東京・新宿区に住む和真さん(35)・アナスタシアさん(22)夫妻。日本とウクライナで暮らしていた2人は3年前に結婚し、日本で生活を始めていた。
そんな中、2月24日に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻。
ウクライナに住む家族が避難のため日本へ
「なんのために戦争を始めたのか…」
アナスタシアさんは、ウクライナ東部の町・ドニプロに住んでいる、母・マーヤさん(44)と年の離れた妹・レギナちゃん(6)、弟・マトヴェイくん(4)のことを心配し、夜も眠れない日々を過ごしていた。
めざましテレビが2人を取材したのは、侵攻開始から1週間あまりが過ぎた3月4日。このとき、ウクライナの家族は、日本への避難を決意しており、日本にいる和真さんは、ビザの手続きを進めている最中だった。
3月5日、母・マーヤさんとレギナちゃん、マトヴェイくんの3人は、1000km離れた経由地ポーランドへ向けて避難を開始。避難民であふれる列車に揺られ、バスを乗り継ぎ、歩いて国境を越え、隣国ポーランドまで40時間の道のりだった。
日本へ到着したのは、そのさらに10日後の3月17日。無事再会を果たしたものの、ここから慣れない日本での生活が始まる。
「できることなら、家に帰りたい」終わりの見えない日本での生活
アナスタシアさんと和真さんが住む家に、身を寄せた3人。まず、和真さんが動いたのは、ビザの切り替え。3人は、避難を目的とした「短期滞在」のビザを取得していた。
しかし、「短期滞在」のビザでは、90日間の在留資格しか付与されていない。そのため、1年間滞在できる「特定活動」ビザへの切り替えを急いだ。
「特定活動」ビザが認められれば、避難してきた3人も住民登録をして、国民健康保険にも加入できる。母・マーヤさんは、働くことができ、子どもたちも学校に通うことができるのだ。
3人分の航空券や受け入れの準備で数十万円の出費。更には今後の生活費も積み重なっていく。
和真さんは、東京都庁へも相談に出向き、マーヤさんら3人が無料で都営住宅に入居できるという支援情報を得て、仕事の合間をぬって手続きを進めた。
知人の支援にも助けれらた。持ち運べるほんのわずかな荷物を手に逃げてきた3人のために、和真さんが知り合いに衣服の支援をお願いすると、支援の輪は瞬く間に広がり、たくさんの衣服や子供のためのおもちゃが集まったのだ。
4月6日、レギナちゃんは、日本の小学校へ入学。マトヴェイくんも幼稚園への登園が始まり、母・マーヤさんも日本語教室に通うことに。
異国での生活が進んでいく中、母・マーヤさんは、ウクライナに残してきた家族が心配でたまらない様子。
「できることなら、家に帰りたい…」ウクライナへの思いを募らせていた。
3人は一体いつ、ウクライナへ帰ることができるのか。終わりの見えない日本での生活が、今も続いている。
めざましテレビが密着したこの家族が抱える葛藤を、めざましテレビニュース班が制作した「ザ・ノンフィクション」で放送する。
『ザ・ノンフィクション たどりついた家族 ~海の向こうの戦火と涙~』
5月1日(日)14時00分~14時55分 フジテレビで放送
(執筆:めざましテレビ ディレクター蔵本卓大・井本早紀)