アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」が販売を終了する。2001年の発売からおよそ20年で幕を閉じることになった。

在庫なくなり次第 販売終了

アップルは10日、携帯音楽プレーヤー「iPod touch」について、在庫がなくなり次第、販売を終了すると発表した。

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アップルは声明で、「iPodが何億人ものユーザーに音楽をもたらした方法は、音楽の見つけ方、聴き方、共有の仕方を再定義しました。今もiPodの精神は生き続けています」とコメントしている。

音楽を聴く端末は「iPhone」などスマートフォンに移行したため、「iPod」はその役割を終えることになった。

配信サービスの基礎、音楽の民主化も

三田友梨佳キャスター:
暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表の小泉耕二さんに聞きます。
iPodが販売終了へと向かいますが、いかがですか?

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
2001年にスティーブ・ジョブズは「1000曲をポケットに」というシンプルなメッセージと共に音楽配信ソフトiTunesと初代iPodを発表しました。

なにせ1000曲が入っている前提なので、どうやって曲を選ぶの? という問題がありました。 そこで、「タッチホイール」というくるくるダイヤルを回して曲を選ぶことができたり 、「シャッフル機能」という次の曲を勝手に選曲してくれるような体験の提供はジョブズらしい創意工夫に溢れていました。

三田キャスター:
私も「タッチホイール」に憧れていて、手に入れたときはとても嬉しかったことを覚えています。ここから音楽の楽しみ方が変わりましたよね。

IoT NEWS代表の小泉耕二さん:
2003年にiTunes Storeが開始し、1週間で100万曲ダウンロードされる快挙を成し遂げました。 アルバムを全曲楽しむというスタイルから、昨今主流のストリーミング配信では当たり前となる「個別の楽曲を組み合わせて楽しむ」というスタイルも確立しています。

そして、著作権を考慮した音楽配信サービスは、現在のさまざまなサービスの基礎ともなりました。 例えば、動画コンテンツの配信サービスが実現できているのも「著作権のあるデータの送受信」が音楽業界において実現できたという影響は大きいです。

他にも、限られたレーベルに属するプロのアーティストが楽曲をリリースするだけでなく、誰もがネットを通して世界に向けて楽曲を発表できる「音楽の民主化」を進めるきっかけにもなりました。

三田キャスター:
未来の音楽体験はどうなっていくのでしょうか?

IoT NEWS代表の小泉耕二さん:
向こう10年、20年というスパンで考えると、AIや仮想空間の進化がイメージされています。そこと音楽は融合していくと思われます。

そして、楽曲の利用では、AIがその人に合ったものを自動的に選択できるようになり、メタバース上での体験として音楽が提供される。さらに、誰もがこういう音楽を作りたいと思うだけで、 AIが勝手に作曲してくれる。

一方で、ライブなどの生演奏がより価値を高める可能性があります。さらに、DJのような楽曲との出会いや組み合わせを提案する技術が高度化していくと思います。

三田キャスター:
当時、CDやMDプレイヤーを持ち歩いていた時代、iPodが発売された時は衝撃的でした。 Apple製品との出会いがiPodだったという方も多いのではないでしょうか。時代の流れを感じます。

(「Live News α」5月11日放送)