スピードや技を競う自転車競技=BMX。街で見かける自転車よりも、タイヤがひと回り小さいのが特徴。東京オリンピックの正式種目にも採用され、世界トップレベルの技の数々が記憶に新しい人もいるかもしれない。
その華麗な技から、「自転車のフィギュアスケート」とも言われている。

秋田県内にもBMXに取り組みながら、競技の普及に力を入れる男性がいる。実はこの男性、普段は全く別の顔を持っている。

BMXに乗る男性…本職はお坊さん

前輪を持ち上げ、ぐるぐると回転し、左右のペダルを軽々と行き来、次々と技を決めるのは潟上市の信田高(しだまさる)さん。高校生のときに出会ったBMXに憧れ、20年以上技を磨き続けている。

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(Q.かなりの腕前のようですがプロライダーですか?)
信田高さん:

いえ、趣味でやっています

信田さんの普段の様子をのぞいてみると、本業はお坊さん。
460年以上の歴史を持つ潟上市の圓福寺(えんぷくじ)の副住職。普段は境内を掃除したりお経を読んだり、寺の仕事をしっかりと務めている。

信田高さん:
めちゃくちゃ憧れていてプロにはなりたかったが、1回お休みをしてお坊さんになろうと。まずは自分の人としての確立を求めた

家業でもある「寺の仕事」に打ち込むことを決めた信田さんだったが、BMXの練習を欠かすことはなかった。次第に県内のイベントや祭りでパフォーマンスを披露するようになると、2016年に開かれたBMXの全日本選手権では、プロのひとつ下にあたる「エキスパートクラス」で7位に入賞した。

信田高さん:
努力の積み重ねでできた技を感じたときに、ものすごい快感を味わえるというか、「できた!」と。新しいことができると、またうれしくなるところが魅力

お坊さんもライダーも「誰かのために」

順調にキャリアを重ねる中で、信田さんが感じたのが競技人口や練習環境の少なさ。
そこで、信田さんは一大決心する。空き店舗を活用して練習場を作ったのだ。

9年前に完成したこの練習場で大会を開催しているほか、ライダー同士が交流できる練習会でBMXの楽しさを広めている。

信田高さん:
お坊さんというだけで、「お坊さんがやっているの?」とみんな喜んでくれるんですよね。お坊さんがまたそういうことをやっていて…という風に思われるのかなと思ったので、非常に悩んだのですが、人が喜んでくださるので、それもお坊さんとして良いことなのかなと思っています

「副住職」とBMXライダーという異なる2つの顔を持つ信田さんだが、「誰かのために…」その思いはどんな時も変わらない。

(秋田テレビ)