この記事の画像(12枚)

2021年12月4日、岐阜県養老町の廃業したホテルで火災があった。警察は放火の可能性があるとみて調べている。街中に残る廃墟の危険性と、どのような対策ができるのかを取材した。

「倒壊の可能性は低い」行政と管理者が協議中

国道258号線から一本入ったところにあるホテル。

入口にはフェンスが置かれ「立入禁止」と書かれているが、入ろうと思えば簡単に入ることができる状態で、奥には落書きのようなものが見えた。誰かが侵入して落書きをしたのだろうか。

ホテルには多くの落書きやゴミが散乱。辺りを調べると、今回の火元なのか、窓が割れ外壁にはススが目立つ部屋があった。

裏側に回ると、酒の瓶や靴などが置いてあり、奥に見える扉は開いていた。

付近の住民A:
人がいることは分かっていた。たまにいるなということで、1回警察に通報したこともあったんやけど

付近の住民B:
怖いですよね。取り壊してほしいと思っています

付近の住民C:
廃業してからエアコンの室外機とかを取りに、そういう人が来とったみたいで

近隣の人によるとホテルは2013年頃に廃業し、それ以来、若者や外国人が出入りするようになったという。

こうした廃墟は、放置すれば犯罪の温床になる恐れも。過去には、愛知県春日井市の廃旅館でたびたび火災が発生した。

また豊山町の廃ホテルでは、男性の遺体が発見されたこともあった。

解決策はないのか、養老町役場に話を伺った。

養老町役場の担当者:
管理者はいます。その管理者とも連絡が取れる状態になっております

ただし、すぐに取り壊しとはいかないようで…。

養老町役場の担当者:
取り壊しは現在のところ考えておりません。ホテルの構造上、当然あれだけ固い構築物になりますので、その辺(倒壊)の心配が、まずございません。管理者と侵入防止対策、または監視カメラ等の設置について今協議していて、対応するという旨の返事も聞いております

このホテルは構造上、倒壊する可能性は少なく、また管理者が改善する意向を示しているため、行政としてはこれ以上手が出せないとのこと。

危険な建築物「特定空家」の指定は簡単でない

こういった問題をどうすればよいのか、NPO法人の「空家・空地管理センター」に伺った。

空き家の問題が起きた時の大まかな流れは、まず危険な建築物などを「特定空家」に指定し、その後に指導などを行い、改善されない場合には解体といった最終手段「行政代執行」が行われる。

特定空家というのは、放置すれば著しく「倒壊の恐れがある」「衛生上有害となる」「景観を損ねる」「周辺の生活環境へ悪影響を及ぼす」といった恐れがある時、不適切と認められる空き家を自治体が指定する。

その後、改善が見られない場合に「行政代執行」を行う。

例えば、名古屋市西区にあった空き家は、倒壊などの恐れがあるとして解体・撤去された。また愛知県蒲郡市の空き家では、敷地の周りにゴミが山積みにされて異臭を放ち、苦情が相次いでいたため撤去された。

費用は初めに自治体の税金で賄われ、その後に所有者に請求されるが、そう簡単にはできない事情も…。

行政代執行はあくまで緊急性が高い時に限られる。仮に頻発してしまうと、所有者が「解体は行政が勝手にやってくれる」と考え、放置・逃亡してしまう恐れがあることが考慮されているためだ。

また所有者がいない場合は、かかる費用が自治体の負担になってしまう。

今回の養老町の廃ホテルについては、不審者が侵入するという問題は他の空き家でも多く見受けられるため、特定空家の条件にあてはまらないとのこと。

また、管理者が改善の意向を示していることもあり、現段階ではすぐに解体など手を加えることは難しいという。

(東海テレビ)