熱い戦いを続けるプロ野球・広島東洋カープ。球場での観戦に欠かせない、選手がプロデュースしたメニュー開発の裏側を取材した。選手たちの貴重な表情も必見。
マツダスタジアム限定の特別なメニュー
野川諭生アナウンサー:
秋のそよ風が吹いてきた広島市です。10月8日、マツダスタジアムに来ています。われらが広島東洋カープの本拠地ですが、こちらで新発売される商品があるということなんです。私も大好きなものなんですが、さっそく行ってみたいと思います

野川諭生アナウンサー:
私自身、大のカープファンで、広島カープに関わりたくて新潟の放送局から移籍して来た。それくらいカープが好きなんですね。場内で試合を見るのと同じくらい楽しみなのが、選手プロデュースメニューなんです
選手プロデュースメニューとは、選手からヒアリングした意見を細かく反映した、マツダスタジアムでしか食べることができないメニューのことだ。観戦に訪れるファンの楽しみの一つになっている。

野川諭生アナウンサー:
今シーズンの「捌(はち)ノ巻」が発売ということで、さっそくいただきたいと思います。森下暢仁投手プロデュースのスイーツメニューです

野川諭生アナウンサー:
森下投手はなんと2種類プロデュースということです。おいしい! 食べる前から華やかな香りがしていましたが、口に入るとフワーッとマスカットの香りが広がります

選手たちはどれほどこだわってメニューを作っているのか?開発の裏側を取材した。
仲良し2投手がプロデュース 試食の結果は?
今回、シーズン最後のプロデュースメニューとして、チームの人気者で仲良しな2人が一緒にメニューを考案! その選手とは、チームの若き柱・森下暢仁投手とゴールデンルーキー・栗林良吏投手だ。

2人はお互いのメニューを一緒に試食。まずは、森下投手のソフトクリームから。クレミアとマスカット、そして2つをミックスした3種類。

栗林投手:
クレミアってどんなやつ?
森下投手:
(ジェスチャーを交えながら)こういうやつ、こういうやつ!

栗林投手:
はあ???
試食した2人の感想は…。
栗林投手:
うまい! 暑い日にはピッタリですね

栗林投手:
俺がプロデュースするなら絶対、真ん中(マスカット)だ
森下投手:
ミックスは、ちょっと無しかな…。(クレミアとマスカットを持って)これとこれを…。
スタッフ:
2種類ってことですか? 問題ないです
森下投手:
バニラだけでいかずにチョコレートソース・バニラと、マスカットの2種類

続いて、栗林投手のリクエスト「梨シェイク」を試食。しかし、ここで問題が…。ひとくち飲んでしばらく無言の2人。

栗林投手:
梨の味する?
森下投手:
梨の味せん
栗林投手:
だよね…。梨シェイクは、梨の味が薄いです
森下投手:
シャリシャリさせたいんですか?
栗林投手:
そう、シャリシャリさせたい。梨スムージー?

スタッフ:
次回の試食も2人で…
後日、再び2人で試食することになった。

こだわり抜いたメニューがついに完成!
そして2週間後。まずは、味を改良した梨シェイクから試食。 底に敷き詰めたゼリーが味のアクセントになっている。

栗林投手:
おいしいです
森下投手:
ぶどうのゼリーめっちゃうまい。ゼリーめっちゃうまい。ゼリータイプだわ

続いて、1回目で栗林投手がリクエストした梨スムージーを試食した。
栗林投手:
うまい!
森下投手:
いやこれに…。
栗林投手:
ゼリーでしょ。言うと思った

森下投手:
自分は、これにぶどうゼリーたっぷりがいいな
栗林投手:
でも、これ寒くてみんな買ってくれないよ…。1個目(梨シェイク)が良いですね

森下投手:
スムージーは?
栗林投手:
これ来年。2022年の8月狙い

最後に、森下投手のメニュー2種類目について相談。トッピングの決め手となったのは、ぶどうだった。
スタッフ:
マスカットのゼリーがあるんですけど…
栗林投手:
どっち派?
森下投手:
ぶどう

栗林投手:
ぶどう? ぶどうのゼリー入れてほしいらしいです
森下投手:
ぶどうのゼリー入れてもらってもいいですか?
栗林投手のシェイクで食べた、ぶどうのゼリーをソフトクリームにトッピング。その相性に、森下投手も納得の表情を見せていた。

森下投手:
これだ♪
ついに2人のプロデュースメニューが完成!
栗林投手の「メガホン梨シェイク」は、試食を繰り返したどり着いた納得の味わいと、森下投手お気に入りのゼリーがポイントになっている。

そして、「コク旨濃厚バニラソフト」と「めちゃ旨シャインマスカットソフト」の2種類をプロデュースした森下投手。
バニラソフトにチョコレート、そしてクッキーをトッピングした王道の一品と、マスカットソフトにはナタデココ、そしてここにも、ぶどうのゼリーがたっぷりトッピングされている。

栗林投手:
ぜひ、僕の梨シェイクをご賞味ください

森下投手:
自分が両方食べたいやつをプロデュースしたので、自分好みになっています。自分の方が美味しいです

栗林投手:
ははは(笑)
【編集後記】
今回の取材を通して、私自身が「いちカープファン」として選手プロデュースメニューを楽しみにしていた頃を思い出しました。マツダスタジアムから遠く離れた東京で暮らしていた私にとって、広島訪問は一大イベント。限られた時間でどこへ行くのか、なにを味わうのか、頭をひねって考えていました。その中でも、現地でのカープ観戦とスタジアムグルメは外せない組み合わせだったのです。
好きな選手がプロデュースした一品にするのか、メニュー優先でその時自分が食べたいものを選ぶのか。どんぶり1杯を堪能するのか、デザートまで考えて全体を組み立てるのか…。楽しく、真剣に悩んでいたあの頃は、まさか自分が広島で働くことになるとは夢にも思いませんでした。

選手たちがこだわるポイントはそれぞれ。出身地の名物グルメや思い出の味はもちろん、とにかく「自分が」食べたいメニューを提案する選手も。今回の森下投手のように、ファンの選択肢を増やそうと、複数のバリエーションを考えるケースもあるのです。
さて、選手たちがこだわりぬいたプロデュースメニュー。 今回取り上げた「スイーツ部門」の人気ランキングを見てみましょう。
1位:今シーズンは雪苺!!誠也のメガホンイチゴシェイク (鈴木誠也選手)
2位:床ちゃんのいちごたっぷり!!究極の苺づくしパフェ (床田寛樹投手)
3位:広輔の大学芋いもバニラソフト (田中広輔選手)
(対象:2021年3月26日~9月23日 59試合)
上位2つはいずれも「いちご」を使ったメニュー。チームの看板選手である鈴木選手のシェイクと、思わず試食品を持ち帰ってしまうほど本人も気に入った床田投手のメニューが支持を得たようです。
3位は、田中広輔選手がプロデュース。スティックタイプと、ごろっとタイプの2種類の大学芋を使った食べ応えのあるデザートです。リーグ3連覇(2016年~2018年)を「1番・ショート」で引っ張った田中選手。故障もあって、ここ数年思うような活躍ができていませんが、その復活を願いながら味わったファンが多かったのだと想像します。
ファンも、選手も、思いや願いをたっぷり込める「選手プロデュースメニュー」。 来シーズンもどんな一品が生まれるのか、今から楽しみでなりません。
(テレビ新広島 アナウンサー 野川諭生)