この記事の画像(18枚)

こちらは、15世紀にヨーロッパで描かれた、ある病気の治療の様子。
その病気は「梅毒」。

「昔の病気」というイメージだが、戦後、日本で激減していた梅毒が今、私たちの周りに広がっていて「誰もがかかりうる病気」になっている。
全国的に患者数が急増していて、2021年は、広島市で過去最多となった。
急増の背景と、その対処法とは。

全国的に増え続けている「梅毒患者」。
広島市でも例外ではなく、2021年の感染者は105人と過去最多となった4年前と並び、前の年の1.5倍と急増している。

性行為によって感染する“梅毒”の症状

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という病原菌が原因の感染症で、主に性行為によって感染する。
硬い「しこり」や「ただれ」といった症状が出る。

早期に発見すれば、「ペニシリン」などの薬物治療で完治するが、発見や治療が遅れたり、治療せずに放置すると…

いぐち腎泌尿器クリニック・井口裕樹院長:
最終的には神経にいった場合には、やっぱり認知機能の低下であるとか、人格の崩壊が起こるとも言われています。やはり放置すると、最終的には命を脅かすかもしれません

感染者数の増加は、海外からの観光客増加と関係?

感染者数は、海外からの観光客の伸びに関係しているのではないかという指摘もある。

広島市を訪れた外国人観光客は、2012年からコロナ前の2019年まで、8年連続で過去最多を更新。
梅毒の感染者数は、時期が少し遅れる形で、2015年から急増している。

いぐち腎泌尿器クリニック・井口裕樹院長:
諸外国は、日本よりも人口当たりの梅毒の患者が10倍以上の所も多くあります。外国人の入国者、特に外国人の観光客の方、そういった方々は性風俗のサービスを利用される場合もあるかと思うんですが、そこからさらに日本人にも感染が広がっていったとも考えられます

今は、コロナ禍で外国人観光客数は激減しているが、「梅毒」は日本に根付いてしまった。

観光客減少も…“梅毒”はなぜ根付いたのか

いぐち腎泌尿器クリニック・井口裕樹院長:
(日本では医師も)長いこと梅毒を診てなかったので、忘れてるんですね。しかも、病気が非常に多彩な症状を呈するために、きちんと診断できていなかったというのも一因かもしれません

医師も診療の経験がなく、見逃してしまうこともあるなど、適切な治療に結びつかないことが多いという。

いぐち腎泌尿器クリニック・井口裕樹院長:
しこりが、だんだんただれてくる。このただれは何も(治療)しなくても、1、2カ月すると自然によくなります

症状がすぐに消える「潜伏期」があるため、「治った」と勘違いすることで悪化。
気付かないまま、人に感染させてしまう。

海外から持ち込まれ、性の多様化などもあり日本で急増した「梅毒」。

いぐち腎泌尿器クリニック・井口裕樹院長:
今、すでに一般の方同士、つまり通常のパートナー間での感染も増えてきております。誰でも普通にかかり得る病気になってきていると思います

井口医師によると、2022年の患者数は、過去最多に並んだ2021年を上回るのではないかという。

実際、市のまとめでは、2022年になって2月20日時点で既に29件の患者数が報告されている。ちなみに、2021年の同じ時期は3件だった。

早期発見と、治療を適切に受ければ「治る病気」。
不安がある人は、まず検査を受けること。
検査や治療は自分のためだけではなく、パートナーや家族のため。
そう考えていくことが大切なのではないだろうか。

(テレビ新広島)