激しさを増す、ロシア軍によるウクライナへの侵攻。母国に家族がいる北海道在住のウクライナの人たちは、心配と不安を募らせている。現地の実情とその胸の内は…。

「移動中に殺されるかも」シェルターに大勢の人

北海道内で暮らすウクライナ人:
私の父に何かあったらと思うと、すごく心配

北海道内で暮らすウクライナ人:
とにかく生きて帰ってきてほしい

彼らの家族は今、シェルターに身を隠したり、長い道のりを避難したりしている。

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2020年に来日し、その後結婚したベロニカ・クラコワさん(27)。

故郷のザポリージャ州では3月4日、ヨーロッパ最大級の原子力発電所がロシア軍の砲撃を受けた。実家では今も母親のナタリアさん(53)が暮らしている。

ベロニカ・クラコワさん:
本当に問題になったら、チェルノブイリより悪い状態になる。心配でザポリージャに残っている母親をどう避難させた方がいいか調べた

母親のナタリアさんは、爆撃が起きると近くの学校にあるシェルターに身を隠すという。

シェルターで撮影された映像には、ベンチに身を寄せる大勢の人の姿がとらえられていた。幼い子どもの泣き声も聞こえる。

また、街のスーパーの棚はガラガラで、特に食料品はすぐに品薄状態になるという。

それでも避難せずに留まる理由とは。

ベロニカ・クラコワさん:
避難している人も多いが、自宅からどこにも逃げたくない人も多い。移動中にロシア軍に殺されるかもしれないので怖い。自宅の隣のシェルターにいた方がいいと考える人も多い

友人が犠牲に…父は政府軍に入隊

3月7日、3回目の停戦交渉が行われたが難航。ベロニカさんの友人が住む、ウクライナ第2の都市ハリコフ周辺では戦闘が続いている。

道路にはたくさんのがれきや破片が散乱し、建物の窓ガラスが割れている。

ベロニカ・クラコワさん:
きょうSNSで私の友人の友人が亡くなったのを読み、本当に戦争が近いところにあるという気持ちになりました

戦闘が長引く中、国外でトラック運転手をしていた父親のオレグさんは、ロシア軍に抵抗するため、3月6日に帰国し政府軍に入隊した。

ベロニカさんは父親の身を案じている。

ベロニカ・クラコワさん:
父は「友人はみんな戦争に行くし、自分も行かなければ」と話していた。父の身に何かあったらと思うと、すごく心配

キエフからの避難路は混雑 空襲警報に疲労も

一方、3月4日に札幌市のロシア総領事館前で行われた侵攻に対する抗議活動には、家族の身を案じるウクライナ人がもう一人参加していた。

北海道恵庭市に住むゴヴォロヴスキー・セルヒーさん(47)。母国では妹が暮らしている。

ゴヴォロヴスキー・セルヒーさん:
首都キエフで妹は勤めていた。2月24日の爆撃が始まったときにキエフから実家に避難した。道路はすごく混んでいて、通常は約7時間で行けるが、避難時は16時間かかったと言っていた

セルヒーさんによると、実家のあるフメリニツキー州ではロシア軍による侵攻はまだ見られないということだが、毎日のように空襲警報が鳴るという。

ゴヴォロヴスキー・セルヒーさん:
みんな疲れている。幸いなことに戦場ではないが、空襲警報のたびシェルターとの行き来に疲れ、何も生活できないという。耐えて耐えて生き残れと言うしかない。戦争に行っている人たちは、とにかく生きて帰ってきてほしい

「私たちは戦争をしたくない」平和への願い

北海道によると、道内では現在20数人のウクライナ人が在住しているという。

心配と不安が日ごと募る。

ベロニカ・クラコワさん:
本当に私たちは平和がほしい。平和を願っている。本当にウクライナ人は毎日死にたくない。戦争をしたくない

ロシア軍がウクライナに侵攻して3週間余り。現地に住む人々とその家族は、一日も早い平和を願っている。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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