3月31日国会で「感染症法上の見直し」が議論されました。現在の「2類」から、インフルエンザと同じ「5類」に引き下げると言う内容。感染拡大傾向にある中で、どういう影響があるのか専門家に伺いました。

イギリスでは「隔離なし」社会活動が可能に

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東京の新規感染者数は3月28日の週をみてみると、増加傾向に。その一方で31日は8226人ということで、前週の曜日と比べて649人減りました。しかしながら、日曜日から木曜日までの5日間平均をみると約130%と増えていて、このままいくと前週を大きく上回る勢いになっています。

そのような中、3月30日に東京都の小池都知事が新型コロナの扱いについて、岸田総理に「感染症法上の見直し」を求めるという発言がありました。その一方で31日、岸田総理は現時点での引き下げは現実的ではないとしつつ、議論を続けることを明言。では、「感染法上の見直し」は世界ではどうなっているのでしょうか。

イギリスが世界に先駆けて、新型コロナとの「共生策」を打ち出しました。例えば「感染者の隔離なし」「濃厚接触者の検査・隔離なし」「検査キットの無料配布を終了」を実行し、法的な規制などを撤廃して、インフルエンザと同様の扱いになっています。

そのイギリスですが、実は新規感染者が一番多かったのは1月。そして、2月に規制を撤廃した後、段々減少傾向に。しかし、また少し増加して2月21日は10万人を超えました。

そして現在、日本では新型コロナが入院勧告や就業制限のある“2類相当”に配置していますが、これを5類に引き下げるとなると、入院勧告や就業制限が無くなり、医療費の公務負担もなくなっていきます。実際に5類に引き下げられた場合、どのような変化が起きるのか、東邦大学感染制御学の小林寅喆教授に伺いました。

まずはメリットとして、「医療・行政機関の負担減」「社会活動が可能」。一方で、大きなデメリットとして「医療費の一部自己負担」が生じるが挙げられました。では、医療費の負担の部分は具体的にどのくらいになってくるのでしょうか。

医療費負担“数十万円”の可能性も…「すぐに引き下げはないだろう」

グローバルヘルスケアクリニックの水野泰孝院長によると、例えば5類に引き下げられて軽症だった場合でも、診察や検査、治療薬が3割負担ということになるので、自己負担額は5000円から1万円程になるといいます。

そして、投薬が必要になってしまった場合は、小林寅喆教授によると経口治療薬としてパクスロビド約5.7万円、モルヌピラビル約8万円。さらには、抗体カクテル療法になると30万円を超える金額に。そうなると、自己負担額は数万円になってしまいます。さらに、入院する場合は最大数十万円かかる可能性も。

実際、5類への引き下げのタイミングはどのようになってくるのでしょうか。小林寅喆教授によると、今は新型コロナウイルス制度に関わる運用というのはかなり弾力的に行われている印象があるといいます。そういったことから、小林寅喆教授は行政に関わる部分は5類相当、医療に関わる部分は2類相当にすることが可能なのではないかというように話しています。一方で、水野院長は賛成とも反対とも言えないということで、「全ての医療機関での対応ができるようになってから再議論してほしい」という見解を示しています。

さらに、政府の諮問委員会のメンバーである、慶応大学経済学部教授の小林慶一郎氏にも伺うと。

慶応大学 経済学部教授 小林慶一郎氏:
いまでも厚生労働省の通知などで濃厚接触者の扱いを変えることなど起きていますが、徐々に方針の内実が変わってきているということだと思うんですね。明確に5類に変えますという発表はすぐには起きないと思いますが。なるべく行政の方は、内容的には5類に近づけていくと思うんですけれども。医療費については、コロナは今のところまだ怖い病気ですので国が医療費は全部みると。こういった状況がしばらくは続いていくということではないかと思いますね。

(「めざまし8」4月1日放送)