新型コロナの影響で、手術などで使う輸血用の血液製剤が不足している。福岡県内の病院に配送する施設の”心臓部”を取材すると、大きな課題が見えてきた。
病院からの要請は1日300件 年中無休で対応
普段は部外者の立ち入りが厳しく制限されている部屋。その内部を特別に見せてもらうと…。
「緊急!新オペ(手術)です!」
緊張感が漂う中、職員が慌ただしく動き回る。
この記事の画像(12枚)筑紫野市の福岡県赤十字血液センター。県内約100の病院に輸血用の血液製剤を毎日、配送している”心臓部”だ。
――これは何ですか?
県赤十字血液センター 横山廉代供給一係長:
赤血球製剤です。病院の発注内容と血液製剤が間違っていないかをこちらで2重チェックして、病院に運んでいます
病院からの要請は多い日で1日300件。しかも、365日24時間対応。運ばれるのは全て、献血で集められた血液から作られた血液製剤だ。
この血液製剤の供給が今、コロナの影響で危機に瀕している。
櫓木健治献血推進課長:
いま福岡県では計画に達していない数、270人分くらいの血液が確保できていない
赤血球製剤の有効期限は21日間も「献血できない」
理由は、県内で「献血バス」の受け入れ中止が相次いでいるためだ。
櫓木健治献血推進課長:
現在、福岡県では40会場の30台ほどが出せていない状況になっています。かなり厳しい状況が続いているという現状です
毎年、この時期は学校や企業の駐車場にバスを出して献血に協力してもらうことが多いが、感染拡大への懸念からキャンセルが続発しているのだ。
この輸血用の血液製剤は有効期限が短く長期保存ができないため、定期的な血液の提供が必須だが、コロナによって血液の確保に黄信号がともっている。
県赤十字血液センター 横山廉代供給一係長:
赤血球製剤で21日間しか有効期限がありません。毎日だいたい600人くらいの血液を使用していますので、1日同じくらいの採血がないと保っていけないというところです
積極的な協力を コロナ感染・ワクチン接種後は注意
誰かの命を救うことにも繋がる献血。赤十字血液センターは、コロナに感染し中等症や重症患者が増えつつある今、できる限りの協力を呼びかけている。
櫓木健治献血推進課長:
献血は不要不急の外出ではございません。感染防止対策もしっかり取った上で行っていますので。ぜひ安心して献血においでいただければ、ご協力いただければと思います
このコロナの影響で、献血に協力したくてもできないという人も多く存在する。
コロナの感染者は症状が完全に消えてから1カ月間、献血ができない。濃厚接触者も感染者との最終接触日から2週間、そして、ワクチンを接種した人も接種後2日間は献血に協力できない。
県赤十字血液センターでは、一度でも献血をしたことがある人はインターネットで事前予約も可能なので、血液不足を補うために積極的に献血に協力してほしいと呼びかけている。
(テレビ西日本)