救助要請があったという「カシュニの滝」付近の様子
救助要請があったという「カシュニの滝」付近の様子
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息子が安否不明…情報求め現場で探し回る

知床沖で26人を乗せた観光船が消息を絶っている事故で、船に乗っていた息子が行方不明だという男性が、25日朝、取材に応じました。

息子が行方不明の男性:
うちは息子が船に、辛いけど、乗っててまだ上がってないんですよ、それで、きのうからこうやって、ぐるぐるぐるぐる回って、探しているんだけども、どうしようもないんだけど、いたたまれなくて、こうやって来ているんだけど、こういう状況の中で、今いるんですよ

乗船した息子の安否がわからず、現場周辺を回って、情報を求めていると話します。

息子が行方不明の男性:
いや、たまたま携帯を見ててクルーズ船沈没ってあったから「あれ?息子行ってるんだな。ウソだろ?」と思って、それでメール、電話をしたんですよ。
そしたら全く通じない。それで「あれ?これおかしいんじゃないか?」と思って斜里の消防署にかけたら「まだ詳細は分からないんだけれども」っていうことで、我慢できなくてこっちに来ちゃって。こっちに捜査本部っていうのを立ち上げたのでそちらに行ってくださいと言うことでその日にこっちに来て。

メールや電話をしても、息子へは連絡が全く通じなくなりました。息子が乗船した理由についてこう明かします。

息子が乗船した理由は「彼女へのサプライズ」

息子が乗船していたという父親
息子が乗船していたという父親

息子が行方不明の男性:
彼女にも黙って、ここにきて、こういうサプライズを、誕生日お祝いしてやろうと、本人が考えて。クルーズの旅ですか、観光船に乗せてということを考えてきたときに、今回こういう事故にあったという。多分、23日が誕生日だったんです。朝も、おめでとうって言って、誕生日おめでとうって言ったっきり。

彼女へのサプライズとして、今回の観光船への乗船をしたのではないか、と父親は話します。

写真:知床斜里町観光協会提供
写真:知床斜里町観光協会提供

息子が行方不明の男性:
(会社側から)「どんな小さな詳細なことでもお話します」ということで、一日3回、(不明者が)上がろうと上がるまいとちゃんと説明します」ということで、「きょうからしっかり説明します」という話がきのうありました。

会社側から説明を受けたものの、強い不信感を抱いています。

会社側説明「検査して問題なし」

息子が行方不明の男性:
不信感です。ちらっと話したけど、「なぜ出たんだ?」と言ったら、「検査したら問題なかった」と。バカ言えと。浮いてるものが沈むっていうこと自体がおかしいじゃないかと。検査にやっぱりね、ミスがあったから沈んだんじゃないかと。

Q.船体の傷については?
それは直したって話はしていました。でもそういう話を聞いてるんじゃなくて、直したものが、じゃあなぜ沈んだんだと。だから沈んだものが出てこないから、いいように言ってるんじゃないのかってことですよね。私らには何もわからないんで。
だからあとは報道で、報道されている話をもとに、傷があったとか、水が浸水したっていう情報しかからわからない。正直なところ、どこまで向こうが(自分たちの話を)聞いていくれるか、そこだけです

去年6月にも座礁事故を起こしたという。船頭に亀裂があったという情報も(視聴者撮影)
去年6月にも座礁事故を起こしたという。船頭に亀裂があったという情報も(視聴者撮影)

船が出航した理由について、会社側は家族に対して、「検査したら問題がなかったから」と説明していたといいます。また、船体の傷については、「修復した」という趣旨の説明をされていました。

息子が行方不明の男性:
捜索していますけど、とりあえず未だに船は見つかっていませんと。だけど、この辺だろうという認識で海域を捜索しているらしいんだけども、何の手がかりもない状態でやってます。
とりあえず不明者が収容されているか聞いたけども、結局それ以外のことは、全力を尽くしているけれど、どこに沈んだか分からないものをやっぱり必死になってやってるっていう、ただその話だけですよ

会社側からは謝罪されたと言いますが、出航の理由について、詳しい説明はまだないということです。

息子が行方不明の男性:
初日来たときは、船会社の社長さんが「申し訳ない」って謝りに来たんだけど、「結局、なぜこの悪天候で船を出したんだ?」と。私は大丈夫だっていうことを言っていましたね。
やっぱり、僕は、自分の子供、息子がね、こういう状況になってて、そこでやりあいじゃないけど、せめぎ合いになっても話は進まないので、まず息子を見つけてくれてからのスタートだっていう話をしたんですよ。だからそっからの話は進んでいません

「救命浮器」というオレンジ色の救命道具のようなものが見える
「救命浮器」というオレンジ色の救命道具のようなものが見える

行方不明者の家族に対しての説明会では、厳しい非難の声が寄せられ、途中退席する人もいたということです。

息子が行方不明の男性:
もう怒号が飛び交っていますのでやっぱり皆さん同じ気持ちですよ。やっぱり、あまりのずさんさで途中で退席する人もいました。話にならないって。もう「息子を帰せ」とか、本当に罵声がすごかった。
それだけやっぱり国もそうかもしれないけど、やっぱり遺族の気持ちなんて全く考えていない。とにかく説明はいいんですよ。なぜこういうことになったかという、その説明が、なぜこういう事故になったかという説明が、まず何も聞かされていませんよ

どうして今回の事態を招いたかについては、何の説明もなかったということです。

家族は一刻も早い行方不明者の救出を待っています。

 

(めざまし8 4月25日)