広島市の保育園に通う5歳の男の子が4月16日、保育中にいなくなり、近くの川で死亡した。
いなくなったことに、なぜ気づくのが遅れたのか。

施設の建物が古い場合、その構造に問題があるとの指摘が出ている。また、広島市は幼稚園などに出入口の緊急点検を要請した。

広島市にある保育園の園長は、古い建物に潜む、ある構造上の問題を指摘する。

古い施設は事務室から人の出入りがわかりにくい

認定こども園くすの木・堀江宗巨園長:
昔のつくりの幼稚園・保育園は、道路際に門があって(子供が)入ってくる。特に今は、人の出入りが自由で(子供が)いつ入ってきて出ていくか分からないような状況で、園庭で遊んでいる子供が出入りする可能性がある

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認定こども園くすの木・堀江宗巨園長:
人の出入りが自由にできて、事務所から見ると分かりにくい構造の建物が多い。そういうつくりは今の時代には合っていない

「慣らし保育」期間中の土曜は要注意

また保育園に通う園児たちにとって、この日は「危険を伴う」タイミングだったとも。

認定こども園くすの木・堀江宗巨園長:
土曜日は平日と違って、少ないスタッフで対応していく。普段見ていない子供を担当する可能性が一番高い曜日。そのため、子供の特性をあまり良く分かっていない状態で子供と関わらないといけない

認定こども園くすの木・堀江宗巨園長:
4月の前半は、「慣らし保育」をしている方が一番多いとき。慣らし保育は、少しずつ保育園に慣れていくために少しずつ登園時間を増やしていく。そのため、来てすぐ帰る子供も多く、いつ来ていつ帰ったかが把握しにくい時期。現状、人の数を増やしてマンパワーで乗り切るか、最新の安全システムを導入するかのどちらか。機械を入れられないのであれば、人を導入するしかない

男の子が死亡した保育園は施錠できる出入口が3か所あるが、警察によると、男の子が出入口から外に出た形跡はなく、植え込みの隙間から外に出た可能性があるという。

また、周辺を走行していた車のドライブレコーダーには、男の子が土手から河原に1人で降りていく姿が映っていた。

幼稚園など対象に緊急点検を実施

広島市は4月19日、幼稚園などに出入口の点検を要請。

これを受け、広島市の幼稚園では出入口以外のフェンスや植え込みなどに簡単に出られるところがないか緊急の点検を行った。

このほか広島市は、専門家で構成する検証委員会を設置して、男の子が園の外に出て死亡した原因の分析や再発防止策を講じることにしている。

(テレビ新広島)

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