浮世絵師・葛飾北斎が描いた『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』。タイトルは知らなくても、富士山と大きな波が描かれたこの浮世絵を思い出す人は多いのではないだろうか。

今Twitterで、この作品にインスパイアされたという4歳の女の子の絵本が「ステキ」と話題になっている。

北斎からインスパイア、4歳娘が制作絵本

母親のタマママさん(@tamamama99)が「ぜひ見てください」とコメントし、投稿した娘さん制作の絵本がこちら。タイトルは『ザブーンほくさい』だ。

『ザブーンほくさい』
『ザブーンほくさい』
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ストーリーは、1人の男の子が散歩をしていると海に行き着く。そこで、嵐に遭遇してしまい、海に大きな波ができるというもの。

おとこのこが さんぽをしました。
すると うみがありました。

すると あらしがやってきました。
すると なみができました。

そして、嵐が去ると波も落ち着き、日が暮れて男の子は帰宅して物語は終わる。
 

あらしがさって なみもなくなりました。
そして ひがくれて おとこのこはかえりました

いくつもの色を重ねて描かれた波や夕焼けの空、うれしさや驚きなど、さまざまな感情が伝わってくる男の子の表情など、細かな部分まで描かれた素敵な作品だ。

また、表紙をめくると1枚タイトルページがあり、本編の後には「おとなのかたへ」との説明もある。説明には「ほくさいはむかしのあらしのおおなみです」とあり、タマママさんによると「昔の人は大波を“ほくさい”と呼んでいた」ということを伝えたかったのだそう。

最後には絵本の作者のプロフィールも記載。絵本の構成としてもしっかりしている。

『ザブーンほくさい』あとがき
『ザブーンほくさい』あとがき

4歳の娘さんが作った絵本には「ステキな絵本ですね」「センスが最高」「北斎さんもきっと喜んでいらっしゃいます」といった称賛が寄せられ、最初の投稿には1万4000のいいねがつく話題となっている(3月10日時点)。

約40分で制作、娘さん満足の出来映え

センスが詰め込まれた素敵な絵本だが、制作者である4歳の娘さんはどのような子どもなのだろうか? また、他の作品も見てみたい。タマママさんに話を聞いてみた。

ーー娘さんが絵本『ザブーンほくさい』を作った経緯を教えて。

本人から「絵本を作りたいから画用紙を本の形にしてほしい」と頼まれて、私が白地の本を作りました。その直前に葛飾北斎に関する本を読んでいたので、最初に『ザブーンほくさい』というタイトルがひらめいて、そこから物語を広げていった様子でした。

絵本の作者のプロフィール
絵本の作者のプロフィール

ーーでは、娘さんが「絵本を作りたい」と思ったきっかけは?

絵本を作るようになったきっかけは、成長に伴って絵や文字がかけるようになったことだと思います。もともと、この子は物語を作るのが好きなんだな…と感じていました。例えば、お人形遊びのときに自分で考えたお話をどんどん展開していったり。ようやく大好きな「絵本」という形式で物語を作れるようになって嬉しいのだと思います。


ーー制作中の娘さんの様子はどうだった?

制作時間は40分ほどです。真剣な表情で黙々と作っていました。表紙の波の色や男の子の表情に、娘のこだわりが出ているように感じます。

表情豊かな男の子
表情豊かな男の子

ーー絵本が完成した時の娘さんの様子は?

本人も満足の出来だったようで嬉しそうでした。自分の描いた本を何度も声に出して朗読していました。

創作好きで毎日何か作っている

ーー完成した絵本を見て、タマママさんはどう思った?

タイトルがおもしろいな…と思いました。もともとダジャレを作るのが好きだったりとユーモラスな子なので、そこはさすがだなと感じました。


ーー娘さんについて教えて。創作は好きなの?

性格は元気でおしゃべりな子です。自分の意志は絶対に曲げない!というような、頑固な一面もあります。創作は好きだと思います。特に工作が好きで、毎日何か作っています。

公園で拾った松の枝と粘土で制作(左:噴水をイメージ 右:余った材料で制作)
公園で拾った松の枝と粘土で制作(左:噴水をイメージ 右:余った材料で制作)

ーーちなみに葛飾北斎にインスパイアされたというが、葛飾北斎に触れたきっかけは?

葛飾北斎には、実際に美術館で見たり北斎に関する本を読んだりして触れました。


ーー投稿には多くの反響があるが、それに対してはどう感じている?

ここまで反響があるとは思わなかったので驚きました。私自身、子どもの創作物を見ると元気をもらえるので、娘の作品が誰かを明るい気持ちにできていたらいいなと思います。

新作は『ふゆとはるのたいようとつき』

創作が好きだという娘さんは、『ザブーンほくさい』の後にも新たな絵本を完成させている。タイトルは『ふゆとはるのたいようとつき』

「日が長くなったから、太陽は(娘)ちゃんをずっと見ていられる…って喜んでるね」と話していた娘さんに、タマママさんが「それ絵本にしたら面白いんじゃない?」と提案したことで生まれたという。

『ふゆとはるのたいようとつき』
『ふゆとはるのたいようとつき』

物語は子どもを見るのが好きだという太陽に、春にはおとなしい月が、冬になると「しずめ!」と言ってくるという、太陽を主人公としたストーリーだ。

冬と春、それぞれの季節の時の太陽の心境を、さまざまな表情で分かりやすく伝えている。

たいようは こどもをみるのが すきでした。
ですが ふゆになると つきが しずめ!というのでした。

冬は夜が長く、徐々に夏に向けて日が長くなっていく…。日常でふと気づいた点を、太陽がただ空に昇っているのではなく、自分(子ども)を見て喜んでいると考える娘さんの発想で素敵な物語に仕上がっていた。なお制作時間は約1時間だったという。

タマママさんは、娘さんの成長に「今後も楽しく創作活動をしながら、創造力のある子に育ってくれれば嬉しい」と話した。

現在、娘さんは絵本作りブームが来ているようで、既に3作目を手掛けているそう。どのような素敵な絵本が生まれるのか、次回作も楽しみだ。