【解説】小銭を持っていると損? ”最後の砦”ゆうちょ銀行も手数料導入…5円(ご縁)玉に悩む神社を取材した
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【解説】小銭を持っていると損? ”最後の砦”ゆうちょ銀行も手数料導入…5円(ご縁)玉に悩む神社を取材した

“最後の砦”ゆうちょ銀行、なぜ手数料を導入?

FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回は、経済部財務省担当の井出光記者が「小銭を持っていると損をする?ゆうちょ銀行が手数料導入」を伝える。ポイントは「小銭を家に貯めないように積極的に使っていくこと」。

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経済部・井出光記者:
1月17日から、ゆうちょ銀行で「硬貨取扱料金」というものが導入されました。これは、1円玉や10円玉など、いわゆる小銭を窓口で預けると手数料がかかるというものです。ATMで預ける場合、1枚~25枚までで、110円かかります。さらに26枚~50枚は220円、と枚数に応じて増えていきます。

ということは、1円玉だけを何枚預けても手数料の方が高くなるので、預け入れ自体ができないのです。

一方で、窓口で預けると50枚まで無料です。しかし50枚を超えて、100枚までは550円、それ以上、大量に預ける場合は、500枚ごとに550円かかります。

導入の理由としては、キャシュレス化の波や、小銭の扱いにかかる人件費の負担などがありますが、もう1つ大きな理由があります。

この小銭の手数料、実は大手銀行の窓口ではすでに数年前から導入していて、その結果、ゆうちょ銀行が小銭をただで預けられる「最後の砦」になり、小銭が大量に集まり、負担になってしまったんです。小銭によって、機械の故障もよく起きていたそうで修理なども含めて年間で数億円がかかっていたそうです。

ゆうちょ銀行からすると、手数料導入もやむを得ない・・・という感じもしますよね。

7万8000円分集めた小銭の手数料は?

井出記者:
はい。加藤さん、ここでご覧いただきたいのですが、実はこれ「ネタプレ」の担当ディレクターが自宅で小銭をこんなに貯めていたんです。5円玉、50円玉、10円玉・・・そして、ティッシュの箱の中に入っているのは大量の1円玉です。この箱に入った、年代ごとに包んである筒も、1円玉でした。

加藤キャスター:
すごい趣味ですね…。50円玉もかなりこれ厚みがありますよね?

井出記者:
数えてもらいました。大体50円玉が850枚、10円玉が450枚、5円玉が2000枚、1円玉はなんと約2万枚ありました。金額にすると、約7万8000円です。これらはまだディレクターの自宅にあるのですが、きょうから、これを預けようとすると・・・とんでもない手数料がかかってしまいます。

計算すると、窓口に預けるだけで、手数料は約2万6000円でした。そしてATMだと、約7万7000円もかかります。つまり、手数料だけでほぼなくなってしまうということです。

加藤キャスター:
このディレクターさん、こんなに手数料かかるんですね。預けるなら窓口のほうがいいということなんですね。

井出記者:
そうなんですよね。手数料がかかるとなると、なかなか預ける気にもならないと思いますが、ディレクターに話を聞いたところ「幼少期になんとなくで集めたモノだけど、今となっては、どうしよう…」と困っていました。

「ご縁がありますように」は負担?

井出記者:
今回の手数料は、小銭を多く扱う様々な業種にも影響を及ぼしています。例えば、募金や駄菓子屋、あとは学校に出入りする写真屋さんなどです。1枚数十円で、現金で生徒からお金を徴収するので困りますよね。

そして神社も困っています。ある神社の張り紙が話題になっていると聞き、取材に行ってきました。埼玉県加須市にある、玉敷神社です。お守りなどを販売する所に行ってみると・・・

「100円玉が多く集まり苦労しています」「100円玉をご用意せず、遠慮なく1000円札をお使いください。お釣り歓迎。」という張り紙がありました。

玉敷神社・宮内由紀子 宮司:
硬貨の入金に手数料がかかることが始まった。少しでも硬貨の枚数を抑えるために張り紙をはじめました。いただいた金額に手数料がひかれるということはやるせないので。

井出記者:
神社ではおみくじやお守り、御朱印の売上のほとんどが小銭だけに、手数料は痛手になってしまいます。そして、お正月の時期には特にお賽銭が多くなります。去年、新型コロナで初詣を控える人が多かった反動や今回のゆうちょ銀行の手数料導入の話を知った人が家にある小銭をたくさん投げ入れたそうで、今年は小銭が3万5000枚以上集まっているそうです。

小銭の選別機まで購入し、自分たちで仕分けした上で、つり銭不足に困っているコンビニと連携して両替をするなど工夫しているそうです。

私たちが、ご縁がありますようにと投げ入れる5円玉が、実は神社側には負担になる時代になっているんですね…。

社会学者・古市憲寿氏:
最近ありますけど、もっと神社やお寺でもキャッシュレスに払えるようにしてほしいんですよね。それだと「味気ない」という人もいるんですけど。とはいえ、お金って、神社やお寺の歴史からすると新しくて、昔は稲とかお酒とかモノを奉納していた訳で、だったらキャッシュレスもいいという考え方もあると思います。

「原価割れ」1円玉&5円玉は将来なくなる?

井出記者:
実はすでに1円玉、5円玉、50円玉は2021年度から私たちがお金として使う分については製造されていません。その理由として、キャッシュレス化や、消費税が8%から10%になり端数のやりとりが減ったのも大きいですが、もう1つ理由があります。

小銭は、大阪、埼玉、広島の3カ所にある「造幣局」で作られているのですが・・・例えば、アルミで作られている1円玉は仮に、値上がりしてている今のアルミの価格で計算すると1枚あたり3円くらいかかっています。さらに5円玉、10円玉も製造コストをいれると、「原価割れ」だと言われています。

となると「1円玉や5円玉は近い将来なくなってしまうんじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。これについて造幣局に聞いたところ、「たしかにそういった問い合わせは最近よくいただきますが、なくなりません」と言われました。

どんなにキャッシュレス化が進んでも、現金を使う人がいてお釣りが存在する以上、一度出回った1円玉や5円玉は、なかなかなくならないそうです。

ただ、銀行口座に入れるのに手数料がとられる時代です。手元にある小銭は積極的に使うなど、家に小銭がたまらないようにすることも重要かもしれません。

加藤キャスター:
今の段階では、少しずつ手元にあるものを使っていく、ということに限るのかもしれませんね。

(「イット!」1月17日放送分より)

井出 光
井出 光

フジテレビ 報道局 経済部(財務省担当)。野村證券から記者を目指し転身。社会部(警視庁)、経済部で内閣府、経済産業省、民間企業担当などを経て現職。

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