連日寒さが増す中、屋外にもかかわらず人出が絶えないのが、岩手県盛岡市民の台所「神子田朝市」。

新型コロナウイルスにも負けず、従来の野菜や果物に加えてお総菜やスイーツを販売する新たなお店が増え、賑わいを見せている。

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飲食店のキッチンカーも 新たに30店舗出店

夜がまだ明け切らない朝5時すぎ、開店準備が進む店先に長蛇の列ができていた。その先にあるのはスイーツだ。

訪れた客:
川村商店のこれを目当てに来ました。2回目です、買いに来たのは

訪れた客:
チーズケーキを目当てに来ました。すごい人気らしくて売り切れちゃうらしいです。朝市は今日が初めてです。寒いですけどその分おいしいものがある

コロナ禍で飲食店が軒並みダメージを受ける中、ここ神子田朝市には2020年2月以降、30店舗ほどが新たに出店。

首都圏を中心に緊急事態宣言が出されていた2021年のゴールデンウィークでは、県外客が減ったにもかかわらず、日曜の人出は2020年の1.5倍に増えたという。

ひっつみ店:
(出店して)20年以上になります。地元の客が来てくれているので、なんとかやっている。朝市はオープンスペースなので、客も安心して来てくれているように感じる

現在、約130店が軒を連ねる神子田朝市。スイーツや県内で水揚げされた海産物など、これまでにない商品を並べるお店に加え、日中や夜間の本業の不振に悩む飲食店の進出が相次いだ。

岩手県内で水揚げされた海産物が並ぶ
岩手県内で水揚げされた海産物が並ぶ

インドネシア料理のキッチンカー店主:
店をやっていてもコロナの影響で、客が来なくなる。買って持って帰る(テイクアウト)のが一番良いんじゃないかと思う

神子田朝市を運営する 吉田晃組合長:
店舗を増やすことで家族連れや若者など30代~40代が増え、20代のカップルなども増えている。1店舗でも多く店を入れて、たくさんの方に喜んでいただきたい

煙突の煙や盛岡弁…客と店の交流も魅力

組合には朝市へ出店をしたいという問い合わせが今も相次いでいて、スペースの空待ちの予約も入るほど人気も上々。買い物に訪れる客だけでなく、出店者の人間模様もさまざまだ。

朝市で起業した店主:
煙突の煙とか、盛岡弁を話す出店者とか。昭和ノスタルジーじゃないが、ここでしか味わえない空間ですよね

朝市で起業した店主:
以前は運転代行を営んでいました。好きな料理を作って好きなお客さんと話をしながら商売できるのは、自分としては楽しい

新型コロナの感染状況が刻々と変化する中で、営業形態を変えて対応しているといった出店者の声も聞かれた。

休業して出店した居酒屋店主:
お店の客がだいぶ戻ってきたので、朝市出店は一回ストップして店に戻る。こういう時に出店できてうれしかったし、時々、出店してお店とこっちを並行してやれたら

遠方からの客足が戻る日を待ちわびつつ、確実に地元のファンを増やし続けている神子田朝市。買い物を通じて客と店の会話が弾むことも、双方にとって大きな魅力でもある。

訪れた客:
寒いからこそ、ここで温かいもの食べたいし、皆さんの温かい感じに触れたいと思って。肉豆腐とクラムチャウダーを欲張って食べたいなと

例年、これからの冬季期間は野菜の出店が減るため、組合ではそうしたスペースを利用してチャレンジショップのような短期間の出店の受け入れも検討していて、さらなる活気が期待される。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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