晴れの門出を彩ったドレスが地球への優しさから生まれ変わる。

愛犬に世界で1つだけの衣装

犬たちが身につけているふりふりのついたドレスやタキシード。

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このかわいらしい衣装の元になっているのは結婚式の衣装。

ウェディングドレスなどのレンタルを行っている「ベスト‐アニバーサリー」は、取り扱う衣装の修繕を繰り返しながら貸し出しを行っているが、繊細な生地を使っているものも多いため、直すのにも限界があり多くの衣装が廃棄されてきた。

そこで始めたのがウェディングドレスから作る犬用の衣装作り。

ベスト‐アニバーサリー ・塚田健斗社長:
犬用の新しい衣装を作れないかということで自社で開発して、今回このような形に至りました。生まれ変わらせることができるのは、1つ可能性を感じています。

まず、犬用の型紙に沿って生地を裁断し、ミシンで縫い合わせる。

ボリューム感を出すためにパニエを重ね、最後にパーツの位置を決め、手縫いし完成。

ベスト‐アニバーサリー マーケティング部・堀口生太アシスタントマネジャー:
レースの素材なども適当に切っていくわけではなくて、縫い目の間がきちんと柄がそろうようにというところが一番大変。ボリュームを出すための仕様でパニエも作っていて、人間と同じようなドレスになるような工夫としてやっています。

ドレス1着から作られる犬用の衣装は、基本1着。

これまでに30着以上のレンタル衣装に、新たな命が吹き込まれた。

利用した人:
本当にウェディングドレスなので、色打掛とかもすごくすてきで、取れる柄とかも唯一無二。すごくうれしかったです、かわいくて。

捨てられていたはずのドレスから世界でオンリーワンの衣装を生み出すサステイナブルな取り組み。今後については。

ベスト‐アニバーサリー・塚田社長:
今後、われわれが使っているこういったすてきな生地を含めて、エコバッグなどに生まれ変わらせて販売をしていくことは今後の可能性としてはあります。

希少性高い商品は「拡張自己消費」促す

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。マーケティングや消費者行動などを研究されている鈴木さんの目には今回の試みはどう映りましたか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子氏:
ウェディングドレスからつくられる世界でひとつだけのワンちゃんの洋服は愛犬家にとっては嬉しいサービスですよね。

この「嬉しい」という感情こそビジネスチャンスそのものなんです。散歩中の愛犬のドッグウエア着用率は首都圏や阪神圏では5割を超えるという調査もあります。

犬に服を着せると犬の個性を表現できたり、他の愛犬家と会話が始まるきっかけにもなりこれを楽しみにしている方も多いです。

三田キャスター:
愛犬は大切な家族ですから、身につけるもの、口にするもの、気を遣っている方は多いですよね。

鈴木智子氏:
いまペットも家族の一員、あるいは自分の分身と考えることが当たり前のこととして受け入れられています。実はこれ、ビジネスでは「拡張自己」と言われる消費行動のきっかけになります。

例えば、自分の分身でもある我が子におしゃれな服を着せたい、それを誰かに自慢したい、という感情はよく理解できると思います。こうした「拡張自己」の消費と希少性の高い商品は相性が良いとされています。

愛犬家が「ウチの子」と呼ぶワンちゃんにウェディングドレスから作った世界で一つだけの衣装を着させることで、より深い愛情を感じることができます。また、その消費行動が「自分のあるべき姿」の自己表現にもつながっている。

親から子へと洋服が受け継がれる事がありますが、これからは飼い主の洋服をペットの洋服に仕立て直すということも当たり前になるかもしれません。

三田キャスター:
犬に洋服なんてと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、体の熱を放散しやすい犬種は寒さに弱く体温調節のために洋服が必要なこともあります。

家族の一員として愛犬が快適に過ごせるというのは大切なことですが、そうした暮らしの中にもサステイナブルな視点を取り入れることもできそうです。

(「Live News α」11月10日放送分)