天津飯にあんかけパスタ…とろみがついた料理はおいしい。しかし、食べ進めるうちにメインともいえる「あん」がとけたことはないだろうか。

ご飯や麺に温かいあんが絡んでこその一品なのに、肝心のあんが段々サラサラのスープになってしまって、最後まで楽しみたいのに何でだろうと、人知れず悩んだ人もいるはずだ。

あんかけ料理は「あん」があってこそ(画像はイメージ)
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編集部内で話を聞いたところ、サラサラになる人とならない人で分かれ、とけやすさに個人差がありそうということも気になる。

「アミラーゼ」という消化酵素が影響

ネットでは唾液が影響している説もあるが真相はどうなのだろう。唾液・唾液腺の研究者、神奈川歯科大学副学長の槻木恵一氏にお話を伺うと、唾液の“ある成分”が関係しているという。


――あんのとけやすさに、唾液は関係している?

唾液が関係していると考えられます。今回のお話を受けて、検証としてあんかけ焼きそばを二人に別々の方法で食べていただきました。一つは取り分けをするようにし、さらに話しているときのツバが入らないように脇に皿をずらしました。もう一つは通常の食べ方で、皿も自分の前に置いてもらいました。食べる時間や混ぜ方などは、同様にしました。

あんかけ焼きそばで検証(画像提供:槻木氏)

結果はまさに、唾液が混入したほうはあんが水のようになりましたが、取り分けをしてツバが入らないようにした方は、最後まであんは残りました。箸やレンゲに付着した唾液もですが、話した時の飛沫も大きな役割を果たしていると思います。

通常の食べ方(左)と唾液に注意した食べ方(画像提供:槻木氏)

――食べ進めるとあんがとける仕組みを教えて。

料理のあんはでんぷんからできています。唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれ、このアミラーゼはでんぷんを分解する役割があります。そのため、唾液の混入によるあんの分解は一つのメカニズムとも言えます。さらに、具材からの水分の溶出も原因となります。

完食後。通常の食べ方(左)はサラサラに、唾液に注意した食べ方はとろみが残った(画像提供:槻木氏)

――あんのとけやすさは個人差があるの?

アミラーゼは口腔内の唾液腺(唾液を作る組織)から自然に分泌されています。そして、分泌量は遺伝的な個人差があり、後天的に変えることは難しいと言われています。そのため、あんのとけやすさは個人で違うことは十分にあり得ます。ただ、分泌量は神経性のストレスがかかると比較的多くなるとも言われています。

唾液が料理に触れないことを意識

――あんをとかさない食べ方のポイントは?

料理を取り分けて食べることと、お皿を脇において会話したときの唾液が混入しないようにすることが大切です。あまり、かき混ぜないようにもしてください。食材から水分が出てとけることにつながることも考えられます。

小皿などに取り分けて食べることが大切(画像はイメージ)

――あんがサラサラになりやすい食材はある?

水分を含んだ野菜や豆腐などはサラサラにしやすいと考えられます。水っぽい食材をあん料理に使う時は、キッチンペーパーで水分を取ったりすると良いかもしれません。

水気が多い食材は水分に注意(画像はイメージ)

――あんがとけやすい人に伝えたいことはある?

あんかけは最後までとろとろの状態で食べたい人が多いと思います。サラサラになる人は料理を皿に取り分けたり、唾液が入らない、飛沫を飛ばさないことを意識してはいかがでしょうか。

あんがとけにくい人はアミラーゼが少ない可能性もありますが、特に大きな支障はないので、心配はしなくても大丈夫です。あえてサラサラが好きな人はよく咀嚼をして、唾液を出すことを意識すると良いかもしれません。


槻木氏は「アミラーゼの分泌量は遺伝的な個人差がありますが、あんがとけやすい人もとけにくい人も大きな心配をする必要はない」とのことだ。料理のおいしさには直結する問題なので、サラサラになる人は食べ方を変えてみてもいいかもしれない。