新型コロナウイルスのオミクロン株の感染者が沖縄県内で初めて確認されてから、1月17日で1カ月が経った。県内や国内の感染拡大は米軍基地が原因と指摘され、1月10日から2週間、在日米軍関係者の不要不急の外出が制限される。

基地内の感染拡大、歯止めかからず

これは「キャンプ・ハンセン」のクラスターが判明した2021年12月15日以降、沖縄県内の米軍基地で確認された感染者の数を示したグラフ。

2022年1月17日までに4839人に上り、基地内の感染拡大に歯止めがかかっていない。この間、米軍や日米両政府はどのような対応を取ってきたのか。

2021年12月15日~2022年1月17日のデータ
2021年12月15日~2022年1月17日のデータ
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国内のオミクロン株に対する水際対策として外国人の入国制限という強い措置がとられる中、2021年12月、突然沖縄に飛び火したオミクロン株の感染。

「キャンプ・シュワブ」や嘉手納基地などでも基地従業員の感染が次々と確認され、まもなく米軍が出入国の際、ワクチン接種を前提に検査を実施していなかったことが判明する。

全駐留軍労働組合沖縄地区本部 與那覇委員長:
いつの間にか緩和されて、日本政府にも知らされなかった。組合もちろんそれを把握できませんでした。このことが大いなる問題だと思っています

日米地位協定によって米軍人・軍属は国内の検疫法が適用されず、感染対策は米軍に委ねられており、国内の水際対策との著しい差が浮き彫りになった。

玉城知事「日米地位協定の構造的な問題」と指摘

2022年1月2日、玉城知事は国立感染症研究所の分析を基に、沖縄県内のオミクロン株の感染拡大は米軍由来だという認識を示し、日米両政府の対応に怒りを露わにした。

玉城知事:
日米両政府におかれては、この問題を単に米軍の感染症対策の不備として矮小化するのではなく、日米地位協定がもたらす構造的な問題であるという強い危機意識を持っていただきたいと思います

感染力の強いオミクロン株は、人の流れが活発になる年末年始と重なり、県内でかつてない速度で感染が広がった。

沖縄・山口・広島の3県にまん延防止等重点措置適用

全国的にもアメリカ軍基地がある、山口県や隣接する広島県などで感染状況が悪化し、1月9日から沖縄と共に国のまん延防止等重点措置が適用された。

2022年1月16日時点
2022年1月16日時点

国内の感染状況も厳しさを増し、政府が米政府に直接働きかけ、軍関係者の外出制限が実現したのは1月10日のことだった。「キャンプ・ハンセン」でのクラスター発覚からすでに20日以上、対応が遅すぎるという声が聞かれた。

嘉手納基地に近い飲食店:
(米軍の対応は)遅いですよね。最初から手を打っておけばそこまで広がらないでしょ

ここにきて政府も、国内での感染拡大が在日米軍が原因である可能性を認め始めている。

林外相:
やはり在日米軍施設区域内の感染状況が、その周辺自治体における感染拡大の要因の1つであるという可能性は否定できないと考えております

米軍基地が水際対策の抜け穴となり、全国の自治体から日米地位協定の問題を指摘する声や見直しを求める声が強まっているが、岸田総理大臣の見解は。

岸田首相:
(地位協定を)まず変えるつもりは、変えることは考えておりません

この1カ月間をみても、社会や経済に大打撃を与えているオミクロン株の感染拡大。

いま国民が突きつけられる感染症対策を通して、これまでほとんど目が向けられてこなかった日米地位協定の問題点が、全国の問題として共有されつつある。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
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