各地で高齢化が進み、お年寄りの外出や生活に支援が必要なケースが増えている。宮崎県延岡市では、地域の人たちが高齢者を支える取り組みが広がっている。
転倒しないよう体を支え 90歳女性と通院へ
約3200人が生活する延岡市北浦町。高齢化率は44%となっていて、生活に支援が必要な高齢者が多く、町にはタクシー会社もない。
そんな中、2018年に発足したのがNPO法人の「北浦お守り隊」だ。

24人のボランティアが支援が必要な高齢者に対し、家の掃除や庭の草取りなどをサポートしている。また2020年からは、通院や買い物などの外出支援も行っている。
設立当初から参加している小田博徳さん(72)。月に3日ほど活動している。

北浦お守り隊・小田博徳さん:
(地元の)困った人を少しでも手助けできればと思って。私の喜びでもあるんですよね、お客さんに喜んでもらえることが
この日は、90歳の一人暮らしの女性の通院を支援した。転倒しないように体を支えたり、荷物を運んだりする。
お守り隊の活動は、ボランティアが責任をもって継続的に支援に当たってもらうように、30分500円の有償にしている。

利用者も謝礼など気を使わずに済み、利用しやすい制度になっている。
利用者:
助かります。年寄りはバスの乗り降りが大変ですもん。(先日は)草刈りをしてもらいました。こんな制度ができて大助かりです

また、お守り隊は延岡市の介護予防事業を受託することで収益を確保し、運営スタッフの人件費などを賄っている。介護予防事業は高齢者の健康づくりにつながるため、一石二鳥となる。

この日は、認知症を予防するための口や指の体操などを行った。
参加者:
手の運動とか足の運動とかを入れてもらって、家でもそんなに転ばなくなりました

ボランティアの確保が課題 若い世代も協力を
一方、生活や外出支援の利用者が約40人であるのに対し、ボランティアは24人でギリギリの状態。北浦お守り隊の日髙利昭理事長は、さらに高齢化が進んだ場合に備える必要があると考えている。
北浦お守り隊・日髙利昭理事長:
逆に、お守り隊の中から支援が必要な人が当然、生まれてくると思いますね。少しずつ若い人たちに知ってもらって、参加してもらえるようになるといいと思っています

お守り隊では「北浦は一つの家族」を合言葉に10年後、20年後を見据え、ボランティアの確保にも力を入れて活動を続けていきたいとしている。

北浦お守り隊の取り組みは、県内の他の地域から視察が訪れるなど、注目されているという。
(テレビ宮崎)