北欧に「ヒュッゲ」という言葉がある。「居心地がいい」「心温まる」という意味で、特に厳しい冬はヒュッゲを大切にして過ごすそうだ。

北欧スタイルを暮らしに取り入れ、信州の冬を楽しむ一家にヒュッゲを教えてもらった。

築40年の家を自らリフォーム サウナも完成

「ヒュッゲ」を大切にして暮らす家族の住宅(長野県松本市)
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フリーライターの桑原さやかさん(38)。スウェーデン出身の夫、オリバー・ルンドクイストさん(36)と娘の春ちゃん、息子の明くんの4人で暮らしている。

松本に移住したのは2017年。築40年の住宅をコツコツ自分たちでリフォームした。さらに…。

記者:
何を作っているんですか?

桑原さやかさん:
実は、サウナなんです

自宅の裏に建てたのは「手作りサウナ」。

オリバーさんと明くん

夫・オリバーさん:
松本の冬が寒いので、北欧もサウナよく入るので恋しくなって。作れないかなと挑戦したら、気が付いたらできちゃいました

アロマの香りでリラックス 蒸気と熱を楽しめる

記者:
わー、いい香り!

夫・オリバーさん:
そうですね。今、ユーカリのアロマオイルをかけたので、スチームサウナみないな感じで蒸気と熱を楽しめる。なので肌もプルプルです

内部は完成していて、すでに子どもたちのお気に入りの場所だ。

夫・オリバーさん:
はるちゃん最近、サウナ好きだよね

春ちゃん:
ここ!ここ!

温度は70度前後と低めだが、汗をかくので普段は服を脱いで入る。絵本を読んだり、おもちゃで遊んだり。1時間ほど入れば体の芯から温まる。

サウナを楽しむ桑原さやかさんと娘・春ちゃん

桑原さやかさん:
(温かさが)体の中にしみ込む感じ

夫・オリバーさん:
外が寒いのでその温度差がいい。外にちょっと出てまた中に入る

北欧での生活で「ヒュッゲ」に触れる

桑原さんは信州大学を卒業後に北欧発祥の家具量販店で働き、同僚だったオリバーさんと結婚。

その後、旅で訪れて気に入ったというノルウェー北部のトロムソに移り、1年半生活した。約2カ月、太陽が昇らない「極夜」も体験した。

桑原さやかさん:
極夜は本当に厳しい。太陽の光を感じないのは、人間の何かが欠けているような感じがして

長く厳しい北欧の冬。よく耳にしたのが「ヒュッゲ」という言葉だった。現地の人々は冬の楽しみを意識的に見つけていたという。

桑原さやかさん:
北欧の人たちって、ゆったりキラキラ暮らしているイメージがあったんですけど、みんな自分の暮らしが豊かになるように必死に暮らしているんだなと

ろうそくに火、子どもと一緒に手作りおやつ

そして、松本に移住してからも「ヒュッゲ」を暮らしに取り入れている。

一日の始まりは、ろうそくに火をともすことから。

桑原さやかさん:
キャンドルをともすと気持ちが温まる。元気になる感じがするので、いつもつけます

2人とも在宅で仕事をしているが、休憩時間には…。

桑原さやかさん:
春ちゃん、ハート型にしようか

春ちゃん:
ハートにする~

ジンジャーがたっぷり入ったクッキーは、子どもたちも大好きな「ヒュッゲ」だ。

オーブンで5分ほど焼く。

桑原さやかさん:
あ~、できた!

焼きあがったジンジャークッキー

薪ストーブにあたりながらブレイクタイム。

桑原さやかさん:
おいしい?

子どもたち:
うーん!!ヤミー!!(おいしい)

桑原さやかさん:
ジンジャーが入っているから体もぽかぽか温まるので、冬にぴったり。一緒に会話しながら作業するのが、本当に「ヒュッゲ」だなと思う

スープの昼食で一息 裁縫で気分転換

この日の昼食は、最近、中華料理にはまっているというオリバーさんが担当。メニューは「キュウリ卵スープ」だ。

夫・オリバーさん:
これ松本一本ネギ。甘くておいしいんですよ。ネギ油を作ります

松本一本ネギを油で炒めて香りを出したら、スライスしたキュウリを投入。火が通ったら水と中華だしを入れ、最後に卵を流し込む。

オリバーさん作「キュウリ卵スープ」

夫・オリバーさん:
寒いからスープであったまろう

毛布にくるまり、デッキで景色を眺めながら温かいスープ。「ヒュッゲ」なひと時だ。

桑原さやかさん:
おいしい。あったまる~

その後、子どもたちはお昼寝。子どもたちのお昼寝中は桑原さんの「ヒュッゲ」な時間だ。

桑原さやかさん:
北欧の人は編み物してる人がすごくいっぱいいて、みんなチクチクしながら会話してて。もともと全然、私も(裁縫を)やるタイプじゃなかったけど、やり始めるとすごい楽しくて

穴のあいた子ども服も、この通り。

桑原さやかさん:
どれだけ家にいても気分転換できるか、居心地よく過ごせるかをいつも考えていて。それに近づけていきたいと意識している

サウナは家族みんなの「ヒュッゲ」

くつろぎの時間を意識的に見つける暮らし。サウナはその最たるもので、一家の「ヒュッゲ」だ。

夫・オリバーさん:
シラカバのいい匂い。これがちょっとあったまったら、肩にトントントン。そうすると血流も良くなるんですよ。北欧では(シラカバを)春先に採って半年乾かして、冬にちゃんといっぱいあるよう用意しときますね。

夫・オリバーさん:
「ヒュッゲ」はあえて、昔ながらのアナログな楽しみ方なんですよね。だからこのサウナも電気ではなく、まきにしたんです

まだまだ続く厳しい寒さ。「ヒュッゲ」のある暮らしは、信州の冬にもぴったりだ。

桑原さやかさん:
家族で集まってゆっくり過ごす時間とか、静かな中で本を読む時間とか、そういう時に「安らぐな、ヒュッゲだな」と感じる。寒いからこそ楽しめることはいっぱいあって、温泉も余計に染みますし、温かいコーヒーとかココアとか。夏にない楽しみを、意識して暮らしに取り入れるといいのかな

(長野放送)

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