小室眞子さん圭さんが結婚してから、2週間あまりが経ち、夫妻は14日にアメリカ・ニューヨークへ出発する予定で、海外での新生活を始める。10月末の2人の結婚はアメリカでも関心が高く、各社が大きく報じた。

プリンセスがコモナーと結婚」(ワシントンポスト)
コモナーと結婚し、皇室の肩書きを失った」(AP通信)

多くの米メディアが写真付きで結婚を大きく報じた
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多くの記事に登場したのが、「コモナー(民間人)」と、「ジェンダー」という言葉だ。この2つの言葉を読み解くと、アメリカがどのように「皇室」、さらには「日本」を見ているのかが、垣間見えてきた。

「民間人…」キャスターの“けげん”な表情

アメリカメディアの眞子さん結婚報道を読み込んでいたある日、アメリカ人の同僚がこんなことをつぶやいた。
「ほとんどの記事に“民間の人と結婚した”と書いてあるけれど、この“民間”のニュアンスがちょっと気になる」

どう気になるというのか。日本在住歴も長かった同僚は、米ABCテレビ系列のニュースサイトで、キャスター2人のやりとりを見せてくれた。
女性キャスター「日本のプリンセスが、コモナー(民間)の男性と結婚したそうです
男性キャスター「コモナー・・・?
 
男性キャスターの表情は、「けげん」という言葉がぴたりと当てはまる。そんな反応を一瞬見せた後、その話題はすぐに終わった。

結婚会見に臨む小室夫妻(10月26日 東京・千代田区)

「コモナー(Commoner)」の意味を調べると、「平民」「庶民」「一般人」「民間人」などとなっている。「一般」「民間」は私たち日本人にとっても特に違和感はない。皇族との対比としてだけではなく、「官」ではない、「民間」という意味も含むからだ。

しかし王室、皇室がないアメリカ人にとっては「すべての人は平等」という概念(もちろん社会的格差は実社会には存在することも理解した上で)があるので、「コモナー」は基本的には王族、皇族の話題とセットになる言葉だそうだ。
日本語で「私は民間人/一般人です」と言うことに違和感はさほどないが、英語で「私はコモナーです」と言うと、必要以上に自身を卑下しているように聞こえるという。極めて親しい間柄で、庶民的な飲食店に行ったときなど「私たちはコモナーだね」としてジョークとして使うこともない訳ではないが、非常にまれだという。

キャスターがけげんな顔をするくらい、アメリカではめったに使われない「コモナー」だが、今回の結婚報道では、この単語のオンパレードだ。

プリンセスがコモナーと結婚」(ワシントンポスト)
ファンファーレが鳴らないプリンセスの結婚―コモナーのために日本の皇室を去る」(ニューヨークタイムズ)

ニューヨークタイムズは「コモナーのために皇室を去る」との小見出し

 NBCに寄稿したコーネル大准教授の記事の見出しはもっと痛烈だ。
プリンセス・マコのコモナーとの結婚は、皇室を滅ぼしうる、性差別を示唆している
 
性差別という単語まで登場した。この記事だけではなく、今回の結婚を報じるアメリカメディアの多くは、「日本のジェンダー問題」に言及している。それは、「コモナー」を“連発”する背景とも結びついているように感じる。

多くの記事が「皇室の後継者問題」に言及

「ジェンダー」の観点から、アメリカメディアで驚きをもって報じられている点は、大きく2つ。「日本では女性に皇位継承権がないこと(+女性皇族の減少)」と、「結婚によって皇室を離れること」。

前者については、NBCテレビは「今回の結婚で、日本の皇室に差し迫る後継者問題にも注目が集まっている」と伝えたほか、ニューヨークタイムズも、「世界で最も古い日本の皇室は、後継者不足の問題に直面している」としていて、“世界一歴史のある皇室”の後継問題を強調する記事も見られた。王室は世界にいくつもある一方で、皇室は日本にしかないことから、アメリカでは一層“ミステリアス”に映るのかもしれない。

秋篠宮ご一家(7月11日撮影 赤坂御用地 宮内庁提供)

 「結婚すると“コモナー“」制度に驚く米メディア

後者に関しては、AP通信が「コモナーと結婚し、皇室の肩書きを失った」と見出しに取ったことからも一目瞭然。アメリカ人にも比較的馴染みがあるイギリス王室では、結婚によって王族の立場を離れることはない。だからこそ、日本では女性皇族が結婚によって皇籍を離脱し「民間人」、すなわち「コモナーになる」ことに驚き、「コモナー」が各メディアで“連発”されたのではないだろうか。

今回、小室夫妻と比較されることが多かった、イギリスのヘンリー王子とメーガン妃。王室を離脱したあとも肩書きはそのままだ。やや脱線するが、最近ではメーガン妃が産休・育休の法制度化にむけ、米議会の大物議員に書簡を送ったことが話題になった。その際も、メーガン妃の主張の中身は大きくは論じられず、手紙の末尾で「サセックス公爵夫人」と名乗ったことが、一部の人たちから批判をされているという。

ヘンリー王子とメーガン妃

ぬぐえぬ「ジェンダー後進国」のイメージ

「女性皇族の減少」や「女性宮家」の問題については、日本でも議論がされているが、アメリカメディアではジェンダー問題に絡めて論じられることが多かった。ワシントンポストは「世界経済フォーラムが公表した男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数」で、日本は156カ国中120位だった」と指摘。皇室に限らず、日本社会では男女が平等ではないとし、森喜朗氏が東京オリンピック・パラリンピックの会長を辞任するきっかけになった“女性蔑視”発言まで紹介していた。

さらに、ニューヨークタイムズは、「世論の感情を逆なでしたのは、海外で生活をするという二人の決断だったかもしれない。お姫さまは皇室を出たあとも、伝統的な慣例に従うことを求められている」と書いている。日本の伝統と文化を受け継ぐ皇室や皇族に対する日本国民の反応が、アメリカでは閉鎖的で古くさいものに見えてしまうのかも知れない。

ニューヨーク・ポスト紙

いずれにしても、日本国内で4年間にわたって続いてきた今回の結婚報道とは違い、アメリカメディアでは「コモナー」と「ジェンダー」に焦点を当てた記事が多かった。職業や居住の選択肢が限られるなど皇族に課せられた様々な制約と、日本社会における男女不平等の問題は日本人にとっては別次元の問題だ。しかし、海外ではどうしてもこの点が注目される。今後も眞子さん以外の女性皇族が結婚する度に、この問題に焦点が当たることは間違いない。

日本の皇室のあり方を海外でも理解してもらうには、まず、日本国内で女性皇族の減少や皇位継承権など皇室の将来について議論を尽くし、男女平等な社会の実現に向けて努力していくことが必要だろう。
 
(取材:ハンター・ホイジュラット、中川真理子)