昭和の風景がまた一つ消えようとしている。
京浜急行電鉄の京急川崎駅ホームに設置されている「パタパタ」と音を立てて電車の行先を表示していた案内装置が、2月で引退するのだ。
かつては他の駅でも見られた「フラップ式列車発車案内表示装置」は、文字が書かれたパネルが回転する音から通称“パタパタ”と呼ばれ、ホームに響くその音色につられて見上げた人も多いだろう。
京急線では1986年(昭和61年)に初めて京急川崎駅に導入。それ以前は、案内の書かれた巻取り幕や板が使われていたというが、パタパタは見やすさと情報量の多さからたちまち主流となった。
この装置は最大で京急の10駅に設置され、京急川崎駅の現在の装置は二代目。しかし、時代の流れとともにLED表示式への転換が進み、同駅のパタパタを残すのみとなっていた。2月に引退すれば35年間の歴史に幕を閉じることになる。
なお、関西の私鉄などでは今も現役バリバリで使われている駅もあるという。
そんなパタパタを思い出として残すため、京急では記念乗車券や宿泊付きのナイトツアー、記念グッズを販売。なお、回転するパネルを再現した記念乗車券と、2月4日の夜にパタパタの紹介やリクエストに応じた案内を表示するナイトツアーはすでに申し込みを締め切った。
パタパタを模した引退記念グッズのキーホルダーやマグネット、定規は、2月上旬の発売を予定している。
昨今は本物の鉄道用品がオークションにかけられることも珍しくないが、引退するパタパタはその後どうなるのか? またパタパタの引退を惜しむ声はどのぐらい寄せられているのか?
京急の担当者に聞いてみた。
引退後のパタパタは全くの未定
――LED表示に転換する理由は?
主流がLED表示に置き換わっているので、その流れに合わせた形になります。上記の理由でパーツの調達なども難しくなっております。
――記念のナイトツアーを終えたら引退なの?いつまで動いている?
具体的な日付は最終日の危険や混乱を招くのを防止するために非公開ですが、2月中旬にかけて取り外しをおこないます。
――記念グッズのキーホルダーやマグネット、定規で、パタパタできるの?
それぞれ複数の表示パターンをご用意しておりますが、パタパタはできず、固定の時刻となります。時刻については、弊社で所有するパタパタの資料画像の時刻を選定しました。
――引退を惜しむ声はどのくらいある?
お客さまから駅員やご案内センターに、多数のお声をいただいております。
――引退後のパタパタ装置はどうなるの?
弊社では役目を終えた部品をファミリーフェスタ等で一般のお客さまに販売したりすることもありますが、パタパタについては引退後どのようになるかは全くの未定です。
リリースによると、パタパタは2月中旬に予定している更新工事にあわせて役目を終えるという。もし取り外される前に京急川崎駅を訪れることがあったら、京急のホームで動く最後の姿を見届けてほしい。