4月5日、ウクライナからの避難民が政府専用機で日本に到着する。

ウクライナの隣国・ポーランドを訪問した林外相は「日本への避難を切に希望しているものの、自力で渡航手段を確保することが困難な方々も複数いる」と述べ、帰国に際して20人のウクライナ避難民を政府専用機に乗せることを明らかにした。避難民を政府専用機で日本に移送するのは、極めて異例のことだ。

ポーランドで取材に応じる林外相
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仕事探しから切符の買い方まで…避難民どう支援する

来日する20人のウクライナ避難民は政府専用機で到着後、新型コロナの検査を受けて、宿泊施設で3日間待機することとなる。入国に際して、90日間滞在する資格が与えられ、その後も日本に残りたい場合は、1年間滞在できる「特定活動」という資格への変更を認める方針だ。

2日までに来日したウクライナ避難民は393人だが、全員が日本にいる親族などを頼って来日した。一方で今回、政府専用機で来日する避難民は、日本に親族などの身寄りの無い人もいるとみられている。政府関係者は「企業や大学、自治体の協力なしでは成立しない」と口にする。

政府が設置した避難民に関する窓口には、これまで企業や大学、自治体などから600超の支援の申し出が集まっているという。その上で、避難民への一時滞在場所の提供や生活費の支給などの支援を実施するため、難民支援の実績がある「アジア福祉教育財団難民事業本部」に実務を委託することとしている。政府は事業本部と協力しながら、入国後の仕事探しや日本語の教育、さらには切符の買い方に至るまで、きめ細かな支援を続けられる体制の構築を急いでいる。

ポーランド・プシェミシルに到着する避難民ら(4月2日)

「20人」は多いか少ないか

今回、政府専用機で来日するウクライナ避難民は20人で、決して多い数とは言えない。しかし、政府高官は「希望者はそんなに出ない。ヨーロッパの人からすると、日本はユーラシア大陸の端っこ。家族とか親戚に何かあった時に駆けつけるため、近くにいたいはず」と話していて、来日希望者が多く集まらない見通しを示していた。また、ある自民党議員も「物理的に遠い日本にわざわざ来たがる避難民は日本に家族がいない限りはそんなにいない」としているほか、別の関係者も「ウクライナから避難した人たちの多くは、生活環境の近いヨーロッパで生活したいと考えている。その中でどれだけアジアの日本への出国を希望するかは避難民次第だ」と指摘する。

親族が日本にいないウクライナ人が、本国から遠い日本を避難先として選ぶのは確かに考えづらいため、今回の20人という数は政府からすれば決して少ない数ではないようだ。

ポーランドとウクライナの国境付近

受け入れ急ぐ理由は

それでも政府を挙げて避難民の受け入れ体制の構築を急ぐ背景を、政権幹部は「欧米に劣らない支援を打ち出す姿勢をみせることが重要だ」と表現する。入国希望者の数が見通せない状態であっても、受け入れの体制を作っておくことで、G7や国際社会と協調して今回のウクライナ危機に対応しているという姿勢を示す狙いも透けて見える。

さらに与党関係者からは「今回の避難民の受け入れは失敗できない。台湾有事が起こった場合、日本が今のポーランドのように避難民の有力な受け入れ先になることを想定しておかないといけない」として「ウクライナ危機は日本にとって対岸の火事ではない」と強調する。こうした危機意識が今回の政府の迅速な対応の背景にあるのかもしれない。

今後も続くウクライナ避難民の受け入れについて、どこまで対応できるのか。岸田政権の新たな課題といえる。

(フジテレビ政治部・官邸クラブ 亀岡晃伸)

亀岡 晃伸
亀岡 晃伸

フジテレビ報道局政治部

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