昭和の香りが漂う喫茶店。長野市役所近くに店を構えて46年。女性2人が切り盛りするその店は、居心地の良さと懐かしい雰囲気でコロナ禍も憩いの場となっている。

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懐かしい雰囲気で「落ち着ける場所」

長野市の中心市街地。市役所近くの雑居ビルに、その店はある。

 

喫茶店「メモアール」(1975年創業)。
店内は46年間、ほとんど変わっていない。

懐かしい、麻雀や花札のゲームテーブルも置かれている。

コーヒーを飲んでほっと一息。

昼はランチを求めて常連客が足を運ぶ。

週に3回以上利用する客:
きょうはミートソース。ずっと雰囲気が変わらないし、落ち着いていられる場所

店を切り盛りするのは女性2人…先代に見守られて

営んでいるのは、おもに厨房を担当する塩入絵理子さん(50)と接客担当の飯島和美さん(60)。

先代の主は絵理子さんの母・郁子さん(82)。
体力面から5年ほど前に退いたが、時折 店に顔を出す。

絵理子さんの母・郁子さん:
もう知った顔ばっかり。いろんな客がいて楽しかった。憩いの場所ですね

店は1975年のオープン。郁子さんの夫・啓一郎さんが銀行を定年退職した後、開いた。

啓一郎さんは他に、夜景で有名なレストラン「青い銀河」もオープンさせた。「青い銀河」は現在、2人の孫・美雪さんが若社長となって経営している。

絵理子さんの母・郁子さん:
(開業当時)こんなことをやって、素人が成功するわけがないと…(孫が継いで)うれしかった

郁子さんは「青い銀河」を手伝いつつ「メモアール」も営み、忙しい日々を送ってきた。

絵理子さんの母・郁子さん:
銀行員だったから、こういうことをやったことがなかった。(仕事を)覚えるのに一生懸命やった

娘の絵理子さんは、15年前に店に入った。

塩入絵理子さん:
母親がはっきりは言わないんですけど、「やってくれたらいいな」というオーラをひしひしと感じた。母は見守り隊なんですけど、楽しいし、長く続けられたらいいなと

接客担当の飯島さんは、二十歳前後の学生時代に店でアルバイトをしていた。
18年前、郁子さんに声をかけられ店に戻ってきた。

飯島和美さん

飯島和美さん:
私はこの店が大好き。雰囲気としては変わらない。何十年ぶりかに来てくれるお客さんも懐かしがってくれる。変わったのは年だけですかね(笑)

絵理子さんの母・郁子さん:
年とったよね

長く通い続ける人々 変わらぬ雰囲気をそれぞれに…

常連客:
きょう、新しい車来るんだって

常連客:
そう

常連客:
じゃあ、お祝いしなきゃな、みんなで

店は常連客の「憩いの場」だ。

週に3回以上利用する客(88):
居心地はいいよ。いろんな人に会うでしょ、そういうのが面白い。楽しみに来る

過ごし方は客それぞれ。

こちらの男性は「画家」。
店にある紙とボールペンで絵を描いては、店に飾っている。

常連客(画家):
一応、絵は40年近くやってるから、まぁ暇つぶしだ

店で絵を描く

飯島和美さん:
サイン入れて。お宝になるから

昼時は安くてボリュームのあるランチを目当てに、会社員などが足を運ぶ。

限られた昼休み。客にできるだけゆっくりしてもらおうと、2人の動きは実にスピーディー。先代・郁子さんの教えがしみ込んでいる。

塩入絵理子さん:
(郁子さんは)お客さんに一秒でも早く出さなきゃ、出さなきゃみたいなところはあったよね。ちょっと遅いと「何やっているの?」とか「まだ?」とか「邪魔」とか、突き飛ばされた覚えがある(笑)

ランチの時間帯は、メニューは全て100円引き。
(コーヒーは+100円)

昔ながらのナポリタンは500円だ。

客:
昔の懐かしい感じ

熱々の鉄板に乗せたソース焼きそばも人気だ。

客:
職場に近いというのと、コンビニとかじゃなくて、落ち着いて昼の時間を過ごしたいなと。なかなかこういう感じの(店)がないので気に入って来てる

絵理子さんの母・郁子さん:
(コーヒーカップを)私がこれ一生懸命作ったんだけど、名前入れなかったのかな

オープン当初からの常連客:
ママらしく控えめに小さめに作ったんだよね。そういうところが人間性があらわれる

郁子さんと話すこちらの男性は、オープン当初からの客。

オープン当初からの常連客:
私もサラリーマンで仕事が忙しかったから、朝なら朝しか来なかったんで

当時は来られなかった「ランチ」をゆっくり楽しんでいる。

オープン当初からの常連客:
長い間 来てるんで、なじみになってる。生きてれば通うけども、死んだら悪いんだけど来られないんだ

絵理子さんの母・郁子さん:
死んで幽霊になって出てきたら嫌だ、気持ちが悪い

絵理子さんの母・郁子さん:
気をつけて帰ってね

メモアール

コロナ禍もにぎわう「昭和」な喫茶店。
居心地の良さと変わらぬ雰囲気が、多くの客を惹きつけている。

飯島和美さん:
自分のうちでくつろいでいるような、それがいいとおっしゃってくださる方もいるので、あまり変えない方がいいかなと

塩入絵理子さん:
体が動くうちはやっていきたいなと。あと今の常連さんが元気でいるうちは見守っていたい

(長野放送)

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