日本時間11月16日午前、友好ムードで始まった初めてのオンラインによる米中首脳会談。

3時間半にも及んだ会談では激しいやりとりもあったといいます。台湾情勢や人権、経済などの問題で対立が続く米中関係。今回の会談で具体的な成果はあったのでしょうか?

めざまし8は、フジテレビ解説委員の風間晋さんにいまの米中関係について聞きました。

「ガードレール」で衝突回避へ米中首脳の思惑は?

米中それぞれ共通の思惑があったといいます。バイデン大統領は「良識に基づくガードレールを作る必要がある」とし、習近平国家主席は「両国は互いに尊重の上、平和的に共存し協力するウィンウィンの関係を築くべき」としています。

お互いの認識を共有し、カードレール(防護柵)を置くことで、衝突ではなく競争へ向かおうとうたう両国。それぞれの共通意識のようなものが以前からあったのでしょうか?

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フジテレビ解説委員・風間晋
衝突も事故も、アメリカと中国は望んではいないんですよ。でも、この“ガードレール”っていうのは実態不明なんです。良識に基づくと言っても、アメリカの言っている良識なのか、中国が言っている良識なのかわからない。だから、それを詰めるために実は9月に首脳同士の電話会談がありました。1カ月後に、外交責任者同士の顔を合わせての会談がスイスでありました。で、このオンライン会談の直前に外相同士の会談がありました。でも、その直後に合意もなければ、会見もやらないよってことが明らかになったんですね。つまり、お互い言うべき事を言うしかないねという合意しか出来なかったんです

今回の首脳会談ですが、大きく分けて3つことが話し合われました。

話し合われたことの1つ目が、台湾をめぐる問題。アメリカ側は台湾海峡の平和と安定を損なう一歩的な動きに強く反対しています。一方、中国側はレッドライン突破の場合、断固とした措置を取らざるを得ないとし両国が対立しています。

2つ目の人権問題では、アメリカ側はウイグル・チベット・香港での中国の行動や幅広い人権問題に懸念を示しています。一方中国側は、人権問題に乗じての他国の内政への干渉は賛成しないとし、こちらも対立していることがわかります。

3つ目の関税引き上げなどの問題でも、アメリカ側は中国の不公平な貿易・経済活動から労働者や産業を守るとし、中国は政治問題化してはならない中国企業への弾圧をやめるべきとしています。

ここだけを切り取ると両者主張見解は対立しています。ですが、両者対立してでも今回首脳会談を行うことに意味があったのでしょうか?

フジテレビ解説委員・風間晋
会談自体は行うことに大きな意味があって、解決には至らないとしても、これ以上悪くしないようにお互いなんとかしないと、ということろがまずあって、バイデン大統領は習主席とちゃんと話せる関係っていうのを維持するっていうのが大事なんだって考えると思うんですね。事務方同士で話をしても、にっちもさっちもいかないわけですよ。それが事故だとか、衝突だとかに至らないためにはトップ同士がきちんと話をできる関係っていうのを築いておく必要がある

フジテレビ解説委員・風間晋
バイデン大統領はこれまで、実は2回、習近平国家主席と顔を合わせて会談したいというラブコールをしています。9月に1回やりました。で、今回オンライン会談になったわけです。しかし、このオンライン会談がはじまった途端に「次は、対面でやろう」と。まだ話をしてないのに、対面でやろうとバイデン大統領は言ってるんです。それだけ、バイデン大統領の方はお互いに顔を合わせてちゃんと話せる関係っていうのを作っておくことが、今の米中関係で一番大事なんだと思っている証拠ですよね

両国一歩も引かない緊迫した攻防が続く米中関係。

首脳会談でも目に見える具体的な成果が乏しい中、緊張緩和に向かうのかは不透明です。

(めざまし8「#NewsTag」11月17日放送より)