まもなく新年度が始まるが、学用品や制服を購入する費用が負担になっている家庭も少なくない。不要になった学生服を必要とする人へ届ける女性の思いに迫った。

高校生が来店「おばあちゃんに新品買ってと言えない」

與那城寿恵子さん:
学生服を買えない子どもたちが、沖縄にもいると聞いて

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学生服のリユースショップ「ゆいまぁる」を経営する與那城寿恵子さん。店では不要になった制服を買取り、必要な人に定価の約2割で提供している。

與那城さんが学生服を再利用する取り組みを始めたのは5年前。当時は子育て真っ只中だった。

與那城寿恵子さん:
子どもが大きくなるにつれて、教育にお金がかかるなと思っていた。そんな時、いろんな人から学生服って高いんだよと聞いて。いらなくなった人から学生服を中古で買い取って、次に必要な人へ繋げる事業があったらいいんじゃないか、という思いから始めました

制服が手軽に買える環境にしたいと手書きのチラシを配布し、知人に声をかけるなどとして学制服を集め、アパートの一室に店を構えた。

與那城寿恵子さん:
高校生の男の子本人が、ズボンが欲しいと来店して。親がいなくておばあちゃんに育てられてきたと。ズボンが穴があいて恥ずかしいんだけど、おばあちゃんに1万円程する新品を買ってと言えなくて。そこでスマホで調べてくれて、うちの店では1000~2000円くらいでズボンが買えるからと。一生懸命探して買いに来てくれて、すごく喜んで帰って頂いた

與那城さんの取り組みに賛同する人も増え、扱う制服は約2万着まで増えた。そして2022年2月、より規模を大きくしたいと今の店舗へ移転した。

制服は高価…コロナ禍で高まるリユースの需要

制服を寄付した人:
一着持ってきたので良かったら使って下さい。中学3年生の子がもう卒業するので、寄付していこうかなと。(思い入れがあるので)取っておこうかなと思ったんですけど、こういう風に色んな人にまわっていくって考えたら、もうお渡しして巡り巡っていったらよいなと

多い日では1日に200人もの客が訪れる「ゆいまぁる」。取材中にも問い合わせの電話が鳴り響いた。

與那城寿恵子さん:
お電話ありがとうございます。学生服ゆいまぁるです。与那原中は黒いズボンで共通のものになるので、いくつか在庫はあるんですけれども大丈夫です。こちらで全てお手入れしてますので、そのままの状態でお持ちください。

與那城寿恵子さん:
やってみたら本当に県内各地の方からお問い合わせがあって。ありがたいことにいろんな方から声をかけていただいて、たくさんのお客さんにいらっしゃっていただいてる。求めていただいているなと実感しています

コロナ禍の中で経済的に厳しくなった人も少なくなく、リユースのニーズは高まっている。

與那城寿恵子さん:
休校が多い分、新品の制服を買うよりも中古で揃えた方がいい場合もありますし、お母さんたちも「休業で給料が減ったので新品で買えなかった」というお話があって。それで喜んでいただくっていうのも多かったですね

購入した人:
中学2年生の子どもがいるんですけど、お姉ちゃんもいて年子なので、枚数が足りず安く購入しました。制服って一着そろえるだけですごく高いんですよ。それを安くで購入できるので、とても助かる

店の利益はほとんどないが、様々な人の支えになることが與那城さんの大きな励みになっている。

與那城寿恵子さん:
身体が女の子で心が男の子で、どうしても女の子の制服は自分は着れないということで、ずっと体育着やジャージで登校していた子がいた。でも、卒業式は式典なので制服を着てきなさいとい言われて。制服って2~3万円するので、卒業式1日のためにそれが買えない。この子を卒業式に出席させてあげたいっていう気持ちで、(母親から)電話をいただいて。「うちに制服ありますよ」ということで買いに来て下さって。そういうときは本当にやっててよかったと思います

制服から生まれる支え合い。古い学生服から新たな「ゆいまーる」が生まれるかも知れない。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
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