労働節(メーデー)の連休中、晴れの日が続き絶好の行楽日和だった中国の首都・北京。本来であれば、観光名所や飲食店には多くの人が訪れていたはずだ。しかし今、北京市民の多くはこの好天気とは対照的にどんよりとした気持ちで過ごしているだろう。

世界遺産の頤和園 3日から室内の展示物の見学が中止に
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パンダが見られない!規制は観光名所でも

新型コロナウイルスの感染拡大を警戒する当局の規制は、世界遺産の故宮や頤和園(いわえん)でも行われた。5月3日から観光名所における室内の展示物の見学が中止となり、さらに北京最大の動物園「北京動物園」では、大人気のパンダが見られなくなった。

中国文化観光省によると、連休中(4月30日から5月4日までの労働節の5連休)の国内旅行者の人数は前の年と比べ約3割減少し、観光収入も4割以上が減少となった。担当者は「国内の厳しい移動制限によって観光消費への影響が大きかった」と話す。

北京動物園のパンダ 3日から一般見学が中止になった

店内飲食禁止を継続 公共交通機関も規制対象に

北京市当局は5月1日から4日までの連休期間中、市内すべての飲食店を対象に店内での飲食を禁止する対策を発表していた。本来は連休中の暫定措置だったが、連休最終日の4日に期限を示さずに延長が発表された。これにより5日以降も北京市では店内での食事ができず、テイクアウトやデリバリーのみとなっている。

北京市の飲食店は店内での食事が禁止 

また、日本大使館や多くの日系企業の拠点もある朝陽区の企業は5日以降、原則在宅勤務となり、出社する場合は事前に管轄区域の担当者に理由を伝えなければいけなくなった。さらに通勤ラッシュで多くの市民が接触するのを防ぐため、連休が明ける前日の4日には地下鉄の駅が60カ所以上閉鎖され、路線バスも運行停止となった。

閉鎖された地下鉄の駅 北京市では60以上の駅が閉鎖された

習近平指導部「ゼロコロナ政策の堅持」を改めて確認

生活の自由が徐々に奪われていく中で、北京市政府は市民に対して感謝のメッセージを発表した。そこには「大型連休中の感染拡大の予防や統制措置の協力に感謝します」という言葉がある一方で、引き続き措置を継続しゼロコロナ政策を続けていくとされていた。

北京市政府から市民に出されたメッセージ 北京日報に5月5日掲載

連休明けも、北京市では幼稚園から高校まで全ての学校で休校が続いている。また、電車やバスに乗る際や公共施設に入る際も陰性証明が必要になるなど、規制は徐々に厳しくなり市民の行動の自由は奪われている。こういった状況に対して、北京市民に話を聞くと不便さを訴える市民もいる一方で「ロックダウンされないために国に協力する」と話す人もいた。

北京市では5月に入り連日50人前後の市中感染が見つかっていて、感染が増え始めた4月22日以降の累計感染者数は600人を超えた。5日に行われた習近平指導部の会議では新型コロナの状況について「武漢以来の試練に耐え大きな成果をあげている」として、北京の状況には触れなかったものの、ゼロコロナ政策の堅持が改めて確認された。北京や上海でこれ以上感染が広がらないよう引き締めを図ったとみられる。

相次ぐ感染対策の強化で感染者がゼロになる日はいつになるのか。北京市民のどんよりとした気持ちが一日も早く晴れるのを願っている。

【執筆:FNN北京支局 河村忠徳】

河村忠徳
河村忠徳


FNN北京支局特派員。これまでに警視庁や埼玉県警、宮内庁担当と社会部畑を主に歩む。また報道番組や情報制作局でディレクターも担当。

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