「どんな時も、あらゆる人がファッションを楽しめるように」。
服選びに悩みを持つ人の、そんな思いに応えた。

当たり前に「着たい服」が選べるように

東京・渋谷区にあるアパレル企業で行われた、新作の試着会。
参加したのは、生まれつき身長が低い人や車いすを利用する人たちだ。

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アダストリア ゼネラルサポート山形・鈴木大輔さん:
誰しもが「きょうこれ着たいな」、「あしたこれ着ていこうかな」と、何も疑問とか不満を思わず、何でも手に取れる世の中になっていったらいいなと思います。

例えばこのジャケットやパンツは、生まれつき身長が低い人が普段使いできるようデザインされている。

伸縮性の高い生地を使用するなど、着やすさにこだわった。

牟田浩一さん(26):
どうせ自分が着られる服なんてないだろうと思ってたから。きょうまでファッションに無頓着というか関心がなかったが、成人男性のかっちりした服に憧れていて、積極的に着たいなと。

今回の服を制作したのは、グローバルワークなどを展開する『アダストリア』。

アダストリア マーケティング本部・坂野世里奈さん:
病気でも入院中でも介護でも、どんなときでも全ての人がファッションを楽しめる。“Play fashion!”とあるが、そういう気持ちを持てるようになったらいいなと。

「白い服」の悩みは素材や形で解決

あらゆる人にファッションを楽しんでほしいと企画されたこれらの服は、いずれも服選びに悩みを持つ社員の声をもとに制作された。

山形市内にあるアダストリアの事務所で働く、鈴木大輔さん。
今回の企画に意見を出した社員の1人だ。

アダストリア ゼネラルサポート山形・鈴木大輔さん:
五体満足に比べると、すんなりとはいかないですね。

鈴木さんは、高校卒業目前にスノーボードで転倒し、首の骨を骨折。首から下にまひが残った。車いす生活になってから12年。そんな鈴木さんがこだわった点は…。

アダストリア ゼネラルサポート山形・鈴木さん:
車いすのタイヤと擦れるところに、本体の素材とは違うナイロン製のものを採用して、汚れづらいものにしました。今まで汚れを気にして着られなかった白を今回採用しています。

車いすを操作するときにつく汚れや、袖の長さを考慮。

裾がめくれないよう、スリットも入れている。

好きな時に好きなものを着る

10月に行われた試着会でも、反応は上々だった。

小澤綾子さん(39):
ここ(袖口付近)がやっぱり黒くなっちゃうのが結構イヤで、白いトップスはなかなか選ばなかったが、白いトップスが着たくなりました。

「着られる服」を選んでいたという参加者も、ファッションに対する「着たい」という気持ちを刺激されたよう。

アダストリア ゼネラルサポート山形・鈴木さん:
障害があると「やりたいときにこれができない」というのがたくさんあって、それを解消するとなるとなかなかできないが、そのコンテンツのひとつとして、ファッションで好きな時に好きなものを着られると、住みやすい環境になるのかなと思っています。

(「Live News α」11月19日放送分)