2021年8月の豪雨で、自分たちが住む地域が被災したのを目の当たりにした、佐賀・武雄市の高校生。
この記事の画像(14枚)それぞれが思いを抱き、実際に起きたことを忘れないために被災地の高校生がドキュメンタリー制作に取り組んだ。
実際の声伝えたい…高校生が被災者に取材
県立武雄高校放送部。3年生7人、2年生4人の11人で活動している。
毎年のように地元が水害に見舞われるなか、2021年に取り組んだのが、災害を風化させないためのドキュメンタリー制作。
2021年8月の豪雨。県内各地で記録的な雨量を観測し、3,296人が避難を余儀なくされた。
特に被害が大きかった武雄市では、最大で2メートル20cmもの高さまで浸水した。
武雄高校放送部・古賀音美さん:
私の友達に実際に被災した人がいて、話を聞いて、実際に被災した人達の声を伝えたいと思った
武雄高校放送部・中向朝日さん:
武雄で起こったことなので、そこに住む自分達にできることがないかというのを、もっと探したいという気持ちが強くあった
中心となって制作したのは、当時2年生だった古賀音美さんと中向朝日さん。何を伝えたいのか、誰に話を聞くのか、何を撮影するのか、何度も話し合いをしたという。
浸水被害の家に訪れ…被災時の様子も
2人が取材のなかで特に力を入れたのは、家が浸水被害に遭った武雄市橘町の楠原君子さんへのインタビュー。
ドキュメンタリー映像の楠原君子さん:
みんなが手伝いに来て、その時は私も一緒に動きます。帰ったら、ぐちゃあとなっていました。時々、精神的にもきついなと思います
武雄高校放送部・中向朝日さん:
被害がひどいところだったので、大変なことがたくさんあっただろうし、もっと改善してほしいところとか、もう少し知りたいと思ったので、君子さんのところに来ました
武雄高校放送部・古賀音美さん:
家の中などをたくさん見せてもらって、家具や壁に泥がついたあとがあって、ここまでくるものなんだなと思った
生徒たちから取材を受けた楠原君子さんは…
楠原君子さん:
番組つくるのは、今は機械を駆使しているだろうからすごいなと思った。武雄高校が自分の出身校だったから特にうれしかった
完成作品が県のコンテストで優良賞に
2人は被災した人の話だけではなく、災害自体についても学ぼうと、武雄市役所の防災・減災課にも話を聞いていた。
武雄市役所元防災・減災課課長 西山丈晴さん:
ポンプを停止すれば、やはり武雄は内水氾濫で災害が起こるという話をした。武雄高校生のなかには、被災した子ども達もいる。そういうなかで、こういうことをやるというのは、その地域を知るという上では、とてもいいことだと思うし、実体験をしているからこそできるのかなと思う
また起きるかもしれない災害から、私たちが住む町を守るために…
ドキュメンタリーは、約2カ月かけて制作。
完成した作品は、県高校放送コンテストのテレビ番組部門で優良賞を受賞した。
武雄高校放送部・古賀音美さん:
地元のことなので、地元で生きている私たち高校生が一番知るべきことだし、実際あったことを忘れないように伝えていくことが大事だと思う
武雄高校放送部・中向朝日さん:
まずは知ること。災害をうけた人がどういう気持ちで生活をしているのか。災害が起こったあとも、ずっと心に残っていくことだったりするので、被災者にならないためにも何ができるのか考えてもらえたらと思う
(サガテレビ)