田村憲久前厚生労働相は14日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分から午前8時55分)に出演し、与党が合意した「18歳以下への10万円相当の給付」に世帯主年収960万円未満の所得制限がついたことについて、子育て支援策としてスピーディに給付するためには児童手当のスキームを使うしかしかない、と指摘した。

田村氏は、児童手当のスキームについてはかねて見直しを求める議論があるが、現在受給している世帯の中で受給対象から外れる世帯が出てくる可能性があり、国民的合意が得られていない、との認識を示した。

番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(元大阪府知事・弁護士)は、子どものいない年収300万円ほどの困窮世帯が救済されない場合があることを指摘。「経済対策なのか、困窮者救済対策なのか、子育て支援対策なのか目的を明確化すべきだ」と迫った。

これに対し、田村氏は「とにかく子どもを支援しようということだ」と説明した。橋下氏は今回の給付が一時的なものであることを踏まえ、「子育て支援なのに来年子どもを生む人に給付金が入ってこない、入ってくるかどうかわからない。こんな不公平な税金の使い方はあってはならない」と批判した。橋下氏は「愚策中の愚策」とも述べ、今回の給付策に改めて異議を唱えた。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回の10万円給付策は、岸田政権が打ち出している目玉政策である分配の概念を真っ先に取り入れた形だが、これが本当に困窮している世帯に給付されることになるのかとかなり疑問も出ている。

田村憲久前厚労相:
子どもたちに支給するという話と、生活困窮者の話は別だ。自民党は、子ども真ん中政策をずっと言ってきている。子どもにさまざまな形で金がかかる。少子化のみならず、子どもたちにすくすくと育ってもらうために、ある程度国がしっかり支援していこうという意味でのこの10万円給付だ。もちろん本当は恒久政策が一番いいのだろうが、コロナの中でとりあえずこういう形を取っている。困窮者には10万円という話になるのかどうか、まだ決まっていないが、コロナ下で自立してもらうため、生活を再建してもらうために我々も給付が必要だと思っている。スピード給付を考えると児童手当(のスキーム)。この児童手当自体がそもそもなぜ世帯主年収960万円未満の所得制限なのかと。これは以前から見直すという議論もしているのだが、今までもらっている人たちがもらえなくなるということもあるので、その辺りがまだ国民的合意が得られていない。このスキームをそのまま使うことになり、さまざまな疑問が出てくるとのだと思う。まだ自民党では議論していないが、やはり政府がしっかり党にも国民に対しても説明をする必要がある。

松山キャスター:
児童手当の基準をそのままあてはめれば、スピード感もって給付ができるという話だが、コロナが起きて2年ほど経つ。一律10万円給付も過去にあった。議論する余地、期間はかなりあったと思うが、その間に制度設計を細かくやって本当に困っている世帯に送る制度ができていれば、いまスピード感を言わなくてもよかったのではと思うが。

田村前厚労相:
まず所得を全て把握できるか。例えば、マイナンバーで月々の所得を把握できるようになるか。これは法律改正しなければ多分できない。給付用の口座をマイナンバーにひも付けられる法律はあるが、ひも付けなければならないとはなっていない。ひも付けがしっかりとできなければ、よくいうヨーロッパのような形にはならない。そのためにはやはり国民的な理解をいただかないと。日本はなかなかご理解をいただきづらいところがある。

橋下徹氏(元大阪府知事・元大阪市長・弁護士):
国民的な理解を得るには、政府与党が国会に積極的にそういう提案をし、野党の批判を受けながら、議論をすることが必要だ。が、その機会はなかった。マイナンバーと口座をひも付ける、マイナンバーカード(の取得)を義務づけるなど、ぜひ政府与党は社会インフラとして議論してもらいたい。この給付金の財源は、1兆8,000億円ほどか。我々の税金を使うわけだから、やはりしっかり使ってもらいたい。これは恒久的制度なのか、ワンショット・一時的な制度なのか。本当はここで大きく2つ政策は分かれると思う。子育て支援、ぜひやってもらいたい。恒久的制度としてじっくり考えて制度設計してもらいたい。今この時期に一時的に金を出すということであれば、子育て支援ということよりも優先順位としては困っている人々を支援することのほうが完全に優先順位は高い。困窮世帯向けには給付金10万円となっているが、これ、住民税非課税世帯ではないか。困っている人といえば、年収300万円の世帯などそのあたりの人たちも困っている。経済学者たちは、やはり今ここで経済対策だという意見もかなり強いと思う。僕も経済対策派だ。年収550万円の人や、もっと言えば、もうちょっと所得の高い人にバッと一律に配る。これが経済対策なのか、困窮者救済対策なのか、子育て支援対策なのか、もっとはっきり明確に目的を明確化してうまい使い方をしてもらいたい。

田村前厚労相:
これは子どもをとにかく支援しようということだ。恒久制度なら、恒久財源が必要だ。2兆円近い話になると消費税を上げなければいけない。与党以外は「消費税を下げる」と選挙の時言っているので、そう簡単ではないと理解いただけると思う。今回児童手当のスキームと言ったが、やはりスピードを考えるとそれしかない。もうひとつ児童扶養手当という本当に困窮されている家庭はあるが、幅広い子ども政策となると、児童手当になるだろう。全員に配るとなると、また、橋下さんはさまざまなことを言うと思う。やはり1,800万円も世帯年収があるところに配るのかどうかというのもある。あるが、それはまず児童手当の制度を見直さないことには、このスキームに乗って出す限りはやはりそれは直らないので、次の議論としてしっかりやらなければいけない。このコロナの中で、子どもを支援しようという形になると、こういう提案になったのだろう。ただ、今さまざまな批判を、世論をもらっているので、そこは政府が自民党にも国民にもきちんと説明をしてもらわなければならない。

橋下氏:
不公平感がないように(税金を)使ってもらいたい。子育て支援なのであれば、来年子どもを産む人とか、給付金は入ってこないわけではないか。困窮している人に今配るということは、これは仕方がないかなと思うが、子育て支援で、来年子どもを産む人に(給付金が)入ってくるかどうかわからない。こんな不公平な(税金の)使い方はあってはならない。