南海トラフ巨大地震の津波…名古屋市には100分で最大2mの予測

東日本大震災から11年。名古屋市に住む11歳の子供たちが、「地震や津波で気になること」をそれぞれの専門家に聞いた。

疑問は、名古屋市中川区の五反田小学校の5年生29人から集めた。この小学校は東西2つの川に挟まれ、巨大地震で津波の被害が想定されている。

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1つめは「南海トラフ地震が来て津波が来るとしたら、この小学校にどれくらいの時間で到達するか」。

質問に答えてくれたのは、子供や高齢者の避難を研究する、愛知県立大学の清水宣明教授(62)。清水教授は「地震の揺れが始まってから100分で、名古屋市に到達してくると思われます」と話す。

名古屋市への津波の到達時間は、揺れ始めから遅くとも約100分後。
その間に私たちがとるべき行動は?
「マンションの上階部に住んでいて、大地震の際に部屋の中にいた方がいいか、それとも外に避難した方がいいか」という質問があがった。

この質問について、清水教授は「まず、建物の中で自分の身を守ることを考えた方が良いと思います。(津波の高さは)最大の予測で大体1.5メートルから2メートル程度です。南海トラフ巨大地震が起こった場合の避難は、2階に避難することを目標にしてもらいたいと思います」と説明している。

頑丈な建物の少なくとも2階以上。耐震や強度に不安がある家屋に住む人は、普段からより高い建物、避難先の想定をしておくと良いとしている。

水が止まったらどれくらいで復旧?… 1人あたり9リットルの備蓄を

次の質問は「南海トラフ巨大地震が来た際、水道・電気・ガスは止まるのか、止まった場合は何日ぐらいで復旧するのか」という質問。

中部電力などによると、電柱や電線などが損傷して停電が発生する可能性があり、「被害状況により復旧にかかる時間は異なる」としている。

水道について名古屋市上下水道局は、地震の揺れなどによって水道管や水道施設が壊れ、水が止まってしまうことが考えられるとし、「28日くらいで元通りに水を使えるということを目標としています」と回答。

復旧までの間は、名古屋市内を10台の給水車が対応する。

道路が被害にあった際、幹線道路など指定された緊急輸送道路は、優先的に3日ほどで復旧される見込みだ。

上下水道局は、人が生きていくのに必要な「1日1人あたり3リットルの水」を3日分×3リットルで9リットル、「1人あたり9リットルの水」を備蓄するよう呼びかけている。

地震の予知は可能? …注目されている現象「スロースリップ」とは

男の子からは「震度いくつで日本が沈むか?」という質問。
この質問に対し、ドラマ「日本沈没」を監修した、地震の仕組みを研究する名古屋大学の山岡耕春教授(63)は「基本的に地震で(日本が)沈むということはないです。日本列島はプレートの力によって隆起をしたり、沈下をしたりするというのが答えです」と説明。

また「地震の予知はできるのか」という質問に、山岡教授は「現状では“何年何月何日に地震が起きる”や“明日の何時に地震が起きる”といった予知はできない」と話している。

東日本大震災から11年が経ち、研究の中で注目されているのが「スロースリップ」という現象。

南海トラフ沿いや、最近では東北地方でも発見されてきているという「スロースリップ」。この現象について、山岡教授は「プレートが沈み込みながら、南海トラフ巨大地震の可能性をどんどん高めている現象であることは間違いない。スロースリップが一つ起きると、“地震に向かって一歩進んだ”みたいなことは言えるんです」と説明する。

しかし「何歩進んだら地震が起きるかというところまでは、まだ研究は進んでいない」と話し、現状ではスロースリップが本当に地震の予知や予測に役立つかどうかはわかっていないとしている。

(東海テレビ)

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