新規感染者数が世界最悪の1日60万人となっている韓国。感染爆発の中でも、21日から更なる規制緩和に踏み切りました。めざまし8が現地で取材すると、聞こえてきたのは「コロナはもう怖くない」という声。

感染者数60万人超え…韓国政府「逆に規制を緩和する」

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3月17日の新規感染者数が62万1281人、死者は429人で過去最多の数字に。一方で、3月20日に日本で新たに確認された感染者は3万9666人。

さらに、100万人当たりの新規感染者数を7日間平均で見てみると7844人で、日本の約20倍に当たります。しかし、それでも韓国政府が発表したのは、「逆に規制を緩和する」という決断でした。

担当者:
我々が国民に課してきたソーシャルディスタンスのルールでは限界だ。社会的・経済的負担が大きすぎるし、オミクロン株を抑えられていない。

飲食店の規制緩和をみると、東京は3月22日から滞在は原則2時間以内で1テーブル4人まで、認証ない店は、酒類提供は午後9時まで。一方で、韓国の場合は3月5日から、営業時間は午後11時までになっており、3月21日からは最大8人まで可能になります。

さらに、韓国に入国する時には、3回目のワクチンを接種済みか、2回目接種から14日以上180日以内という人は、これまで必要だった7日間の隔離期間は3月21日から免除される内容もあります。

感染拡大が続いているにも関わらず規制を緩和する韓国。なぜこうした決断に踏み切ったのでしょうか。現地を取材すると、韓国国民の新型コロナに対する意識の変化が見えてきました。

「全く怖くない」現地の人々は“恐れナシ”

ディレクター:
きょうは日曜日の午後ですが、休日ということもあって人通りは多いです。

大通りには溢れかえるほどの若者の姿が。ほぼ全員がマスクをしているものの、ソーシャルディスタンスに気をつける様子はありません。人気のピザ店でも。

ディレクター:
人数的にはお店が狭いこともあって、2人ずつで食べてますが、皆かなり近づいています。
 

店内は、ほぼ満席状態。対面形式のテーブルにアクリル板はありません。それに加えて。

ディレクター:
入り口にあった防疫のパスはなくなってます。
 

かつては、店頭で求められた、ワクチンの接種証明などの「防疫パス」。これが無くなっていたのです。

一方で、韓国に住む日本人留学生に話を聞いてみると。

韓国に留学中の学生:
人も多くて、全然周りも風邪みたいに扱うようになってるので、コロナをそこまで気にしない感じですね。気を使っていてもかかるものだという認識に変わっています。

ーー感染病って感じじゃなくて、風邪という感じ?

韓国に留学中の学生:
そうですね。はい。

これは週末の夜に、留学生が撮影した映像。感染者が増加している状況にあっても、人の多さに変化はなかったといいます。

韓国に留学中の学生:
やっぱりでも、週末っていうのもあっていつもより人が多いなというのは感じていました。
 

留学生自身もコロナを恐れる気持ちはほとんど持たずに日常を送っているといいます。

さらに、3月に新型コロナに感染したという、韓国在住の日本人男性も。

韓国在住の会社員 だいさん:
日本にいた時は、感染者増えた時は、みんな出かけるの控えようとかってなってたと思うんですけど。こっちではそんなに変わってないのかなって。

そして、現地の人に聞いてみても。

ーー会社での感染は恐れていない?

男性:
まったく怖くないです。

ーー感染への恐怖は?

男性:
はい、私はないです。まだ若いから。
 

感染が爆発している中でも、恐れを感じていないという韓国の人たち。さらに、規制緩和についても。

女性:
6人か8人かは、そんなに大きな意味はないと思います。外食で6人はすごく少ないし、結局6人といっても別のテーブルを増やして、それ以上で集まっていますから。

韓国に留学中の学生:
私はもう全然いいんじゃないかなと思います。韓国は日本に比べてワクチン接種が早い、早くて打った人も多いってのがあって、重症化する人も少ないってなってるので、周りの意識とかもだいぶ変わってきていいんじゃないかなと思います。

韓国 高接種率…ピーク時でも“6割程度”の感染予防効果

実際、3回目のワクチン接種率を日本と比較してみると、日本33.3%に対して、韓国は63.1%で韓国が進んでいること分かります。このことについて、昭和大学医学部客員教授の二木芳人氏は。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
ワクチンの接種率が高くても、いわゆる基本的な感染対策を緩和してしまうと、感染が起こるということですよね。それともう一つ忘れてはいけないことは、オミクロン株というのはワクチンの効果が、今までのデルタ株以前のものに比べると、1番ピークでも6割程度の感染予防効果しかないと。現地の人が言っていたように重症化や亡くなるリスクというのは2回打っておけば抑えてくれるんですが、3回打ったとしても、その効果というのはデルタ株ほど感染は予防してくれないと。

ですから、ワクチンを打った上に基本的な感染対策を取らなければ、やはり感染者数というのは増える一方ですよね。問題は若い人はそんなに重症化しないということですけれども、結局亡くなられている方もいるので。韓国の感染者の比率を見てみると、結構まだ高齢者もまだ多いんです。ですから、社会を動かす中で、高齢者や病気を持っている方を守っていくことがある程度出来れば、若い人に関しては、経済をまわす為に必要以上に恐れないという考え方もありかとは思いますけども。少し数が多すぎますよね。
 

ワクチン接種率が高くても、基本的な感染対策は継続すべきであると指摘。さらに、韓国の感染状況については。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
2021年の10月くらいというのは、いわゆるデルタ株による感染爆発が韓国では起こっていました。ただその時にワクチン接種率が7割を超えたということで、文在寅さんがその頃は“7割超えたら緩和します”と約束をしていたもんですからそれで、ある程度緩和してみたと。

そうすると感染者数が増えて、亡くなる方も出たわけですから、それでもう一度緩和を立ち止まった訳ですよね。しかしながら、その後少し落ち着いてきたところで、もう一度緩和を始めたと。そういうタイミングで、やはり大統領選とか、緩和することによって人々の動きが出てきたと。

加えて、実はオミクロン株が韓国に入ってきたのが少し日本より遅いんですね。ですから、それがいま一気に増えているというところで、感染爆発に繋がっていると思いますね。60万人という数は、実はそれまではPCRだけで診断していたものを、抗原で診断したものもカウントすると言うことでしたので、一気に20万人くらい増えたんですね。ですけれども、多いことは間違いなく多いですよね。
 

(「めざまし8」3月21日放送)