地球の温暖化が進む中で多発する自然災害。災害時に電源を確保するツールとして期待される蓄電池や、CO2の排出量削減に向けた取り組みを取材した。

台風による停電や断水を経験し決意

各地で気候変動の影響と思われる大規模災害が相次ぎ、広島も2014年、2018年と大雨による甚大な被害に見舞われた。

この記事の画像(11枚)

そうした災害多発時代の中、電源を確保するためのツールとして注目されているのが「蓄電池」だ。蓄電池は、太陽光パネルなどで発電した電気をパソコンやスマートフォンに内蔵されたバッテリーと同じように、繰り返し充電して使用できる電池のこと。

広島市の主婦・橋口亜由美さんは、以前住んでいた島しょ部で台風による停電や断水を経験し、自己防衛の必要性を痛感。自宅に蓄電池を設置した。

広島市安芸区・橋口亜由美さん:
断水も経験してるんで、自己防衛ができるものは事前準備できたらいいなと。安心感は全然違います

一般的な家庭が蓄電池を設置する場合、費用は150万円から200万円と決して安くはないが、橋口さんが設置したタイプの場合、毎月の電気代は多い人で約7000円下がるという。

広島市安芸区・橋口亜由美さん:
どうせ屋根が余ってるので、それで発電できるならいいかなと。電気の使い方への考えは変わったような気はしますね

温室効果ガス「ゼロ」へ 3万円の補助金も

一方で近年、各地で大規模災害をもたらす気候変動の原因の1つとされるのが、CO2と温室効果ガスだ。広島市は、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指すと宣言。地球温暖化対策と脱炭素社会の構築に取り組んでいる。

広島市環境局温暖化対策課・木下哲之課長:
省エネルギー活動、再生可能エネルギーの導入に取り組んでおりまして、直近では市役所で約22%、平成25年度と比較して減っています

【広島市の取り組み】
・広島市温室効果ガス排出量実質ゼロへの取り組み
・マツダスタジアムに太陽光パネル
・学校の屋上にも太陽光パネル
・個人が燃料電池や蓄電池を設置する場合、3万円の補助

広島市環境局温暖化対策課・木下哲之課長:
太陽光発電を設置しておられる方に、電力をいかに有効に自家消費してもらうか。また災害時の備えもできますので、そういう点から令和3年度に新たに(補助金の)導入をしました

災害時にも役立つ蓄電池。行政だけでなく企業も、一般家庭への普及を目指して取り組みを加速させている。

NOSCOライフネットサービス株式会社工事部・山根一馬課長:
各家庭が蓄電池を導入することによって、CO2の削減に直接つながってくるんじゃないかと思います

電気の使い方を意識するように

CO2削減が大きな課題となっているが、私たち一人一人にできることはあるのか?

広島市環境局温暖化対策課・木下哲之課長:
地球全体の問題なんだということで、取り組んでいただければと思います。家電の使用での省エネルギー対策はみなさん取り組めますので、冷蔵庫やテレビや洗濯機などの使い方を見直し、蛍光灯はLEDも安くなってますので、つけてもらったり。まず身近なことをしていただくことが大事だと思っています

広島市の橋口さんも、電気の使い方に対する意識が変わったと言う。

広島市安芸区・橋口亜由美さん:
エアコンの下で洗濯物を干すのと風呂場の浴室乾燥だと、どっちが電気代使うのかな、消費電力が激しいのかなって。ちょっと意識するようになって。どうせ部屋を暖めるついでに洗濯物が乾くなら、エアコンの方で乾かそうとか。すごく価値観が変わってきました

変わりつつある価値観。様々な分野で進む省エネルギーと脱炭素社会への取り組み。こうした活動を進める人たちにとってSDGsとは?

広島市環境局温暖化対策課・木下哲之課長:
世界を見ると色々なことが起こってるので、変えていかなければと思いますね。それは当然、行政もそうですし、市民の方もそうですし、事業者の方もですね。みんな一体になってやっていく必要があると思っています

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。