マンガや雑誌などの影響でサウナが全国的なブームとなっていて、富山県内の施設にも若者を中心に多くの県外客が訪れている。奥深いサウナの魅力を取材した。
羽根大祐リポーター:
県外からも多くのファンが訪れているという施設が「スパ・アルプス」。どんな魅力があるのでしょうか
富山市にある創業33年のサウナ施設「スパ・アルプス」は、3年ほど前から客層に変化があったという。

スパ・アルプス サブマネージャー・穴口伸治さん:
北陸はもとより、サウナブームにのってでしょうか、全国から若い方が非常に多くなってきている
サウナを題材にしたマンガやドラマ、雑誌などの影響で、全国的なブームとなっているサウナ。

雑誌にも掲載されたこの施設では、週末の利用客が、コロナ禍以前よりも3割ほど増えているという。
“ととのう”を求めて…水風呂目当てに県外客も
「サウナー」と呼ばれる愛好家が増えた背景にあるのが、メディアを通じて広まった入浴方法だ。

まず、サウナに10分ほど入ってたっぷりと汗をかき、出たあとは、すぐに水風呂へ。

1~2分ほど水に漬かったあとは、椅子に座って休憩する。
ここで味わえる気持ちよさを、サウナーの間では「ととのう」と表現し、これを目的にサウナに通う人が増えている。

利用客:
体がふわふわすると言いますか、とにかく気持ちよさを感じる
利用客:
あつくなって汗をかいて、それから水風呂に入ると、一気に体がしめられる。外気に触れたり、座って休憩するとリラックスできる。週3日はサウナに行っている

「サウナの主役」と言われるほど重要だとされるのが、水風呂だ。
ここの施設は水風呂に飲むこともできる地下水を利用していて、これを目当てに県外からやってくる人も多いそうだ。

兵庫から日帰りで来た客:
休みを利用して来た
(Q.ほかに観光は?)
兵庫から日帰りで来た客:
一切しない、サウナだけ。飲める水風呂に入りたくて。上がったあとが、すべすべで気持ち良い

大阪から来た客:
水風呂が魅力。ここの水風呂は、行きつけの(静岡の)サウナよりも、とんがったイメージ。それが僕の肌に合う
富山市出身で、現在は埼玉県に住んでいる女性も、帰省の度に「スパ・アルプス」を訪れるという。

埼玉在住の利用客(富山市出身):
アルプス特有のサウナ後のドリンク。栄養がとれて、しかもキンキンに冷やしてもらっている。アルプスに戻ってきた瞬間、こんなに水っておいしいんだと毎回思って。とりこになって、いつも来ている

「県外から人が呼べる」屋外サウナも人気
一方、富山市の住宅街にある銭湯。敷地内にあるのは、1カ月前に完成したばかりの屋外サウナだ。
羽根大祐リポーター:
銭湯の廃材置き場を活用して新しく作ったというテントサウナです。中は真っ暗で、まきの良い香りがしますね。熱いです

まきストーブを使って、室温100度前後にまで温めるテントサウナは、サウナーの間でファンが増えている。
利用客:
たまらん。毎日来たいくらい

井戸水かけ流しの水風呂に、休憩のための椅子、いわゆる「ととのい椅子」は、ゆったりリクライニングできる。

全国的にも珍しい常設のテントサウナを作ったのは、富山市の元航海士・山岸優さん(26)だ。
2021年初めに友人のテントサウナを体験したところ、気持ちよさに感動。廃材置き場だった場所を理想のサウナに改装したという。

富山あせっかき・山岸優オーナー:
びっくりするのが、東京などから客が来たりして、「サウナって県外から人が呼べるんだな」と実感して。びっくりしている

石川県から来た客:
サウナのためにどこかへ行くというのが、一つの旅の目的になっていて、最近楽しい
多数の要素が合わさり「ブームではなく文化に」
全国の施設をめぐる人も増えている熱いサウナブーム。
日本サウナ学会の代表理事で、医師の加藤容崇さんは、「もはやブームではなく、文化になりつつある」と指摘する。

日本サウナ学会・加藤容崇代表理事:
本当に疫学的に、病気の予防効果やリスク低減の効果があると。サウナが健康に良いというエビデンス(根拠)ができたのは、2015年以降くらい。
サブカル的な入り方、話題になるようなメディアの取り上げ方、社会的な情勢、健康的なデータがまとまってきたという偶然がミックスされて、サウナが1つのブームというよりも、文化になりつつある

(Q.地方にとっての良さはありますか?)
日本サウナ学会・加藤容崇代表理事:
サウナは、強制的にゆっくりする。ただ座って、ぼーっとする。ほかの観光のスタイルだと、こんなことあり得ない。そこに地元の魅力を凝縮して、こんなに良いんだというのを一番インプットしてもらいやすい場所だと思う

日本サウナ学会・加藤容崇代表理事:
地元の魅力を凝縮したサウナができれば良い。(サウナは)地方創生にもつなげやすいのではないか。話題にもなりやすいし
(富山テレビ)