増加する外国籍の園児たち 言葉の壁を越える「お助けツール」製作…イラストでわかりやすく【広島発】
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増加する外国籍の園児たち 言葉の壁を越える「お助けツール」製作…イラストでわかりやすく【広島発】

広島県内の保育園に通う外国人の園児は何人いるのか?答えは「わからない」。実は、県では外国人保育園児の数を把握していない。外国人であっても特別な措置はないので、数を把握する必要性はないとしている。しかし、今、保育の現場では様々な問題が起こっている。

話せるが書けない…命にかかわる情報も

海外留学生(外国人留学生)の多い東広島市の保育園では、年々、外国国籍の園児が増えている。2歳の子供を東広島市の保育園に預けているベトナム人のリンさん。来日15年目のリンさんでも言葉と文化の壁に苦しんでいる。

ベトナム人 来日15年目・カオ ティ トゥイ リンさん:
話せるが書けない。例えば、先生とコミュニケーションしたい時にはどうやって書いたらいいか分からない

Q:保育園とのノートの交換が出来ない?

ベトナム人 来日15年目・カオ ティ トゥイ リンさん:

できない

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こちらの表は県内に在住する外国人の推移を示している。2014年から5年間で1.4倍に増加し、2019年には過去最高を記録。ここ3年間はコロナ禍で数が減少するが、今後、労働人口が減少する日本にとって外国人は増加することが予想される。

さらに法務省の調査によると、県内に在留する外国人は、2019年の時点で127の国と地域から来ている。急増する人と言語の数。対応が追い付かない。しかし、保育の現場は待ったなしだ。

呉工業高等専門学校・小倉亜沙美 准教授:
一番恐れているのは子供に食物アレルギーがあって、それがうまく伝わらなかったとき、最悪の場合、死に至ることがあると思う。感染症などで保育園に来てはいけないとか、熱が出たら熱が下がって24時間は保育園に来てはいけないとか。そういった情報を伝えなければいけないのに、それがうまく伝えられないこともあると思う

西条にじいろ保育園・近藤萌 保育士:
翻訳機だと、どうしても正しい文章に訳されてないこともあったりするので、外国語を喋ることのできる人がいてくれた方が安心なのかなと

「何があれば助かるのか」。小倉さんは保育園にアンケートを取ってみた。一番は翻訳機と通訳だったが、小倉さんが目を付けたのはイラストだった。

宗教・文化の違いをわかりやすく説明

呉工業高等専門学校・小倉亜沙美 准教授:
イラストや文字が書いてあって、指さしで会話できるものがあったらどうですか?というアンケートも取っていて。翻訳機と通訳の次(2番目に)多かったため、2021年に呉高専の学生の卒業研究のテーマとして製作した。

呉高専で作られたコミュニケーションツールがこれだ。

呉工業高等専門学校・小倉亜沙美 准教授:
一つがコミュニケーションの補助ツールで、もう一つが宗教によって注意すべきこと。例えば宗教は何ですか?と聞いた時に「イスラム教です」と言われたら、3ページ目と4ページ目を開くと、イスラム教の人が保育園に入って来る時に気を付けるべきことがまとめられている

宗教によっては食べることを禁じている食材がある。宗教以外でも動物性食品を避け、野菜などを中心に食べるベジタリアンの人もいる。また、国によっては生活習慣などに厳しい決まりもある。それらを知っておくことは、保育園にとっては重要なことだ。

呉工業高等専門学校・小倉亜沙美 准教授:
自分たちの文化をちゃんと知って欲しい、伝えたいという気持ちがあるが、コミュニケーションの問題でそれが伝えられにくいとか、なかなか理解されないのではないかという不安を持っている

イラストを指さし 体調や園での様子を伝える

保育士とのコミュニケーションを補助するツールには、笑顔や怒ったような顔のイラストが描かれている。保護者が子供の様子を伝える時には…。

呉工業高等専門学校・小倉亜沙美 准教授:
きょうの様子はどうですかと聞いた時に「調子がいい」とか「機嫌が悪い」とか「食欲がない」といったことを、このページで伝えられるようになっている

また、保育園での一日の様子を伝える時は。

呉工業高等専門学校・小倉亜沙美 准教授:
「きょうは友達と遊びました」や「友達と何回もけんかしました」など、子供の園内での様子を知りたいという意見がすごく多かった。親にとって、園内の様子はすごく大事な情報なのだと知り、これは絶対に入れたいと思っていた

食べられない食材や熱がある時の対応なども、イラストを指さしすることで相手に伝えることができる。

この保育園では、外国人の園児や他の園児にも、日常的にイラストカードを使ったやりとりを行っている。確認や理解を素早く的確に行うためには有効な手段だという。

西条にじいろ保育園・近藤萌 保育士:
実物を見せて「これを持ってきて」と言ったら、伝わったりという感じです。カードや写真、実物を見せることで、言葉が伝わらなくても外国籍の方にもちゃんと伝わるのかなという気がしている

国や地域で言葉や文化が違うことは仕方がないことだが、その壁を乗り越えて共生していく社会をどのように作っていくのかが、今後の私たちの大きな課題である。

(テレビ新広島)

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