原材料価格の高騰や輸送費の上昇などで、2022年はさまざまな生活関連商品などの値上げラッシュが続いている。こうした中、消費者庁が4月28日に“便乗値上げ”の通報窓口を開設したのをご存じだろうか。

正式名称は「便乗値上げ情報 消費者受付ウェブ窓口」
消費者庁の公式ウェブサイトに設けられた、専用フォームから、対象となる商品又はサービスの種類、対象となる商品又はサービスの名称、店舗名・事業者名、都道府県、市区町村、値上げの状況を入力することで通報できる。

消費者庁のウェブサイトより
消費者庁のウェブサイトより
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例えば、値上げの状況の項目では「○年〇月まで●●円だった商品が〇年〇月から●●円に値上がりした」といった詳細な状況を情報提供できるほか、入力は必須ではないが、便乗値上げだと思った理由を自由に記入することもできる。

また、ウェブサイトには下記の注意事項が記されている。

※一般に、個々の商品などの価格は、自由競争の下で、需給の動向やコストの変動などの市場条件を反映して決定されるものであり、経営判断に基づく自由な価格設定は妨げられません。
※労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇など合理的な理由によって値上げを行う場合は便乗値上げには当たりませんが、最近の物価高騰に乗じて、そうした合理的な理由がないにもかかわらず値上げを行う場合は、便乗値上げに当たる可能性があります。

“便乗値上げ”判断基準となるポイントは

値上げの多くはやむを得ない理由だろうが、今回の窓口が設けられるということは便乗もあるのだろうか。情報を届け出るとどうなるのかも気になるところだ。消費者庁の担当者に聞いた。

――窓口を設置した狙いは?便乗値上げは行われているの?

4月26日に「原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議」があり、コロナ禍における物価高騰の総合緊急対策として、窓口を設置いたしました。現時点で便乗の値上げが疑われることはないと認識していますが、生活関連物資の値上げに注視するため、消費者から情報をいただく環境を整えました。

通報窓口の入力画面(消費者庁ウェブサイトより)
通報窓口の入力画面(消費者庁ウェブサイトより)

――便乗値上げかの判断基準となるポイントはある?

明確な判断基準を定めるのは困難です。原材料費などが高騰している事実はあるため、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇など、合理的な理由での値上げは便乗値上げにはあたらないと思います。最近の物価高騰に乗じて、合理的な理由がないにも関わらず値上げをする場合は、便乗値上げにあたる可能性があります。個々の事情もあるため、ケースバイケースになるかと思われます。
 

――窓口としてどんな情報があると判断しやすい?

便乗値上げと思われる情報であればというところで、範囲は限定していません。

窓口に寄せられた情報はどう役立てる?

――窓口に寄せられた情報はどう役立てる?

窓口で受け付けた情報は消費者庁で確認・整理をしたうえで、便乗値上げの可能性があると疑われる情報については、それぞれの製品に関係する省庁に提供をしていきます。
 

――便乗値上げが疑われる場合、指導は行うの?

消費者庁が独自で指導などをすることは、基本的には想定しておりません。それぞれの製品には所管する省庁があり、消費者庁は関係省庁に対し、必要に応じて事実確認を行うように要請をしていますので、疑われる状況があれば適切に対応されると考えております。

通報窓口では便乗と思う理由も記入できる(消費者庁ウェブサイトより)
通報窓口では便乗と思う理由も記入できる(消費者庁ウェブサイトより)

――既に情報提供は寄せられているの?

現時点では開示はしておりません。ただ、今後は必要に応じて、窓口に寄せられた件数や寄せられた情報の事例などは公表する可能性はあります。窓口の開設期限は定めておりません。
 

――便乗値上げで苦しい人が他に頼れるところは?

今回の窓口では調査結果などの問い合わせについては対応しておりません。個別のトラブルで悩まれている場合は、消費者ホットライン(電話番号:188)をご利用いただければと思います。

個別のトラブルは消費者ホットラインに(出典:消費者庁)
個別のトラブルは消費者ホットラインに(出典:消費者庁)

便乗値上げが疑われる情報は、関係省庁に提供されるという。合理的な理由での値上げでなく、あまりにも価格が高いなどと感じた場合は、届け出る場所があることは覚えておきたい。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。