春になると悩まされる人も多い、花粉症。症状の緩和、そして完治を目指す最新治療に迫る。
患者は10年で10%増 今や小学校低学年の30%が発症
花粉症とは、鼻腔に入った花粉を体外に排出しようと、免疫が過剰に反応するアレルギー疾患のことだ。最も多い花粉症はスギ花粉によるものだが、ほかにも花粉は年中飛んでいる。5月にかけて飛散するのはスギとヒノキ、それにイネ科の雑草なども加わる。
この記事の画像(10枚)主な特徴は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどで、集中力の低下や睡眠不足など日常生活にも影響を及ぼす。
花粉症に悩む福井県民に話を聞いてみると、「鼻づまりとか、喉の乾燥もある。一年中」「鼻がかゆい」とこの時期は特に苦しめられている様子だ。
対処については「薬を飲む」という人がいる一方、「薬は飲まない。かゆい時はかいている」とその場しのぎで乗り切っている人もいた。
初めて花粉症を発症する年齢層で、急増しているのは、5~9歳。この年齢層の30%が花粉症だ。
しかしなぜ、低年齢層で発症するのか。
福井大学病院の坂下雅文医師に聞くと、「小学校で登下校が始まり、花粉を吸いこんで花粉症になる。遺伝的になりやすい人もいる。両親が花粉症の人は子供も花粉症になりやすい」と登下校が関係しているとの意外な答えが返ってきた。
全国の耳鼻科が実施した調査によると、花粉症を患う人は10年間で10%ずつ増加している。最新のデータでは福井県民の40%以上、5人に2人以上が花粉症との結果がある。
「温暖化もあり、花粉の飛散量も増えている。現代人は食生活や生活習慣がよりアレルギーになりやすいと言われていて、それも相まってまだまだ患者が増える」と坂下医師は注意を促す。
対策は? これまでは対症療法が中心
そして気になるのは、症状を抑える対策だ。有効な対策として
・外出時に眼鏡やマスクをする
・洗濯物を外に干さず、花粉を中に持ち込まない
・飲み薬や点鼻薬などを使う
などがある。
世界唯一 花粉症を“完治”させる治療「舌下免疫療法」
これまで対症療法が中心だったが、近年、完治を目指す治療法に注目が集まっている。
福井大学病院・坂下雅文医師:
治すのは世界でただ一つと言われている免疫療法。(毎日)ラムネみたいな薬をのむ舌下免疫療法と、注射をする皮下免疫療法の2つがある
舌下免疫療法とは、スギとダニのアレルギーに対して行う治療で、アレルギーの原因となる抗原を毎日投与することで体質を改善する治療。副反応が少なく、さらに保険も適用される。対象は5歳以上だ。効果の目安は2~3カ月後だが、3年は続けてほしいと坂下医師は話す。
ただ1年中いつでも、治療を開始できるわけではない。開始できるのは、スギ花粉が飛ばなくなってからとなる。
福井大学病院・坂下雅文医師:
治療を始める時期は決まっていて、スギ花粉が飛ばなくなった時期から年末まで。つまり6月から12月になる
福井大学病院では4月「舌下免疫療法」の効果を予測する遺伝子を発見したと発表した。これにより、治療前に効果の有無を知ることができるようになった。治療開始の判断になると期待されている。
(福井テレビ)