりも力を入れて取り組む。佐渡全体で、金山をきっかけに訪れた方々を受け止めて、簡単には帰さない

佐渡金山の世界遺産登録に力
佐渡金山の世界遺産登録に力

そんな地元を街宣車で回ると、建物の2階から手を振る人の姿が。感じ取る手応えも特別のようだ。

無所属・現 花角英世 候補:
県内各地で歓迎していただける方がいるが、佐渡は特に多いような気もする。生まれて育ったところですからね

この日の昼食は、その地元の風景を眺めながら。選挙中は時間がなく、街宣車の中で済ませることが多いと言うが、久しぶりの座敷での昼食に表情も緩む。

無所属・現 花角英世 候補:
初めてじゃないですか、こういう時間があるというのは。後にも先にもなかったりして

座敷で昼食休憩
座敷で昼食休憩

支援体制厚い花角候補 陣営は緩みを警戒

しかし、ひとたび選挙モードに戻ると、陣営が警戒するのは…

自民党 桜井甚一 県議:
4年前の選挙では相手候補を支援した一部の団体・政党が、今度は花角さんを応援しなきゃいけないということで来ている。逆に安心感が一部に漂っている

自民党 桜井甚一 県議
自民党 桜井甚一 県議

今回の選挙戦では、国政与党の自民・公明に加え、野党の国民民主、さらに前回は相手候補を支援した労働団体・連合新潟なども花角さんを支持。

分厚い支援体制ゆえに楽観ムードによる緩みが生じないよう、各組織の引き締めに向け、連携が求められる。

(Q.緩みは?)
自民党県連 小野峯生 幹事長:
そこが一番心配。それぞれの組織をまとめていただく

自民党県連 小野峯生 幹事長
自民党県連 小野峯生 幹事長

連合新潟 牧野茂夫 会長:
組合員がしっかり花角さんに投票するように対応。投票に行ってもらうような取り組みをやっていきたい

連合新潟 牧野茂夫 会長
連合新潟 牧野茂夫 会長

支援組織とともに、花角さん自身も最後まで気を引き締め、訴えを続ける姿勢だ。

無所属・現 花角英世 候補:
序盤・中盤・後半、関係なく、目指したい新潟県の姿を、各地域でできるだけ多くの人にお話して、理解・支援していただきたい

原発“再稼働反対”訴え 現職に挑む片桐候補

一方、片桐さんは反原発を掲げ、初めての選挙戦に挑んでいる。
ロシアによるウクライナ侵攻で原子力発電所が攻撃されたことを受け、出馬を決意した片桐さん。

無所属・新 片桐奈保美 候補
無所属・新 片桐奈保美 候補

県内各地を回り、訴えの中心に据えるのは、やはり柏崎刈羽原発の再稼働反対。

無所属・新 片桐奈保美 候補:
私は柏崎刈羽原発が万が一攻撃されて、新潟県民が逃げ惑う姿、そんなものは見たくない。原発に頼った政治から離れれば、もっと色んなことができる

原発に頼らず、再生可能エネルギーで電力はまかなえると主張。
また、住宅メーカー副社長として経営に携わる経験から、物品費の見直しなど財政改革に取り組み、医療や子育て支援の充実に予算を回すと話す。

無所属・新 片桐奈保美 候補:
県は、一生懸命「お金がない」と言っているが、非常にじゃぶじゃぶと使っているところがある。私たち民間で買っている値段よりも、高い買い物をしている

厳しく今の県政運営を批判する片桐さんですが、昼の休憩は束の間の緊張をほどく時間。

事務所に飾られた、「congratulation(おめでとう)」の文字が縫われた刺しゅうは、選挙戦の直前に片桐さん自身が作った作品だ。

片桐候補が制作した作品
片桐候補が制作した作品

スタッフとの食事中リラックスし、その作品に話題が及ぶとこんな本音も。

無所属・新 片桐奈保美 候補:
congratulationだから、当選したら自分のものと思ったけど、花角さんにおめでとうの言葉をやらないといけなくなったら嫌だな

初の選挙戦に不安抱えるも支援の熱高まる

自ら選挙戦に挑むのは今回が初めての片桐さん。不安になるときも。

無所属・新 片桐奈保美 候補:
演説、聞いていて変?

不安になるときも…
不安になるときも…

そんな片桐さんを全面的にサポートするのが、前知事の米山隆一衆院議員。6度にわたる選挙経験から片桐さんにアドバイスしている。

前知事 米山隆一 衆院議員:
聴衆がいたら、中に1人ぐらい、ずっと「うん、うん」と言ってくれる人がいるから、その人だけ見て話しなさい。最後に「ありがとうございました。頑張ります」と大声で言えば、みんな何となくよかった気分になれるから、最後の声だけは元気よく言ってくださいとアドバイスした

前知事 米山隆一 衆院議員
前知事 米山隆一 衆院議員

そのアドバイスはしっかり届いているようで…

無所属・新 片桐奈保美 候補:
よろしくお願いします。ありがとうございます。きょうから頑張ります

さらに5月21日にはこの人も。

立憲民主党 菅直人 元首相:
原発をなくす。世界で7基も並んでいるのは柏崎刈羽だけですから、それは何としても片桐さんに実現してもらいたい

立憲民主党 菅直人 元首相
立憲民主党 菅直人 元首相

推薦する共産党や社民党などに加え、自主投票を決めた立憲民主党から菅直人元首相が応援に入り、支援の熱は高まっている。こうした支援を背に、片桐さんは最後まで走り抜ける決意だ。

無所属・新 片桐奈保美 候補:
県の隅々まで回って、原発の危険を訴えることに意味があると思ったけど、だんだん何としても止めなきゃいけないという思いが出てきたことは確か。こうなりゃ頑張るしかないじゃないですか

反原発への思い
反原発への思い

現職と新人の一騎打ちとなった戦いの行方は…

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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