新型コロナウイルスの後遺症を専門に診療する「コロナ・アフターケア外来」が、岡山市の岡山大学病院に開設されて、間もなく1年になる。
不安と闘った後遺症患者の証言と、現状を取材した。

おもな5つの症状とは…後遺症に特徴も

コロナ・アフターケア外来 40代女性患者:
一部のにおいだけが感じないことがあった。起きるのも、すごく頑張らないと体を起こせない

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岡山県内の40代の女性。2021年8月末に、新型コロナウイルスに感染した。
熱が下がっても先ほどのような症状が続き、約1カ月半後にコロナ・アフターケア外来を受診した。

岡山大学病院・大塚文男副病院長:
患者さんの症状で結構、倦怠感が強い。疲れやすくなって、におい・嗅覚障害、その次が味覚(障害)、そのあとは脱毛、頭痛。こういったものが、おもな5つの症状になる

新型コロナウイルスの後遺症の実態調査 出典:岡大病院コロナ・アフターケア外来
新型コロナウイルスの後遺症の実態調査 出典:岡大病院コロナ・アフターケア外来

岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来は、2021年2月中旬に開設され、1月末までに200人余りが受診した。

岡山大学病院の副病院長で、総合内科・総合診療科の大塚文男教授は、まだ科学的にははっきりしないものの、コロナウイルスの株によって後遺症にも特徴があるという。

“脳の霧”症状に特効薬なし…治療に時間も

岡山大学病院・大塚文男副病院長:
アルファ株(2021年6月~7月ごろ)がでてきてから、消化器系の症状が出てきた。お腹がおかしい、下痢、ムカムカなど。デルタ株後(2021年8月ごろ~)、ブレインフォグ(脳の霧)、集中力低下、頭がまとまらないなど

岡山大学病院の副病院長で、総合内科・総合診療科の大塚文男教授
岡山大学病院の副病院長で、総合内科・総合診療科の大塚文男教授

「ブレインフォグ」。脳の霧ともいわれる。
ぼんやりと、もやがかかったような感覚のことで、症状としては記憶障害、集中力の低下、頭痛などがある。

先ほどの女性にも、ブレインフォグの症状がみられた。

コロナ・アフターケア外来 40代女性患者:
頭の中がいつもドロドロと、グルーッと回っている感じ。初めは後遺症の自覚なかった。日常生活で言葉が出づらい。会話の内容が頭に入ってこない

岡山大学病院・大塚文男副病院長:
(ブレインフォグへの対処は)特効薬はない。症状を確認し、血液検査等で潜んでいる病気がないか調べ、漢方薬を用いた

後遺症の治療には、時間がかかることもわかってきた。
1月中旬までの患者数205人のうち、治療を終えたのは40人。回復までに平均141日、約5カ月かかっている。
そして約7割の患者が、半年たっても症状が残った状態だという。

この女性は、症状が治まるまで4カ月かかった。

未知の病気だったが…感染抑制と予防は継続を

コロナ・アフターケア外来 40代女性患者:
コロナに感染し、周りに迷惑をかけ、後ろめたい気持ちでいっぱいだった。自分の体が怠けているのか、長く療養して体力が落ちたかと思っていた

しかし、自分がブレインフォグであることがわかってから、状況が変わったという。

コロナ・アフターケア外来 40代女性患者:
そういう症状(ブレインフォグ)とわかり、自分の症状を客観的に見ることができた。日常生活で気を付けることや、自分の状態がわかり、今はほぼ元通りになったと思う

岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来は、新型コロナの発症から1カ月を過ぎても症状が続く人が対象で、かかりつけ医の紹介状と予約が必要。

岡山大学病院・大塚文男副病院長:
後遺症診療を始めたころは、患者から「私はどうなるのか?」という質問が多かった。未知の病気だったが、ある程度の経過がわかると、不必要に心配する必要はない。感染の抑制や予防はしっかりみんなで続けてほしい

(岡山放送)

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