中華料理に欠かせないキノコ・キクラゲの栽培に、鳥取市気高町の男性が取り組んでいる。高温の環境を好むキクラゲを、地元ならではのある工夫で冬場でも収穫できるようになった。

温泉熱で栽培した肉厚でぷりぷりキクラゲ

あふれ出す湯気。その出どころは農業用のハウス。扉を開けると、途端に中から蒸気が。

蒸気がハウスの外にも
蒸気がハウスの外にも
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カメラマン:
うわーものすごい曇ります。すごい

蒸気の奥に作業中の男性の姿。川端義寿さん。鳥取市気高町で2年前からキクラゲを栽培している。ハウスの中を進むと、右にも左にもキクラゲ。年間40トンを栽培しているが、その方法にある特徴が。

川端義寿さん:
浜村温泉の温泉熱を活用して栽培しています。温泉は今この棚の下に出ています。このチューブがそれなんですけど、触ってみてください

本田航太記者:
熱っ!熱いですね。これが浜村温泉の温泉水?

川端義寿さん:
65度ありますから、やけどしますよ

キクラゲが栽培されている棚の下にも、天井からも温泉水が流れていて、ハウス全体を蒸気で包みこむ。

キクラゲは気温が20℃から30℃の環境で生育するため、冬場は暖房が必要だが、コストがかかるため冬場の栽培をあきらめる農家も少なくない。
そこで川端さんが目をつけたのが、浜村温泉の温泉熱。いわば「天然の暖房」で冬場にも栽培し、今では年間を通じて出荷できるようになった。さらに…

本田航太記者:
プリプリで弾力が、歯ごたえがすごいですね

川端義寿さん:
これが温泉キクラゲです。1回クレームありましたよ。コリコリしたのがキクラゲなのに、ブニュブニュしていると。いやそういう風に作っているんで

温泉熱栽培の効果は食感にも。ぷりぷりとした食感で炒め物などに使われる生のキクラゲは、鮮度を保つのが難しく、その多くが国内で生産されている。

川端さんの温泉育ちのキクラゲは、蒸気を浴びて水分が豊富なため、一般的なものより肉厚。ほかの生産者との競争にも十分勝算があるという。

コロナの影響で出荷制限に…

元々はきのこ栽培について研究していたという川端さん。キクラゲの栽培を始めたのは、大手外食チェーンから鳥取産のものを使いたいと相談を受けたのがきっかけだった。

そして、ビジネスチャンスを見出し、栽培に取り組むようになった。地の利を生かした温泉熱栽培に取り組むのは県内では川端さんだけ。ただ課題も…

川端義寿さん:
困っているのは販路ですね。大手外食チェーンが買い取ってくれる前提で始めたが、出荷量の制限もかかってきて…

コロナ禍で大手チェーンへの出荷量が制限され、出鼻をくじかれた格好。収支も赤字を出さないのがやっとという状況。

川端義寿さん:
コロナの影響で計画していた数量の出荷ができない。栽培できない。施設の回転率も下がっている。生キクラゲの販路を拡大して、温泉キクラゲの認知度を高めて全国展開できれば言うことはない

温泉育ち、天然の暖房で育った鳥取・浜村温泉のキクラゲ。「全国の消費者に届けたい!」川端さんのチャレンジは始まったばかり。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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