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森雅章記者:こちらユニクロの展示会場なんですけれども、ご覧下さい、緑色のドラえもんがいます。

中国・上海の見本市に初登場したのは、青から緑に変身したドラえもん。ユニクロが、環境問題などのシンボルとして採用したものだ。

その横には、従来品に比べ、加工時の水の量を95%以上減らせるジーンズも展示されていた。

来場者:水資源の浪費はまだ多くて問題なので、このジーパンの技術がイノベーションを起こすかもしれませんね

127の国と地域から、およそ3000の企業や団体が参加した国際輸入博。今回は、地球温暖化対策がテーマのCOP26と開催期間が重なったこともあってか、習近平国家主席は、開幕式で、「中国はクリーンエネルギーやデジタル経済を取り入れ、気候変動に対し積極的に取り組んでいく」と述べた。

会場にも、環境対策などを中心としたサステイナブルな展示が、多数、登場。日本の大手自動車メーカーは、最新の電気自動車や水素燃料電池車などで、CO2削減に向けた取り組みをアピールしている。

また、パナソニックは、水素などの活用をテーマにした「環境ブース」を2021年から設置した。

パナソニック 中国・北東アジア社 本間哲朗社長:(中国の環境産業は)新しいフロンティアだと思うんですね。色々なお金が動き出している領域なので、ぜひたくさんの実際のビジネスにつなげていきたいと思っています。

また、ジェトロが運営する日本の食品やお酒が展示されているジャパン・モールには、試飲と試食のコーナーがあり、多くの人でにぎわっていた。

ジェトロでは、展示品を上海の別の場所に移し、1年中アピールする予定だという。上海市政府の政策にのっとったもので、一過性ではない、サステイナブルなイベント効果を狙う。

来場者:日本のものは少し口にするだけで、私たちに喜びをもたらしてくれます。(1年中展示するのは)とてもいいことだし、効果も高いと思います。より多くの人が、さらに日本のことを理解できますし

ジェトロ 高山博副所長:365日、常時BtoB、BtoCができるような日本商品の基地に位置づけて考えています。展示する商品のラインアップを増やしていく、そして、絶えず新しい良い物を循環させていくことが必要になると思います。

2021年、環境保護産業の市場規模が30兆円になると予想されている中国。日系企業のサステイナブルな取り組みは、今後も熱を帯びそうだ。

内田嶺衣奈キャスター:このニュースについては、デロイト トーマツ グループの松江英夫さんに話をうかがいます。様々なアピールがあった中で、環境対策を意識した展示が多かったように感じましたが、松江さんは、どうご覧になりましたか。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:そうですね。まさに環境が市場になってきたなという実感がありますよね。今回のような輸入博、環境もそうなんですが、実は裏側には、来年のRCEPをはじめとして、自由貿易圏の拡大、これを中国は牽引していきたい、こんな思惑があるのではないかと私は見たんですね。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:その中で、日本にとっての中国マーケット、この意味合いは、生産地から消費地に、ここに重要性が、益々、増してますから、これからは日本にとって、輸出戦略が、これが益々、重要になってくると思います。

内田嶺衣奈キャスター:人口14億人というと、本当に巨大な市場です。そこで戦っていくためには、どのような戦略が求められるんでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:はい、最も重要なのは、ジャパンクオリティー、これをいかに訴求できるかというところにあると思うんです。私は訴求の可能性として、2つの方向性に注目しているんです。1つはECを活用して、新しいチャネルを開拓するということ。もう1つが、日本の現場の力を生かして、社会課題を解決する、ソリューション、これを輸出につなげていく、この2つの方向性に注目しています。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:1つ目のECの活用という意味では、コロナ禍にあって、国をまたいだ、越境EC、これがかなり伸びていまして、日本から中国への越境ECの市場規模、これが2兆円にもなる。こういった所まで育ってきているんですね。特にその中でも、日本製品のクオリティーが評価されている分野としては、食品やアパレル、日用品、ベビー用品、こういったものが伸びていて、これから、今回の博覧会のようなリアルな体験で、クオリティーを実感するのと重なると、さらに大きな市場になっていくことが期待できると思うんです。

内田嶺衣奈キャスター:そして、もう1つが、社会課題型のソリューションの輸出ということですが、こちらは、具体的には、どういったものなんでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:はい、私は高齢者の市場、これに注目しているんですね。高齢化というのは、中国においても、日本同様に、社会課題なので、ここに対するソリューションが、1つのマーケットになっていく可能性があるんです。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:日本からも、かなり、高齢者住宅だとか、介護事業だとか、参入していて、かなりクオリティーが評価されている、こんな事例も出始めていますんで、課題先進国の日本だからこその、マザーマーケットの強み、これをソリューションに結びつけて、経済成長につなげていく、こんな戦略が、益々、重要になってくると思います。

内田嶺衣奈キャスター:その辺りに期待が高まりますよね。アフターコロナを見据えると、人々の購買意欲というのも、徐々に、回復に向かっていくはずです。ここまで苦しんできた企業のチャンスが、より広がっていくことを期待したいです。

(「Live News α」11月5日放送分)

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