髭を蓄えた写真をSNSのプロフィール欄にアップしていた男。
2022年4月、偽造した介護福祉士の免許証を使った疑いなどで逮捕・起訴された、福岡県北九州市小倉北区の米原徹訓(よねはら・てつのり)被告(52)だ。

免許証を偽造し「自分が面倒みるから」…甘い言葉で障害者女性をだます

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桜井福大記者:
米原容疑者を乗せた車が小倉北警察署から出てきました。検察庁へと身柄が送られます

起訴状によると米原被告は、偽造された免許証を使って2021年3月から7月までの間、勤め先の介護事業所から5万円余りの資格手当をだまし取ったとされている。 取材班は、米原被告の偽造免許を独自入手した。

桜井福大記者:
わたしの手元に2枚の書類があります。どちらも介護福祉士の免許証のコピーなのですが、一方はわたしたちが入手した偽造されたものです

ひと目では違いがわからない。写真左側が、偽物の免許証。

精巧に作られた免許証。 厚生労働大臣の印鑑まであり、ひと目では違いがわからない。いったいどうやって偽物と気づくことができたのか。

米原被告が働いていた訪問介護事業所の経営者に話を聞くと…

訪問介護事業所の経営者:
資格証と並べて見比べて見ると、フォントが違った。1人だけフォントが違った。あ、やられたと思いますよね。それで全てのことが…。この人の全部に虚偽があると疑って

正規の免許証とは微妙に異なるフォント。 経営者が免許証偽造を疑ったのは、米原被告をとりまく「金銭トラブルの相談」を受けたことがきっかけだったという。

「旦那さんくらいに思ってた人」「2年間を返して」

記者:
(顔写真を見せながら)これは誰ですか?

金銭被害を訴える女性:
米原徹訓です。2年間の人生は、この人に全て預けていました。2年間、返してって思います

米原被告の写真を見て声を絞り出すようにして口を開く女性。 ヘルパーだった、米原被告の訪問介護サービスを受けていた京子さん(仮名)だ。

京子さんは生まれつき脳性麻痺があるため、体の自由がきかず、人生のほとんどを車いすかベッドの上で過ごしてきた。

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
旦那さんくらいに思ってた人だったんですよね。(米原被告と)一緒に住めるって思ってたから

京子さんと米原被告の出会いは約3年前。SNSを通じて、当時神戸に住んでいた米原被告と知り合うと、米原被告は甘い言葉でこう切り出してきた。

「ヘルパーの免許を持っているから事業所で雇ってもらい北九州で一緒に住もう」

米原被告と女性は介護事業所に相談し、米原被告をヘルパーとして受け入れてもらうことが決まった。事業所の経営者は、米原被告の第一印象についてこう話します。

訪問介護事業所の経営者:
ファッショナブルで、この業界の人にしては派手目な男性だなと。いま考えたらの話ですけども…

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
最初は優しかったんです、すごく…。あ、この人もしかして本気かなって

下の画像は、当時、米原被告が女性に送ってきたというものだ。 「これからもそばにいて」「I Love You」の文字が見て取れる。

しかし、京子さんにとっての幸せな時間は、“ある時間”を境に変わり果ててしまったという。

「面倒見るからお金預けて」200万円“詐取”…突如 音信不通に

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
ずっと自分が面倒見るからって、だからお金預けてって言われたんです。自分は障害者年金と生活保護で生活しているんですけど、通帳と印鑑全部持って行かれて…

家賃の支払いなどという言葉を信じ、通帳と印鑑を渡してしまった京子さん。

しかし、米原被告は家賃や電気代を支払わなかったため、自宅の電気が止まってしまった。京子さんは手元にあったわずかな現金を使い、ネットカフェで寝泊まりすることもあったという。

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
ネットカフェに泊まる感じになって、ひどいときは駐輪場で寝てました

さらに追い打ちをかけたのが…

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
着信拒否されて、LINEもブロックかけられて。何で、この人こんなことするんかなって。通帳の中にも0円って書いてて…

突如として音信不通に。米原被告との将来を信じていたが、そこでようやく目が覚めたという。

米原被告に“搾取”されたとみられる現金は総額約200万円。女性が生活費を切り詰めて貯めてきたものだった。

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
簡単に言えば、生活できない状態でしたね。生きているのが不思議だな、くらいの

モノのような扱い 熱いカレーを口に入れられたことも…

さらに京子さんは、食事の際、熱いカレーを口に入れられやけどしたこともあった。モノのような扱いを受けたことにもショックを受けている。

金銭被害を訴える京子さん(仮名):
我慢できず(口から)出したんです。「出すな子どもじゃないねんから」って。じゃあ少し冷ましてから…って(言うと)、「いまは、時間ない」って言われて。
障害者と思って本当にバカにされてるというか、モノと思われてるというか。こんな人が1人でも増えてほしくないなって思ったんですね

介護免許証の偽造だけでなく、人の尊厳をも踏みにじったという米原被告について、勤務先だった介護事業所の経営者は…

介護事業所の経営者:
この介護業界のためにもどうにかしないと、こういうことがまん延されたら大ごと

警察の捜査段階で、介護免許証の偽造などについて「間違いありません」と認めたという米原被告。
京子さんは警察に被害届を出すべく相談を続けていて、警察は詐欺事件として立件できるか調べを続けている。

(テレビ西日本)

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