いまだ続くウクライナへの軍事侵攻。ロシア内では「分断」が進行している様子が浮かび上がってきました。めざまし8は、突然職を失ったロシア人の学校教師を取材。解雇の理由に“プロパガンダ教育への反発”が関係していました。
政府配布のガイドライン「正しいとは思わない」
元学校教師 カムラン・マナフリーさん:
校長が「解雇する」と言ってきました。私は辞めさせられたのです。

3月24日、めざまし8の取材に答えたロシア人のカムラン・マナフリーさん(28)。
元学校教師 カムラン・マナフリーさん:
警察に捕まる可能性があり、危険だったので国から出ないといけませんでした。ロシアには家族や友達も残っています。

モスクワの高校で地理の教師をしていましたが、突然解雇されて今は国外にいるといいます。こうした事態になった理由は何なのでしょうか。

元学校教師 カムラン・マナフリーさん:
軍事侵攻が始まって2、3日後には政府のガイドラインが配布されました。私はそれを否定したんです。

ロシア政府は、ウクライナへの軍事侵攻について子供への教え方を示したガイドラインを配布。これは実際に配布されたガイドラインで、表紙のタイトルは「社会的対立」。マナフリーさんはこれに従うことを拒否したのです。

元学校教師 カムラン・マナフリーさん:
ガイドラインでは、国の行動が全て正しいと教えることを求められました。私はそれを正しいとは思っていません。それに、生徒には1つの視点だけではなく、批判的な考え方も教える必要がある。

そして3月8日、マナフリーさんはSNSにある投稿をしました。
SNSに意見投稿 削除要請に応じず解雇
「私には自分の意見があります。それは明らかに公式な意見と一致しません。私は国のプロパガンダの鏡になりたくないです。」

この投稿からわずか2時間後。学校側はすぐさま削除を求めてきたといいます。それでも消さなかったマナフリーさんは後日、解雇されたのです。
元学校教師 カムラン・マナフリーさん:
解雇の理由は、SNSに個人の意見を残したことが「不道徳な行動」だと説明された。私たちは国の機関で働いていたので、個人の意見を持つことはできず、国が認めていることをしないといけないのです。

学校を辞める直前に教え子らを撮影した動画には、にこやかに手でハートを作ってくれるなど、明るく送り出してくれた様子が映っていました。しかし…。
元学校教師 カムラン・マナフリーさん:
子供たちはSNSにコメントを書いてくれました。学校側は、子供たちにSNSに書いたコメントを削除させたようです。削除しないと警察を呼ぶと怖がらせ、私を応援してはいけないと言ったらしいです。

教師と教え子の絆も、突然断ち切られる事態に。ロシア国内でどこまで分断は広がっていくのでしょうか。
(「めざまし8」3月25日放送)