虐待を疑われた親たちが、無罪となるケースが相次いでいることなどを受け、脳神経外科医のグループがある調査結果を発表した。
児童相談所の虐待対応の根拠となっている国のマニュアルは、本当に正しいのだろうか。

奈良県立医科大学 朴永銖病院教授: 
約150例の乳幼児の急性硬膜下血腫が登録されたが、3分の2は事故なんです。虐待じゃないんです

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調査を行ったのは、奈良県立医科大学の朴医師ら小児脳神経外科医のグループだ。

 グループは、頭の中で出血する「硬膜下血腫」について、虐待が疑われるケースがどれくらいあるかを調べるため、大学病院など6施設を受診した4歳未満の子どもを対象に調査を行った。

その結果、「硬膜下血腫」が見つかった158人のうち実際に虐待が疑われたのは約3分の1で、約3分の2は低い位置からの転倒・転落など事故によるものだったという。

児童相談所が虐待か事故かを判断する根拠としている厚生労働省のマニュアル「子ども虐待対応の手引き」には、「90センチ以下からの転倒・転落で 硬膜下出血が起きることは殆どない」と記載されていて、今回の研究結果とは大きく異なる。

奈良県立医科大学 朴永銖病院教授:
厚労省の手引きの記載は、誰が何を根拠に書いたのか。手引きが医学的に正しい記載に改正されない限りは、今後も混乱が続くんじゃないか

「診断ガイド」には、「乳幼児の硬膜下血腫のうち約5%は落下や交通事故等、不慮の事故によるものだが、大半は虐待」だと記載されている。

厚生労働省は、2022年2月の国会答弁で「手引きの改正の進め方について今後検討する」としているが、そもそも「手引き」の記載に十分な医学的根拠があったのか、改めて問われることになりそうだ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年3月2日放送)

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